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発見!Steamおすすめのゲーム ― 第88回

「Paper,Please」作者の新作

Steamおすすめゲーム「Return of the Obra Dinn」異色の保険調査員ADV

2018年11月30日 18時00分更新

文● rate-dat 編集●ジサトラアキラ

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 耳に残る独特なBGMに、独裁国家で入国管理監としての日々を延々と送る独特なゲームデザインで話題をさらい、後に実写の短編ムービーまで制作された「Paper,Please」という作品がある。ただアイロニーだけに満ちた作品ではなく、独特なゲーム性を持たせることで一つの表現を生み出した傑作でもある。その作者であるLucas Pope氏の新作も、また奇妙ながらも独特なゲーム性を持ってゲーム業界の喜望峰へと航海に出た。

 第88回は謎の失踪を遂げたオブラ・ディン号の痕跡を辿るアドベンチャー「Return of the Obra Dinn」を紹介する。

 

 本作品は日本語字幕に対応している。詳しい操作などは後述するが、キーボードとゲームコントローラーどちらにも対応しているが、本記事中ではキーボード操作にて記述している。

 また、1980年時代のモノクロモニターを再現した環境を選ぶことができ、初期設定ではマッキントッシュになっているが、コモドール64や今のWindowsPCの原型とも言えるIBMPCといったマニアックな画面表示に切り替えることもできるので自分がすきな色目のモノクロディスプレイでプレイすると良いだろう。

遺体が残した痕跡を解き明かせ!

 1803年公開中に消息を絶ったオブラ・ディン号が4年の歳月を経てイングランド沖へと漂着した。喜望峰(アフリカ最南端)へ向かった船が何故イギリスへ戻ってきたのか、東インド会社の保険調査課の主任としてプレイヤーは保険金額の査定のため派遣されることになる。

 プレイヤーの手元にあるのはヘンリー・エバンズなる男から送られた手記と懐中時計のみである。手記には乗員全員の名前リストと船内地図、船内での様子を納めたイラストが付随している。この手記を元にして、乗員51人全員の行方と、船内で何があったかを全て事細かに調べていくことになる。

マップは“WASDキー”での移動、Eキー、もしくは右クリックを押すことでズームできる。またTABキーを押すことで手記を開くことが可能だ。

 船内には白骨化した遺体の他、出来事への残渣を懐中時計を使うことで読み取ることができる。その残渣を頼りに乗員の安否とリストを照合していくことになる。

 対象にカーソルを合わせて左クリックかスペースキーを押すことで何があったかを追体験でき、その出来事のあった瞬間をくまなく探索することが可能だ。乗員の声や音は分かっても、死因となった原因などに対して直接的なヒントがほぼ無いのが本作品の魅力の一つである。画像は一番最初に見ることになる船長と船員の何かの争いの一場面だが、画面上の誰が誰なのかは自分で当てはめていかない限りは一切明かされることはない。

場面中に人物にズームすることで船内イラストと紐付けはされるが、誰なのかは明確には分からない。

 場面の再生が終われば手記の出来事の該当部分に自動的に内容が記述される。場所やイラストから逆引きも可能なので何度も何度も見返すことになる。時には場面から他の残渣へと飛ぶことがあり、間接的、もしくは直接的な繋がりとなっている場合もある。

 安否も名前も全てリストから自分で指定する必要がある。組み合わせが正しかったとしても直ぐには確証が得られないが、手記内で三人の正確な情報を記すことで初めて正解が分かるようになっている。

総当たりでは解けない。自分でメモや状況などを事細かに照合していこう。

類を見ない独特なゲーム性

 人種的な特徴や、しゃべり方の訛りといった、ゲーム外での知識も知っていれば更に本作品は楽しめる(必須ではない)。船上での知識は画像のように補足はあるが、人種的な特徴などはゲーム中には一切ヒントとしては出てこない。国籍や名前でピンとくることはあっても最終的に答えを導き出すのは自分の足とメモである。

 筆者が一番好きなジャンルはアドベンチャーゲームだというのは過去の記事でも何度か書いている気がするが、プレイ後に残る読後感や喪失感などが多種多様なジャンルの中でも非常に強く、考察や感想について色々考えるのがプレイ後の楽しみでもある。果たして、本作品のプレイ後に残った印象は、過去に感じた印象ともまた違う怪奇的な物であった。考え出せばキリが無いほどに本作品は筆者に対して大きな謎を残していった。

 タイムリープといわれる過去の出来事を辿って結末を見せるスタイルの作品であれば過去にも紹介した「Life is Strange」「STEINS;GATE」のような傑作もある。

 しかしオブラ・ディン号の中で懐中時計が見せる光景は前述の二作品とはまた別の物である。結果は結果であり、過去は変わらず、ただプレイヤーは調査員として淡々と結果と査定を行うのみで、作品内で起きたことに対して何を思うかは全てプレイヤーに委ねられている。それこそが本作品の独特なゲームデザインの一つでもあり、内容への想起というアドベンチャーゲーム最大の魅力にもつながっている。

 オブラ・ディン号が戻ったのは誰かの故郷への思いなのか、それともその思いへのアイロニーなのか。是非プレイヤーであるあなたがその査定へと赴いてほしい。

「Return of the Obra Dinn」の推奨動作環境は?

 最低動作環境の要件は、2GHz以上のCore i5 CPUと、専用GPUグラフィックス環境が必須となっている。スペック要件は高くないが、記述通りであればCPU内蔵GPUでは難しいだろう。アクション性が高いゲームではないが、最新でなくともミドルクラスのGPUを搭載した環境であれば安心してプレイできるだろう。

『Return of the Obra Dinn』
●3909
●2050円(2018年10月19日リリース) ※価格は記事掲載時点のものです
対応OS Windows,MAX OS X
ジャンル ミステリー、雰囲気、物語、独立系開発会社、アドベンチャー

© Copyright 2018, 3909 LLC. All rights reserved.

■著者:rate-dat
・Steamのプロフィールページ:Steam コミュニティ :: ratedat
・Twitter:@rate_dat

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