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本当に眠れる技術、「ねむりの相談所」プロが徹底解説

2018年10月30日 06時00分更新

文● 岡林敬太,清談社(ダイヤモンド・オンライン

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寝付きが悪い、寝ても疲れが取れない、夜中に何度も目が覚めてしまう…。そうした睡眠にまつわる悩みの解決をサポートしてくれる「ねむりの相談所」なる場所があるらしい。スリープマスターと呼ばれる睡眠のプロが、最新機器を用いながら睡眠時の環境などをカウンセリングし、さまざまなアドバイスをしてくれるというのだ。(フリーライター 岡林敬太、編集/清談社)

最新機器で眠りの質を分析
眠れない現代人の駆け込み寺

眠りのプロがさまざまなアドバイスをしてくれます。
睡眠にまつわる悩みの中で、特に多い5つの悩みについて、プロにアドバイスをしてもらいました Photo:PIXTA

 大手寝具メーカーの東京西川(西川産業株式会社)が今夏、国内に居住する18~79歳の男女1万人の睡眠事情を調査したところ、「49.3%の人に不眠症の疑いあり」との結果が出たという。睡眠の質についても、「満足」と答えたのはわずか3割。最も不満が多かったのは、男女ともに40代。働き盛りの世代や子育て世代が満足な睡眠を得られていない実態が明らかになった。

 そうした“眠れない現代人”の駆け込み寺として人気を集めているのが、「ねむりの相談所」である。東京西川が昨年から全国の直営店などの一角でサービス展開しており、Webサイトから予約を入れれば、睡眠科学や快眠環境などの専門講習を受けた眠りのプロフェッショナル「スリープマスター」がマンツーマンで相談に乗ってくれる(アドバイスは無料で、測定機器のレンタル料が1080円)。

 同相談所が画期的なのは、相談者の眠りの質を分析するための最新機器を導入している点だ。

 まずは「睡眠環境解析サービス」。これは、腰に装着するコイン型の活動量計を事前に1~2週間貸し出して、睡眠時の姿勢、寝返り回数、睡眠時間、日中の運動量などを測定し、各人の眠りを可視化するというもの。

 次に「寝室チェックシステム」で、こちらは枕元に置ける小さいサイズのセンサーを1週間ほど貸し出して、温度、湿度、照度、音圧を測るというもの。これらの測定結果をもとにスリープマスターが、環境や習慣の改善アドバイスのほか、必要に応じて商品提案もしてくれるのだ。

寝室の明るさは
どの程度が適切なのか?

全国に21ヵ所ある「ねむりの相談所」

 全国に21ヵ所あるねむりの相談所には、30~50代を中心に、さまざまな悩みを抱えた男女が相談に来るという。中でも相談件数の多い「5つの悩み」と、それぞれの主な解決策を、スリープマスターの富下瞳さんに聞いてみた。

(1)寝ている最中に目が覚めてしまい、再び寝付くのに時間がかかる。

富下 これは一番多く聞かれるお悩みで、まず考えられる原因は、体と寝具が合っていない可能性が高いということ。ですので、寝具の見直しを検討してみるとよいでしょう。また、途中で目が覚めてしまう方は、お手洗いで起きるケースが多いため、寝る前の水分の取りすぎにも要注意です。就寝中の寝汗の量はコップ1杯程度ですので、寝る前に飲む水分量はそれを補う程度で十分です。

――寝る前に飲むのは、どのような水分がオススメですか?

富下 温かいハーブティーやホットミルクがよいでしょう。コーヒーや緑茶はカフェインが含まれるので、寝る前は避けたほうがよいです。

測定器をつけていた期間の睡眠状態などが丸裸になる。記者も被験者になったところ、「寝室の気温が5度高い」「日中の運動量が少ない」などの指摘を受けたが、総合評価は「5点満点で3点」。もっとひどい結果を想定していただけに、以後はホッとして安眠できる日々が続いている

――途中で目が覚めてしまった場合、再び眠りにストンと落ちるコツは?

富下 なかなか寝付けないというのは、お年を召された方に多いお悩みなのですが、トイレに行かれる際、足元の安全を保つために寝室や廊下などのあらゆる電気をつけていないでしょうか? 光を浴びると、眠るために必要なホルモン(メラトニン)の分泌が抑制されてしまいます。ですので、明かりはフットライト程度にとどめるか、青白い蛍光灯ではなくオレンジ色の間接照明に切り替えるなどの対策も有効です。

――寝室を真っ暗にしたくない、テレビをつけたままという人もいます。

富下 必ずしも真っ暗にする必要はないです。睡眠中は0.3ルクス未満の明るさが理想です。「ここにティッシュケースがあるな」「ここに椅子があるな」などと、うっすら認識できる程度の明るさが目安となります。また、寝ながらテレビをご覧になる方は、おやすみタイマーをセットするとよいでしょう。テレビは光だけでなく、音声も睡眠を邪魔します。安眠の基準は40デシベル以下。図書館ぐらいの静けさが理想で、それ以上だと人体が「騒音」と捉えます。「音楽や人の声」は騒音レベルですから、就寝時のラジオもできれば避けたほうがよいです。

寝ても疲れが取れない人に
オススメの対策あれこれ

(2)日中も眠気に襲われ、仕事に集中できない。

富下 これは単純に、睡眠不足であるケースが多いです。昼食後の眠気については、生活のリズムの中で自然と訪れるものですから心配は要りませんが、午前中から眠くて仕方がない方は、おそらく寝不足ですので、まずは睡眠時間をしっかりとキープしましょう。1日最低6時間程度の睡眠を確保したいものです。

――寝酒を飲んでもよいですか?

富下 お酒は入眠効果こそ高いですが、その効果が長く持続しないのが特徴です。お酒を飲むと、アセトアルデヒドを分解するために体内の臓器が働いてしまうほか、利尿作用も高まるため、途中で目が覚めやすいのです。お酒を飲むのは就寝の2、3時間前までにとどめていただき、消化してから寝るのが理想的です。また、アルコールは3日ぐらいで耐性ができてしまいます。寝酒の量がどんどん増えないように、適量をたしなむ程度にしましょう。

(3)いくら寝ても疲れが取れた気がしない。

富下 寝ても疲れが取れないのは、寝る前の過ごし方に問題があるのかもしれません。就寝前に、スマホのゲームや動画観賞など、神経を高ぶらせる行為をしていないでしょうか? 深い睡眠を得るためには、副交感神経の働きを高めることが重要です。副交感神経の働きは、リラックスした状態で高まるもの。寝る前に興奮したり辛いものを食べたりするのは極力避け、穏やかな環境を作ることがポイントになります。ストレッチやアロマなどで、体と気持ちを“眠りモード”に切り替えることをオススメします。

――寝る前に腹筋運動をするのはダメでしょうか?

富下 腹筋やスクワットは呼吸が乱れてしまい、眠りに落ちにくくなります。しっかり深い呼吸をするためにも、ストレッチを推奨します。特に肩こりや目の疲れなどでお悩みの方は、ストレッチで体をほぐして、気持ちを落ち着かせてから就寝するとよいでしょう。また、日中の運動量も重要です。デスクワークなどで座りっぱなしの時間が長い方は、散歩など身体を動かすことを習慣づければ、適度な疲労感から良質な睡眠をとりやすくなるでしょう。

最適な敷き布団は
体圧分布測定器で探すべし

――アロマはどのような香りがオススメでしょう?

富下 副交感神経を優位にしてくれるラベンダーやオレンジスイート、ヒノキなどのウッド系がオススメです。枕に振りかけるピローミストもよいでしょう。緊張や不安をやわらげる香りとして、ほかにもカモミール、ローズ、ゼラニウムなどがあります。アロマにせよピローミストにせよ、「嫌いな香りは避ける」というのが鉄則になります。

(4)眠りが浅い気がする。深く眠れない。

富下 眠りが浅い原因は、寝返りの回数が多いから、というケースが多いです。ですので、寝具の見直しをしてみてはいかがでしょうか。硬すぎる敷き布団を使うと、体の出っ張った部分だけで体重を支えますので、どうしても体が痛くなり、寝返りの回数も増えてしまうのです。

 逆に柔らかすぎる敷き布団もよくありません。寝るときは腰付近に約44%の重心がかかりますが、柔らかすぎる寝具だとハンモックで寝たときのように腰がズンと落ちる形になり、特に腰痛持ちのお年寄りの方にとっては苦しい体勢となってしまいます。ですから、敷き布団は「柔らかすぎず、硬すぎず」が理想と言えます。自分に合った敷き布団をお探しでしたら、体圧がどのくらいかかっているか可視化することができる体圧分布測定器を利用されるとよいでしょう。弊社の店舗にもご用意しているところがあります。

「光と朝食」のセットが
体を目覚めさせる

(5)朝、すっきりと目覚めることができない。

富下 まずはしっかりと光を浴びること。朝起きたら、カーテンを全開にしましょう。体全体で日光を浴びると、体内時計のリズムがリセットされ、脳を覚醒させる効果があります。

 あと大事なのは、起きたら朝食をちゃんと食べることです。脳は光によって朝の訪れを認識しますが、体内の臓器は光で朝を認識することが難しいので、何かをしっかりかむ行為によって、今は“起きるモード”なのだと体に認識させるとよいでしょう。「光と朝食はセット」とお考えください。

――私は昼夜逆転生活になりがちで、夜中から仕事を始めることも多いのですが、なかなかエンジンがかかりません。

富下 太陽光がない時間帯でしたら、部屋の蛍光灯でも結構です。起きたらとにかく、全身で明るい光を浴びてください。

――夜間はデスクライトだけで仕事をしていたので、さっそく改善したいと思います。あと、寝る前のスマホと、テレビをつけっぱなしで寝るのも今日を境にやめてみようと思います。

富下 生活習慣をちょっと見直すだけで、悩みが軽減されるケースも多いです。そのためにもまずは、原因を知ることが大切です。「眠りについて悩んでいるけど、いきなり病院に行くのはハードルが高い」。そんな方は、私どものねむりの相談所をお気軽にご利用ください。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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