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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第21回

アップルが展開するコンピュータ選びの戦略:

iPad ProはMacとの併用がおすすめ

2018年11月27日 16時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura

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●MacBook Airを選ぶ前に

 アップルがiPad Proと同時に刷新したのがMacBook Airです。

 これまでMacBook Airを使っていた人にとって、Retinaディスプレーを搭載する新型MacBook Airは非常に魅力的なアップデートになりました。しかしプロセッサは1.6GHzの第8世代Core i5に限られ、MacのiPadに対する特権だったBTO、つまり仕様を選択して自分の1台を作り上げるオプションが大幅に制限されたのです。

 結果的に、MacBook AirはiPad Proの性能を上回ることができなくなりました。このことは、手放しにMacBook Airをアップデートするという選択を難しくしています。

 MacBook Airは128GBモデルで1199ドル、13万円半ばという価格です。一方、11インチのiPad Proは64GBモデルで799ドル、12.9インチでも999ドル、256GBモデルでも1149ドルです。アップルは性能が3倍近いタブレットを、ノート型のMacより200ドル以上安く購入できるようにしているわけです。

 たしかにMacでしかできないことはまだまだたくさんあります。たとえばモバイルのブラウザでは利用できないサービスもありますし、外部ストレージを含むファイルの管理もiPadにはできません。

 それでも、できないことはだんだん限られつつあります。マイクロソフトOfficeはすでに長らくiPad版を提供していますし、アップルのiWorkアプリでも文書作成は可能です。

 Macと共通のアプリも増えており、2019年にはiPadとMacでコードを共通化して開発できる仕組みも開発者に開放されました。その流れは一層加速するでしょう。そして、Adobeは2019年、ついにPhotoshopをiPad向けに提供します。

 これまで筆者は、MacBook Pro1台で自宅・出先・仕事場のあらゆる場所での作業をこなせるようにしてきました。しかしiPadの活躍の幅が拡がることで、たとえば仕事場にMac mini、それ以外はiPad Proという組み合わせで、より安く環境を整えるオプションを検討できるようになりました。

 手元のMacがまだ動いているなら、むしろiPad Proを買い足して併用するというスタイルは意外とおすすめできる作戦に見えてきます。実用以上に、タブレットとPCという我々に染みついている概念が邪魔をしている事に気づかされる、そんなタイミングかもしれません。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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