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フランスが多国間サイバー安全協定を発表、米中露は署名せず

2018年11月14日 11時15分更新

文● Martin Giles

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フランス政府が発表した「サイバー空間の信用性と安全性のためのパリ・コール」は野心的すぎるところがあり、本当に取り組むべき国からは忌避されてしまった。

世界中で蔓延しているハッキングに対処すべく、エマニュエル・マクロン仏大統領は11月12日、新たな多国間イニシアチブを発表した(在日フランス大使館の発表)。そのアイデアは、パリ・コール署名国がサイバー空間の安全を保証する一連の共通原則を厳守するというものだ。この共通原則は、オンライン空間における緊張状態を緩和しようとした国連が以前に実施した取り組みに漠然と基づいている。

パリ・コールが掲げる長い一覧表には、「送電網や病院などの重要インフラに対するサイバー攻撃を停止すること」や「オンライン空間における知的財産権の窃盗に対抗すること」「デジタルの商品やサービスのセキュリティを高めること」「サイバー攻撃の真犯人をかくまうサイバー傭兵の使用を禁止すること」などが含まれている。

パリ・コールは、EU加盟国すべてを含む50以上の国家の支持を得ている。また、マイクロソフトやフェイスブックといった巨大テック企業に加え、無数の企業や非政府組織(NGO)もパリ・コールを支持している。

その一方で、強大なサイバー攻撃力を保有する米国、ロシア、中国の3カ国は、いずれも署名していない。おそらく、自由を奪われたくないからであろう。後になって署名する可能性はあるものの、この3カ国が参加しなければ、パリ・コールは重要なプレーヤーが欠けたものになってしまう。

(野心的すぎる)すべての目標についての合意を一度で得ることは非常に難しいはずだ。以前お伝えしたように、サイバー攻撃を重要インフラに近付けないようにするための小さな取り組みから始めるのが良いだろう。これをやり通していけば、やがては、より広範な目標を中心に協調体制を構築できるかもしれない。実際にパリ・コールがそのように機能すれば、パリ・コールの成功は大きく期待できるものになるかもしれない。

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