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中の人が語るさくらインターネット第7回

SNSをまとめてチェックできるソシャリスの2人にインタビュー

さくら大好きな社員が複業で挑んだスタートアップという道

2018年11月02日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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 さくらインターネットの2人が複業でスタートアップを立ち上げ、SNSのまとめサービスである「Socialis(ソシャリス)」を展開している。ソシャリス CIO 野島周平氏とエバンジェリストの植木研介氏に、起業の経緯やサービス登場の背景、さくらでの複業について聞いた。(インタビュアー:アスキー編集部 大谷イビサ 以下、敬称略)

ソシャリスCEOが結びつけたさくらの2人

大谷:お二人ともソシャリスを起業する前から、さくらの大阪オフィスで働いていたんですよね。

植木:はい。カスタマーサポートを担当していたんですが、サーバーの運用をしていた野島とは社内ではあまり交流がなかったんですよ。

大谷:仲悪かったんですね(笑)。

野島:いや、業務をする上で単に接点がなかったんですよ(笑)。私と植木を引き合わせてくれたのが、ソシャリスの代表をやっている富永英輝という人物です。

植木:さくらではTGIF(Thank God, It's Fridayの略で、ピザなどの軽食を囲んでビアパーティをしながら役職関係なく意見を言ったり交流する会)を定期的に開催しているのですが、3年前のTGIFで当時さくらのブランディングのコンサルティングとしてジョインしていた富永と知り合ったんです。

野島:そのときは軽く話したくらいだったのですが、その後に日本橋(にっぽんばし)再生会議というものがあって……。

植木:日本橋再生会議っていうのは、かつては秋葉原や名古屋の大須と並んで三大電気街だった大阪の日本橋を、もう一度盛り上げようという志を持った人たちが集まってやってた活動です。

ソシャリスCIO 野島周平氏

野島:そうです。そこで富永と意気投合した感じです。日本橋再生会議では日本橋をクリエイティブな街に変えたいという思いで活動していたのですが、いろいろな事情があったし、資金も足りなかった。そこで、まずは自分たちにできることからと思い、さくらの企業理念でもある『「やりたいこと」を「できる」に変える』を体現すべく、ソシャリスを起業しました。

植木:シャープやパナソニックのように、関西からイノベーションを起こせる企業がもっと増えるといいなと思っています。今は福岡が盛り上がっていますよね。

大谷:確かに福岡市はパワーを感じますね。

植木:起業と直接はリンクしないのですが、ソシャリスのメンバーがメイドインジャパン、メイドイン大阪にこだわっているところはあります。近年、いろんな場面で日本が世界から立ち遅れている事を感じて悔しい思いをすることがあります。これをどうにか盛り返せないか、盛り返す一助にならないかっていうことをつねに考えてますね。

野島:それを実現しようとすると、いいエンジニアが大阪で働きたいと思わないとダメなんですが、だいたい東京に行ってしまうんですよ。東京は仕事も多いですし、秋葉原という魅力的な街があります。イベントも多いですしね。でも、日本橋がエンジニアにとって魅力的な街になっていけば、大阪で働く理由にもなるかなと。

SNSをまとめて見られるSocialisの挑戦

大谷:今年の3月にリリースした複数のSNSをまとめて見られる「Socialis(ソシャリス)」について教えてください。今はサービスアップデートに向けた休止中とのことですが。

植木:もともとのアイデアは、「複数のSNSを連結して、自分の投稿をまとめたら、1つのCMSになるんじゃないか?」というものです。WordPressはもちろん、WixもJimdoもCMSって結局難しいという人は多い。セキュリティの問題もある。だったら、「SNSをまとめることで、ホームページができる」というものがあれば、簡単だし、更新も早くなるのではないかと考えました。

ソシャリス エバンジェリスト 植木研介氏

野島:ソシャリスのメンバーがもともとこのアイデアを持っていて、個人のサイトで試しに作ってみたんですよ。これをサービスにしたら、もっと簡単にWebサイト作れるんじゃないのというアイデアからスタートしています。

植木:まずは複数のSNSを流し見できるリーディングツールにして読者を集めることを考えました。だから、今のSocialisは複数のSNSを一覧表示できる機能と、あとで見たいモノを保存するクリッピングの機能があります。クリップは非公開でもいいし、シェアしてもOKです。TogetterのまとめてSNS縦断でできて、自分用にも、他人用にもできるみたいなイメージですかね。

大谷:はてなブックマークやTumblrのSNS版みたいな感じですね。発表後の反応はどうでしたか?

野島:現状のユーザー数はまだ多くはないです。ターゲットとしては若めの大学生を中心に拡げていくつもりだったのですが、実際にサービスを始めてみると平均30~40代くらいなんですよね。知り合いづてでサービスを拡げているので、年齢高くなってます。

植木:まあ、われわれがおっさんだというのもあります(笑)。今、iOS版しかないんですが、今後はAndroid版、ブラウザ版も作っていきたいし、SNS連携ももっと簡単にしたいです。クリップリストも、気がついたらエゴサしなくてもエントリが溜まっているみたいなスマートクリップリストにしていきたいです。

大谷:想像しなかったような使い方が出てきそうで楽しみです。

SNSをまとめれば、将来的には優秀な検索ツールになる

植木:SNSと一言で言っても、FacebookやTwitterなど各サービスの傾向や雰囲気に合わせて投稿する内容や表現を変えたりしますよね。それら単体では自分の一部に過ぎないので、必ずしも全人格を表しているわけではない。でもすべてをまとめて表示させることで、SNSにおける人格みたいなものが浮き彫りになるのではないかという試みもあります。

大谷:うーん。お言葉を返すようですが、SNSってその特性が故に、アカウントごとに使い分けているわけで、まとめたいというニーズってあるのかなと。うちでとっている中学生新聞の記事によると、今の中高生は平均4つくらいのTwitterアカウントを使い分けているらしいです。

植木:その意味では、われわれが発信側で想定しているのは企業やSNSをフル活用している個人。たとえば、クリエイターやアーティスト、売り出し中のアイドルとか、YouTuberとかですね。

野島:受信側もビューアとしてであれば、SNSと連携しなくても使えます。メールアドレスを登録して、Socialisをやっている人をフォローすれば、その方のTwitterもFacebeookも全部チェックできます。UIもフォローしている人ごとにタイムラインが変わっていくので、対象の情報を追いかけるのにすごく便利です。

植木:「Facebook、Twitter、Instagramフォローしてねー」より、「Socialisフォローしてねー」の方が楽です。SNSは特にやりたくないけど、SNSで発信されることはチェックしたいという人に使ってもらえたらなと。

「Socialisフォローしてねー」と言われたいです(植木氏)

大谷:なるほど。日本は特にSNSはROM(Read Only Member)が多いといいますからね。

植木:将来的には優秀な検索ツールになるといいなと思っています。

野島:GoogleではSNSの情報は検索できないですが、SocialisであればSNSの世界を1つにまとめているため、横断的に検索できます。

植木:今の子はGoogleじゃなくて、Twitterで検索するらしいしね。

大谷:先日、御社主催の鹿児島のイベントでえふしんさんが面白い話をしていて、Facebookなり、Instagramなり、TicTokなり、いろんなSNSがあるけど、戻ってくるのは結局Twitterではないかと。確かに昨日、東京駅の食堂で宮崎の冷や汁を食べていて、作ってみたいってFacebookで書いたら、コメントで送られてきたレシピはTwitterなんです。Twitter民にとってのインターネットはTwitterであって、すべての情報はTwitter経由で消費されるんですよね。

野島:高校生にインターネットやってる?って聞くと「やってない」って答えるんだけど、Twitterやってる?って聞くと、「やってる」って答えが返ってくるんですよね(笑)。

大谷:そういう意味では、SNSをまたぐという発想自体がおじさん的な発想なのかもと思いました。

植木:とはいえ、Twitterから始まって、Facebook、Instagram、Pinterestなど、とりあえずSNSも1周すると思いますし、これからも増えていきますよね。ゆくゆくは海外のメジャなSNSにも対応していきたいんです。Socialisが目指しているのはSNSというより、メディアなんです。

大手を振ってパラレルキャリアをやっている

大谷:さくらの中では、一応副業なんですよね。

野島:副業というか、複業ですね。さくらはパラレルキャリアOKなので、大手を振ってソシャリスやってます。まあ、どっちが本業で、どっちが副業かわからないですね。

大谷:パラレルキャリアってメイン、サブじゃないですからね。

植木:自分にとってはパラレルキャリアの方がメリットが大きいです。さくらにいると社長の田中やフェローの小笠原の話を聞けるので、お二人の話を聞いて、新しいアイデアのヒントを得たりできるのはさくらインターネット社員の特権ですね。

大谷:インフラもさくらのものを使っていますよね。

野島:はい。他のスタートアップと同じ審査基準で、さくらのスタートアップ支援を受けています。

植木:野島はインフラ担当。スタートアップではあり得ない規模を使っています。

野島:現在のサービス規模で40台くらいのサーバーが動いていて、回線も太いです。SNSのデータはAPIを叩いて取得するのですが、そのアクションには異なる回線を使っています。画像データもあるし、けっこう大きなデータのやりとりになるので、ユーザーアクセスとは分けておかないと、データの更新処理ですぐに回線が輻輳してしまいます。いまのところさくらのクラウドのみで構成していますが、ディスクの使用量が予想よりも増加スピードが早いので、ハウジングや専用サーバなどハードウェアを使った次期構成も考えています。

大谷:思っていたよりも潤沢に使っていますね。

野島:スタートアップにしては大規模なインフラ構成に見えるかもしれませんが、ロードマップの最終形態では世界規模のインフラ構成までを描いています。エンジニアとしてプレッシャーもありますが、さくらで何万台というサーバーやデータセンターを見てきたので、特に抵抗はなく楽しんで設計をすることができました。

大谷:さくらでの経験もしっかり生きているわけですね。

野島:運用面で苦労する点もある程度わかった状態で始められているので、運用設計の段階でさまざまな工夫ができています。運用に関わる時間も最小限にできており、よりクリエイティブなことに時間を使うことができていますね。

サービスをリリースしてわかったこともたくさんあります。現状は大幅なサービスの改革のため、サービスを一時休止しておりますが、これまでの経験とデータを活かし、次期提供に向け開発を進めています。

植木:結局、僕らはさくらインターネットが大好きなんですよ。だから、仮にスタートアップの事業がこのまま伸びても、さくらインターネットといっしょに成長できる事業になるといいなと思っています。

野島:さくらは社長の求心力や、エンジニア達の魅力ももちろんありますが、それだけではないんですよね。さくらのサービスを支えるシステムは、20年間エンジニアが技術トレンドを追いかけ続け、失敗や成功を繰り返し試行錯誤をしながら作り上げてきています。そのシステムに関わり、過去の失敗や成功に触れられるというのはエンジニアにとって、とても恵まれた成長できる環境です。その中でスタートアップにチャレンジできたことは心強かったですね。さくらインターネットのサービスやメンバーが大好きなので、引き続きさくらとはさまざまな形で関わっていきたいと思っています。

(提供:さくらインターネット)

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