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安い8コア/16スレッドCPUはCGレンダリングで光る?

Ryzen 7 2700XのCG分野における費用対効果を考察する

2018年12月06日 11時00分更新

文● 加藤勝明 編集●ASCII編集部

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Threadripper 2920Xや第9世代Coreと比較

 今回実際に各テストを実施した環境を紹介しよう。前掲のパーツ価格表と価格的に完全に合致しない部分もあるが、パフォーマンスに大きく影響せず、なおかつ使えるパーツは極力同じものを使っているのでご容赦頂きたい。ほぼ同じパーツ構成でCGレンダリング性能を計測し、それを想定したプラットフォーム別予算で費用対効果計算をする、という流れになる。

 また、BIOS設定は基本的にファクトリーデフォルトを基準にしているが、ASUS製Intel Z390チップセット搭載マザーボードはデフォルトでは他社製マザーボードに比べてクロックが落ちやすい設定(VRMを過熱から護るためのもの)になっている。これを回避するためBIOSの「CPU Core Ratio」は“Per Core”に設定している。

検証環境:Ryzen 7プラットフォーム
CPUAMD「Ryzen 7 2700X」(8C/16T、3.7GHz~4.3GHz)
マザーボードASUS「ROG STRIX X470-F GAMING」(AMD X470、BIOS 4024)
メモリーG.Skill「F4-3200C14D-16GTZR」(DDR4-3200 8GB×2、DDR4-2666で運用)
ストレージIntel「SSD 600p SSDPEKKW512G7X1」(NVMe M.2 SSD、512GB)
グラフィックスカードNVIDIA「GeForce GTX 1070 Founders Edition」
電源ユニットSilverStone「SST-ST85F-PT」(850W、80PLUS PLATINUM)
グリスThermal Grizzly「Kryonaut」
OSMicrosoft「Windows 10 Pro 64bit版」(October 2018 Update)
検証環境:Threadripperプラットフォーム
CPUAMD「Ryzen Threadripper 2920X」(12C/24T、3.5GHz~4.3GHz)
マザーボードASUS「ROG ZENITH EXTREME」(AMD X399、BIOS 1501)
検証環境:Intelプラットフォーム
CPUIntel「Core i9-9900K」(8C/16T、3.6GHz~5GHz)
Intel「Core i7-9700K」(8C/8T、3.6GHz~4.9GHz)
Intel「Core i5-9600K」(6C/6T、3.7GHz~4.6GHz)
マザーボードASUS「ROG STRIX Z390-F GAMING」(Intel Z390、BIOS 0602)

 では実際どのようにCGレンダリングをさせた場合、どの程度の費用対効果になるのかを検証していきたい。

費用対効果を“見える化”してみる

 いつもはCPUの馬力比較をするために使っている「CINEBENCH」だが、このベンチマークのコア部分はCG作成ソフト「CINEMA 4D」と共通のものを使っている。まずはCINEBENCHのスコアーを単純に比較しよう。

「CINEBENCH R15」のスコアー。

 まずはおなじみのスコアー比較。最速は12コア/24スレッドのThreadripper 2920X、次いで8コア/16スレッドで全コア動作時4.7GHzのCore i9-9900Kとなる。同じ8コア/16スレッドでもRyzen 7 2700Xはクロックが低めなので、3番手につけている。CPU同コア数対決ならRyzen 7 2700XよりもCore i9-9900Kのほうが速く、CPU価格基準ならCore i5-9600Kはもちろん、格上のCore i7-9700KよりもRyzen 7 2700Xのほうが優れている。

 次に費用対効果の比較だ。CGレンダリング速度の指標となるマルチコアテストのスコアーを前掲のコストで割り、千円あたりのスコアーを計算してみたい。

「CINEBENCH R15」の費用対効果。マルチコアテストのスコアーをコストで割った値。数字が大きいほどコストパフォーマンスが優秀ということになる。

 Threadripperはコア数が多いぶんスコアーも高いが、導入コストが高いため単純な費用対効果はいまひとつ。“時間”という他に代えがたいものとトレードオフにするなら出費も厭わない、という層は別として、CGレンダリングの単純な費用対効果においてThreadripperはあまり優秀とは言えない。

 そして絶対的なスコアー面でRyzen 7 2700Xを下したCore i9-9900Kだが、こちらもCPU価格が高いためThreadripper並みという印象すらある。Core i9-9900Kと比較すると案外Threadripper 2920Xは悪くない気もする。

 だが、CINEBENCHにおける費用対効果でトップは僅差でRyzen 7 2700Xとなった。Core i9-9900Kよりもスコアーは低いが、費用対効果計算では決して悪い選択ではないのだ。

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