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北海道を最先端Techで開拓する「No Maps 2018」レポート第20回

「北海道だからこそ挑戦できた」実験の背景や現状、将来のビジョンをカタクラフーズに聞いてみた

天然物に負けないAI・IoT活用サクラマス陸上養殖実験

2018年11月30日 09時00分更新

文● 重森大 編集●北島幹雄/ASCII STARTUP

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 北海道を壮大な社会実装実験場にするプロジェクト「No Maps Future Lab」。その取り組みのひとつが、北海道では初となるサクラマスの陸上養殖実験だ。株式会社カタクラフーズと地方独立行政法人北海道立総合研究機構(道総研)、日本オラクル株式会社にさくらインターネット株式会社の4者が協力して進めているプロジェクトで、開発中である飼料の給餌実験やIoTを活用した遠隔管理の実験など、興味深い要素技術がいくつも組み合わさっている。実際に稚内の実験場を訪ね、背景や実験の現状、そして将来ビジョンをカタクラフーズに聞いた。

飼料事業撤退から、縮退よりチャレンジを選んだカタクラフーズ

 北海道は水産資源に恵まれた地であり、水揚げされた魚介を使った産品も多い。これらを製造する水産加工工場で生じるのが、商品としては使わない部位、魚粕(ぎょかす)だ。中には貝類の内臓のように、重金属を含んでいるものもあり、産業廃棄物として処分される。カタクラフーズではこうした魚粕を主原料とした肥飼料を開発、販売していた。しかし、その事業に暗雲が立ちこめてきたという。

 実はここ数年、北海道の水産業は縮小が続いている。水揚げ高は減り続け、それにともなって水産加工工場で製造される商品の量も減少、結果として肥飼料の主原料となる魚粕も減少傾向にある。カタクラフーズは元々、肥飼料事業と食品事業を大きな柱としていた。その一方の柱が存続の危機に立たされたとき、株式会社カタクラフーズ 代表取締役 猪股 和範氏は縮退ではなく新たなチャレンジを選んだ。

 「採算性が悪くなり、肥飼料事業を閉鎖することにしました。その分人員が余りますし、使われなくなる設備もあります。それらを使って道総研とともに新しいことにチャレンジしよう、そう決めました。最新技術を使った養殖実験に踏み出したのです」(猪股氏)

株式会社カタクラフーズ 代表取締役 猪股和範氏

 豊富な天然資源に頼り切って創業してきた北海道の水産業。養殖という点では、ほかの地域に比べて知見が不足していた。逆に言えば、経験からの思い込みもしがらみもないということ。これを上手く活かした一手だった。

 カタクラフーズと道総研は、水産加工工場で廃棄されるホタテの内臓部分、ウロを使った飼料づくりの研究で足並みをともにしてきた。その協業関係に加えて日本オラクルやさくらインターネットの協力を得るために、No Maps事務局が大きな役割を担ったという。

 「IoTに興味はあっても、実際の技術を持った人材が社内にいるわけでもなく、誰を頼ればいいのかもわかりませんでした。No MapsはIT系の企業や研究機関、さらに行政機関ともつながりを持っていて、求めている技術を持っている企業や機関同士をマッチングしてくれるありがたい存在です」(猪股氏)

 猪股氏は新しいチャレンジを地元稚内で始めるにあたり、稚内市も巻き込むことにした。プロジェクトが成功すれば稚内に新しい事業が生まれることになる。それをカタクラフーズだけの手柄にするのではなく、稚内市の水産業を盛り上げる力として育てていきたいと、猪股氏は力強く語った。

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