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北海道を最先端Techで開拓する「No Maps 2018」レポート第18回

迷子になったあと探せる技術ではなく、迷子にならない技術を

歯磨きでおなじみのライオンが開発する迷子防止フットウェア

2018年10月26日 09時00分更新

文● 重森大 編集●北島幹雄/ASCII STARTUP

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 昨年のNo Mapsに続いて、No Maps 2018でもライオンは札幌駅前地下歩行空間、通称「チ・カ・ホ」に展示ブースを出していた。ブースを訪れて驚いたのは、歯磨きや手洗い用品と並んで、IoTを活かした新しい提案が行なわれていたこと。生活に密着する商品を数多く販売するライオンからなぜIoT製品が生み出されたのか、それはどのような体験を与えてくれるのか。

日本に新しい生活習慣を取り入れ続けてきたライオン

 2017年のNo Mapsでは、歯磨き指導をしてくれるAIミラーを展示していたライオン。ライオンと歯磨きの関連性はわかりやすく、テクノロジー活用としても面白い取り組みだった。今年も歯磨き、手洗いなどに関して新しい提案を行なっていた。たとえばハンドソープを使うと、その情報が遠隔地に届くというIoTの仕組み。これまでの生活習慣に何かを足すことなく、離れた場所にいる家族を見守ることができる面白い取り組みであり、実用化したらぜひ離れて暮らす母の家に置きたいと思った。

手洗い習慣を活かして、離れた家族に帰宅を知らせる手洗い石鹸容器の試作品

 さらにブースを見ていくと、唐突に雰囲気の違うエリアが現れた。床にはさまざまな模様が描かれ、子供用のスニーカーが並んでいる。ライオンは靴や衣料ビジネスを手がけていなかったはず……と思いながら話を聞いたところ、株式会社ドリル、ライオン株式会社イノベーションラボ、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の三者からなる「迷子防止フットウェア製作委員会」が取り組むまったく新しいジャンルへの挑戦だそうだ。

手洗いや歯磨きと並んで突然現れる楽しげな展示エリア

 それにしても、これまでに提供してきた商品群とあまりに違うジャンルではないかと、素直に「なぜライオンがフットウェア開発に名を連ねているのか」と話を聞いた。答えてくれたのは、迷子防止フットウェア製作委員会で活動する企業の1社、株式会社ドリルの細田 勇生氏だ。

 「そもそもライオンは、より良い生活体験のために新しい生活習慣を日本に広め続けてきた歴史を持っているんです。今回のフットウェア開発は既存商品の延長線上にはないかもしれません。しかし、より良い生活のために役立つ新しい習慣という点では、過去の企業活動とつながっているのです」(細田氏)

 そう言われてライオンの社史をひもといてみると、「日本で初めて」「日本初の」という文字が多く目に留まった。今でこそ当たり前になったチューブタイプの練り歯磨き粉を日本で初めて商品化したのも、ライオンだった。また、歯磨きの習慣を広めるため、積極的に活動を続けていた。

子供を追いかけるのではなく、子供が自然と親に着いてくる仕組みづくり

 迷子になった子供をGPSなどでトラッキングする製品は、すでに市場に存在する。既存製品に共通するのは、迷子になったあとで手を打つということ。それよりも、子供が迷子にならないようにできないか。それもリードで結びつけるような強制的な手段ではなく、子供が自発的に親の近くに居続けるよう仕向けることはできないか。そう考えて生まれたのが、子供向けフットウェア「NOSSY」だ。

 NOSSYは、親が装着するバンドと子供の靴に装着するアタッチメントの組みあわせからなる。Bluetoothで通信し、親の近くを歩くときだけアタッチメントが振動し、子供に楽しい歩行体験を与える。あるときは水たまりを歩いているような、あるときは雪の上を歩いているような、そしてまたあるときは自分が象のような大きな体になったと感じるようなズシンズシンという感触を。親のバンドの近くでなければこれらの歩行体験を楽しめないので、子供は自然と親から離れずにいるという仕組みだ。

 同時に親のバンド側でもバイブレーションが発生し、子供が近くにいることを目で追わなくても把握できる。振動を感じている間は、安心してショッピングなどを楽しめるという訳だ。

子供側のデバイスは、靴に取り付けるアタッチメントタイプ

 子供側のデバイスをアタッチメントタイプにしているのは、いくつかの理由がある。ひとつは、子供は成長が早く靴のサイズも次々に変わるので、このような機能を内蔵した高価な商品を日常に取り入れるのは現実的ではないということ。

 もうひとつの理由は、個人で購入するのではなく店舗などで貸し出しすることを視野に入れているということ。親が熱中し、子供が飽きやすいようなお店でこのデバイスを貸し出せば、子供をうっかり迷子にさせることが減るだろう。自動車販売店やキャンプ用品店など趣味性の高い店舗では、大人はつい長時間商品を物色したり、店員と相談に熱中したりしがちだ。そんなときでも、バンドからのバイブレーションで子供を近くに感じていられれば、安心できる。

決まったエリア(写真は雪のエリア)を通るときだけ特定の振動(雪の上を歩くザクザクという感触など)を起こすこともできる

ライオンブースで見つけた、ウェアつながりのIoT試作品

 以下は余談となるが、ライオンブースではフットウェア以外にも、IoTを活用したウェアの試作品があった。それはなんと、成人用の下着、パンツだ。身につけているだけで、リアルタイムにウェストサイズの変化をトラッキングし、「急にサイズが大きくなりました。食べ過ぎていませんか?」などとアドバイスをくれるのだという。

自動的にウェストを測定し、生活アドバイスをくれる下着の試作品

 健康には役立つかもしれないが、こちらは実用化しても着用は……。中年の悩みの深さは、数字じゃ表せないんだよ(笑)

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