さて秋も深まってきた今日この頃、そろそろ街中で這いつくばって撮った猫もたまってきた。
文字通り、冒頭写真みたいなやつ。可動式モニターのカメラが主流になったおかげでリアルに這いつくばることはなくなったのだけど、冒頭みたいに地面にぺちゃんとなってる猫を撮るときは四つん這いくらいにはなるわけで、だいたい、肘を地面についた状態で撮っている。そうすると必然的にちょっと不審な格好になるわけだ。
幸いなことに、猫がぺちゃっと座ってるような場所は人通りがないところなので、這いつくばっても目立たないのだけど。
こちらは駐車場裏の車が入れない狭い道で。遠くに見えたので、そーっと近寄って、このくらいなら逃げないし、写真もいい感じに撮れそうって距離で這いつくばったのだ。右の柵がほどよく入るのもいい距離。
この白黒猫、この写真の左手からやってきて、右手の駐車場へ入ろうとしたのだが、ちょうどそこに人が来たのでいったん止まって様子を伺っていたところ、わたしに見つかったというわけだ。このあとそっと駐車場へ入っていったのであった。
猫はどこでどうであっても味わい深いものなのだけど、街中となるとまた違った楽しさがある。何でも無い場所にちょこんと座ってるときのそこにいるはずのないものがいるって感じの違和感、ひょんなところからぬっとあらわれてまた去っていくときの不思議な感じがじわじわくる。だから街の猫写真はその場所が想像できるような背景があった方がいい。
背景は欲しいけど、場所が特定できるような入れ方はしないのがマナーなので、そこは腕の見せ所。たとえばこういうごちゃっとした場所をすーっと歩いてきた猫。なんか違和感なく溶け込んじゃってるけど、猫が棲息する隙間がいっぱいある街って感じがいい。
街の猫は表通りよりは裏通り、小綺麗な家よりは雑然としたとこの方が似合うわけだが、たとえばこんなん。
さらに、ほわっと人が写り込んでるとなお良い。先日、中野区の古い住宅街の狭い路地で猫と出会ったのである。これだけだとカーブしている道路の隅に猫がいたってだけの写真。住宅街の隙間にいそうな、なんてことない猫写真だ。
こんななんてことない猫写真も背景に人がはいると雰囲気が一変する。この路地の具合がよかったので這いつくばって猫目線で撮ろうと構えなおしたら、駅からの抜け道にでもなっているのか、数人が同時に歩いてきたのである。で、その中の3人がいい感じにおさまる瞬間を狙ってシャッター。
3人とも猫を全然気にしてないのがいい(猫を狙って這いつくばってるわたしの方が不審だっただけかもしれないけど)。
猫だけの写真と比べるとじわじわときません?
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老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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