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米国家量子法案、中間選挙の影響で年内成立は困難か

2018年11月13日 06時37分更新

文● Martin Giles

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米国の政治家グループは、12月中旬までに、量子科学を推進する10年間のイニシアチブを立ち上げようと焦っている。もし間に合わなければ、2019年1月から始まる新議会によって、量子技術に関する米国の進歩にブレーキを踏むことになる可能性があるからだ。

米国は、AIから新薬の発見にいたるまで進歩を遂げる可能性がある量子コンピューティングなどの分野で世界をリードしている。だが、中国は量子技術の研究に数十億ドルを投資して研究開発を加速しており、欧州連合(EU)も量子技術の研究開発に関する最重要計画に10億ユーロ(11億ドル)を投じている。

共和党と民主党は2018年、12億5000万ドルを投じて量子技術の研究開発と人材育成を推進する「国家量子イニシアチブ (National Quantum Initiative)法」の法制化に取り組んできた。法案は9月には下院を通過しており、上下両院の議員は一本化へ向けた詳細を詰めようとしているところだ。

だが、もし両党がすぐに合意に至らなければ、1月からの新議会で主要な委員会のメンバーが入れ替えとなり、議論が何カ月も長引く可能性がある。テクノロジーの進歩のスピードを考えると、非常に残念だ。

11月8日、シカゴ量子技術サミットで講演したダン・リピンスキー下院議員は、期限内に合意に達するかどうかは「なんとも言えません」と述べた。イリノイ州選出の民主党の下院議員であるリピンスキー下院議員は、計画の策定を主導している。「合意に達すると楽観していますが、死に体となった委員会でどうなるかは誰にも分かりません」とも付け加えた。共和党のラマー・スミス下院議員の側近は電話インタビューで、両党の「合意は間近です」と答え、より楽観的な見通しを示した。スミス下院議員も国家計画の推進を主導している1人だ。

国家計画が成立しなくても、米国の量子技術研究への投資は、米国エネルギー省(DOE)や米国立科学財団(NSF)などの機関から何らかの形で続くことになるだろう。だが、シカゴ 量子技術サミットの何人かの講演者は、米国が量子技術においてリーダーシップを維持していくつもりなら、より長期間のコミットメントが重要だと強調した。「この分野では、資金面での(長期間の)安定性が非常に重要です」とDOEのスティーブ・ビンクリー科学担当次長は述べている。

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