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ハーバード大、600万件超の判例DBを無償公開

2018年11月02日 06時31分更新

文● Erin Winick

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5年間に及ぶ作業の末、米国の判例およそ650万件弱が、オンラインで無料で閲覧できるようになった

ハーバード・ロー・スクール図書館の「図書館イノベーション研究室(Library Innovation Lab)」は 「判例法アクセス・プロジェクト(Caselaw Access Project)」を完了させた。このプロジェクトは、1600年代から2018年夏までに公表された州と連邦の全訴訟事例(4000万ページ超)をスキャンし、デジタル化する取り組みだ。

判例をデジタル化する理由は何だろうか。法律業務用の人工知能(AI)を開発する際に立ちはだかる最大の障壁の1つに、データの入手が困難なことが挙げられる。法律業務用AIを開発する企業は、ソフトウェアを訓練するために、独自のデータベースを構築する必要があった。データベース構築にあたっては、情報を公開しているあらゆるWebサイトをかき集めたり、非公開の法律ファイルを購入したりしていた。

しかし今や、 数百万件の判例がオンラインで無料で閲覧できるようになり、訓練に使用できる良質のデータが簡単に入手できるようになった。AIプログラムは今後、訴訟文章を一層簡単に検索できるようになり、訴訟の際、関連する背景調査を弁護士に提供できるようになるだろう。図書館イノベーション研究室の責任者であるアダム・ジーグラー法務博士は以前、MITテクノロジーレビューに次のように語っている。「このプロジェクトにより、さらに多くの実験が可能になり、進歩が加速するでしょう。基礎的なデータを手に入れられなければ、スマートなインターフェイスを構築するのは非常に困難です」。

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