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ザ・Azureワールド!Microsoft Tech Summit 2018レポート第3回

マイクロソフトが発表した新しいVDIサービスの詳細

Office 365と高速接続、Azureの仮想デスクトップ「Windows Virtual Desktop」とは

2018年11月19日 07時00分更新

文● 阿久津良和 編集 ● 羽野/TECH.ASCII.jp

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 日本マイクロソフトは2018年11月5日~7日、ザ・プリンスパークタワー東京でインフラエンジニア向け年次イベント「Tech Summit 2018」を開催。今年は170を超える技術セッションが用意された。その中から、本稿ではAzureのVDIサービスに関するセッション「VDI環境最新化のシナリオ~MicrosoftのVDI戦略」の概要を紹介する。

Office 365 ProPlusとMicrosoft 365のセキュリティが統合されたVDI

 マイクロソフトは2018年9月に開催した「Ignite 2018」で、Windows 10とOffice 365をMicrosoft Azure上で提供する仮想デスクトップサービス「Windows Virtual Desktop(WVD)」を発表した。

 Azureでは、これまでCitrixおよびVMwareが提供する管理プレーンを使うWindows 10環境のVDI(Virtual Desktop Infrastructure)サービスを提供していたが、WVDは、マイクロソフトが提供する管理プレーンを使うVDIサービスである。Microsoft 365 E3/E5/F1、Microsoft 365 Business、Windows E3/E5 でアクセスでき、各権利の中でOfficeアプリケーションやセキュリティ機能を利用できる。

 OSはWindows 10のほか、Windows 7(無償の延長セキュリティ更新プログラムを提供)やWindows Server 2012 R2/2016/2019も選択できる。WVDの最大の特徴は、Windows Serverと同じく複数のユーザーが同時にサインインできる点であり、Windows ServerをSBC(Server Based Computing)として利用してきた企業にも最適だろう。

WVDの特徴

 WVDはまだ限定プレビューのため、最小ユーザー数など仕様は未定な部分が多いものの、現時点で、「Azure ADとActive Directoryのハイブリッド構成が必要」、「Skype for Business/Microsoft Teamsの音声対応」、「ExpressRoute経由の閉じたネットワーク環境は現時点で未対応」、「USBは未定ながらもRDP相当の機能実装を予定」といったことが判明している。

WVDのアーキテクチャー

Azure仮想マシンでデスクトップ環境を使うメリットとは

 セッションに登壇した日本マイクロソフト パートナー事業本部 パートナー テクノロジー ストラテジスト 澤木俊彦氏は、デスクトップ環境に仮想マシンを利用するメリットを紹介した。

日本マイクロソフト パートナー事業本部 パートナー テクノロジー ストラテジスト 澤木俊彦氏

 一般的に、オンプレミスでクライアント仮想化環境を構築する場合、VDIや、ターミナルサービス型のSBCを用いるが、どちらの方式でも基盤の構築、運用がシステム部門や企業全体の負担となる。一方、Azure上の仮想マシンで動作するデスクトップ環境であるWVDは、自社に基盤を用意することなく、Azureの仮想マシンからサイズを自由に選択することが可能だ。GPU搭載インスタンスも利用でき、仮想マシン向けストレージはStandard HDD、Standard SSD、Premium SSD、Ultra SSD(日本リージョンでは未提供)と4タイプから速度とコストを鑑みながら変換すればよい。

オンプレミスのVDI環境。保守・管理を自社ですべて、または一部を外部委託しなければならず担当者の負担が大きいAzure仮想マシンであれば物理ファシリティやハイパーバイザー、管理プレーン領域をクラウドに任せられる

 澤木氏は、「(物理PCは)減価償却の関係から変更できず、社員のパフォーマンス低下や生産性に直結する。だが、仮想マシンは再起動で最新状態に更新でき、5年前のPCを使い続ける必要はない。GPU搭載仮想マシンも2016年から登場し、常にベストなパフォーマンスをユーザーへ提供できる」と述べた。

 Azureの仮想マシンであれば、分単位の従量課金や、1年もしくは3年予約のAzure Reserved VM Instances(RIs)を利用してランニングコストを抑えることができると利用できると澤木氏は説明する。特にRIsは1年予約で72%、3年予約では80%もコストが抑制でき、例えばD2v3(2コア/8GB)の従量課金(365日×24時間÷12カ月=730時間/月)が1万574円/月のところ、RIsなら1年予約で6664円/月、3年予約で4532円/月になる。「他のパブリックにはない特徴として、RIsはいつでも12%の手数料でキャンセル可能」(澤木氏)。

 Azure仮想マシンとOffice 365との親和性も注目したいポイントだ。「(AzureとOffice 365の間は)自社の高速バックボーンを利用するため、オンプレミスよりも圧倒的に早いのは隠れたメリット」と澤木氏。デモンストレーションの動画では、WVDの仮想マシンとOneDrive for Businessが、一拍置いた程度で同期完了していた。

 残念なのは、WVDを日本リージョンで使うには、日本でGA(一般提供)となる2020年頃まで待たなくてはならない点だ(2018年末にパブリックプレビュー、2019年早期に米国でGAを予定)。澤木氏は、「WVDはシンプルな機能だけを提供するVDIサービス。複雑な要件になる場合は、これまで通り、CitrixかVMwareのVDIを使っていただきたい」と述べつつ、WVDを選択肢の1つとしてアピールした。

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