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三井E&S造船が中国合弁ぶち上げ、物産の参画に業界騒然!

2018年10月19日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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造船

「われわれは自前主義は捨てました。三井造船(現三井E&Sホールディングス〈HD〉)が100周年を迎えた昨年には、はっきりその方針でいくと決めていた」

 今年8月下旬、三井E&SHDの造船事業会社である三井E&S造船の古賀哲郎社長が語っていた覚悟は本物だったようだ。10月11日、三井E&S造船は、来年4月に中国の民営造船最大手である揚子江船業と造船合弁会社を設立すると発表した。

 合弁会社では、三井E&S造船の設計力や建造ノウハウと、日本の3分の1~5分の1という中国の安価な人件費を背景とする揚子江船業の建造力を生かし、まずはばら積み貨物船の建造から始める。

 それだけではない。将来的には大型のタンカーや、液化天然ガス(LNG)船の建造ももくろむ。特にLNG船は、大気汚染対策に躍起となり、LNGの輸入を急増させている中国には必須の船だ。中国は自国の物流は自国の船で行うという「国輸国造」の方針を掲げているから、なおさらである。さらに、調達面でも親会社を含めた共同化なども検討する考えだ。

 三井E&S造船は今年5月にオーナー系の造船専業会社である常石造船と業務提携を結んだばかり。ただ、同社とは今後マーケットの拡大が見込まれる東南アジアの需要を共に取り込んでいくもようで、今回の合弁会社とは協業の範囲を異にするという。

日系造船が仕事を奪われる危機

 実は三井E&S造船のこの決断、日本の造船業界をざわつかせている。常石造船には提携交渉時に説明済みだったから問題は生じなかったが、ある造船関係者によると、建造量日本一を誇るオーナー系の今治造船の関係者などが不満を漏らしているという。

 というのも、合弁設立に三井物産がかんでいるからだ。出資企業の一社として名を連ねる上、営業まで担う。

 市況の浮き沈みが激しい造船業界では、不況の際にいかに受注を確保できるかが収益安定化のカギを握る。例えば川崎重工業は同じく中国に造船合弁会社を持つが、その合弁相手は大手海運会社だ。そのため、「いつでも、ある程度安定した受注が確保できることが強み」(川重幹部)となっている。

 三井E&S造船にとって船の発注の仲介に長けた商社という後ろ盾は大きいが、三井物産と取引のある日系造船会社にとっては脅威である。三井物産は「うちの仲介先が今回の合弁会社に限られるわけではないし、業界からもそう受け止められている」とするものの、営業力、技術力、価格力の三拍子がそろう合弁会社に仕事を奪われる恐れは否めない。

 三井E&S造船にしても、今後、業界から嫌味を言われかねない状況だ。今、日本勢は無茶な安値攻勢を仕掛けてくる中韓勢に適正な競争を促している。その旗振り役である日本造船工業会の会長を担っているのが何を隠そう、加藤泰彦・三井E&SHD相談役なのだ。

 これら波紋が生じる可能性を心得つつ、なお踏み出した一歩に三井E&S造船の危機感が表れる。今年4月に三井E&SHDが誕生。造船の事業会社として独立し、他部門への依存が許されなくなった同社は、いよいよ“強硬”な生き残り策を講じ始めている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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