このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

「Predictive Insights」をNetBackupアプライアンスから提供開始、新しいベリタスの方向性

ベリタス製品も“AIOps”で予測サポート、製品開発責任者に聞く

2018年12月03日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 ベリタステクノロジーズが2018年11月30日、「Veritas Predictive Insights」の国内提供開始を発表した。「NetBackupアプライアンス」などの同社製品から収集した稼働状態データ(テレメトリデータ)に対してAI/機械学習技術を適用することで、問題発生前にベリタス側から予測的な(プロアクティブな)サポートサービスを提供するという新たな取り組みだ。

「Veritas Predictive Insights」は、AI/機械学習技術を用いた予測的サポート/メンテナンスサービスだ(画面はストレージ使用量の予測グラフを含むダッシュボード)

 Predictive Insightsのような、AI/機械学習技術によるIT運用の自動化や予測メンテナンス=“AIOps”は、現在大きな注目を集める領域である。今回は「Veritas NetBackup」などデータ保護製品の開発総責任者である米ベリタスのジェーン・ツー氏に、このPredictive Insightsサービスの詳細と将来的な狙いについて、さらにはNetBackupの最新バージョンなどにも感じられる“新しいベリタス”の方向性なども聞いた。

米ベリタステクノロジーズ データ保護およびガバナンスエンジニアリング担当SVPのジェーン・ツー(Jane Zhu)氏

AIによる将来予測も含め“健康状態”を診断する「Predictive Insights」

 今回発表されたPredictive Insightsは、まずは「Veritas NetBackupアプライアンス」製品から対応を開始する。発表によれば、今後、2019年度中にはSDS(Software-Defined Storage)製品の「Veritas Accessアプライアンス」や、NetBackup環境をコンテナ技術で統合した「Veritas Flexアプライアンス」でも提供を開始する。さらにツー氏は、「将来的には同様のアルゴリズム、フレームワークを、ソフトウェア版のNetBakup環境にも適用していきたい」と語る。

 Predictive Insightsの基本的な仕組みは、顧客オンプレミスに設置されたベリタス製品から各種テレメトリデータを匿名化/暗号化したうえで収集し、クラウド上のAI/機械学習エンジンで将来予測も含めたシステムの“健康状態”を分析、「System Reliability Score(SRS、システム信頼性スコア)」を算出するとともに、緊急度別の問題リストや障害回避のための「推奨アクション」も提示するというものだ。これらの情報はダッシュボードに表示され、ベリタスの担当エンジニアがチェックしてプロアクティブなサポートにつなげる。将来的には顧客自身もこの画面にアクセスし、システムのヘルスチェックができるようになるという。

Predictive Insightsの概要。アプライアンスの稼働状態から将来的な使用量を予測し、計画的なキャパシティ増強を促す機能も備える

 ベリタスの発表では、この仕組みによって、アプライアンスの状態把握とパフォーマンス改善につながる「メンテナンスインサイト」、将来の要件(必要になるキャパシティなど)を正確に予測しオーバープロビジョニングを防ぐ「リソースインサイト」、コンプライアンス/規制要件への対応を容易にする「インフォメーションインサイト」、そしてベリタス側からのサポートサービスを支援するための「サポートインサイト」が得られるとしている。

「ミッションクリティカルなデータを“Always-ON”に」する狙い

 システムの健康状態を診断する機械学習エンジンには、1万5000社以上の顧客環境で稼働するアプライアンスから収集した数億データポイントに及ぶテレメトリデータを用いて学習/構築したアルゴリズムが使われていると、ツー氏は説明した。顧客自身は、アプライアンス製品の設定画面で「オートサポート」機能をオンにするだけで、こうした予測的サポートサービスが受けられるようになる。なお、Predictive Insightsサービス自体には追加料金はかからない。

 「ミッションクリティカルなデータを“Always-ON”の状態、つまり常にアクセスできる状態に維持してビジネスの生産性と効率性を向上させるための、より良いサポートサービスを提供するのが狙いだ。プロアクティブな診断によって、システムダウンタイムの最小化、(急な障害発生などによる)計画外メンテナンスの回避を実現し、TCO(総所有コスト)やリスクの削減につながる」

Predictive Insightsのダッシュボード。管理下にある各アプライアンスのSRS(システム信頼性スコア)を表示している

 顧客の実運用環境からテレメトリデータを収集するPredictive Insightsの仕組みを考えると、そのデータを通じて製品のどの機能がどのように使われているのかを具体的に知ることもできる。つまり、そのデータはベリタスにおける今後の新機能開発や新製品開発にも活用できるのではないか。そう質問すると、ツー氏は「そのとおりだ。今回の発表は最初のステップに過ぎない」と答えた。たとえば収集したテレメトリデータを、また別の用途に活用するアプリケーションの開発なども考えられるという。「(Predictive Insightsは)ベリタスにとってだけでなく、顧客にとっても価値のあるものにしていく」(ツー氏)。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ