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NTT Com「Nexcenter」採用で来春提供開始、国内へのデータ保持を求める顧客ニーズに対応

ServiceNowが東京/大阪へのデータセンター開設予定を発表

2018年10月18日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 ServiceNow Japanは2018年10月17日、日本市場向けのサービス提供拠点となる国内データセンターの開設予定を発表した。2019年春からサービス提供を開始する予定で、ユーザーは国内にデータを保持しながら、ServiceNowの全SaaS/PaaSラインアップを利用できるようになる。NTT Comのデータセンターサービス「Nexcenter」を採用し、東京/大阪に開設する2拠点をアクティブ-アクティブ構成で結ぶ。

 同日の発表会にはServiceNow Japan 社長の村瀬将思氏のほか、米ServiceNow 上級副社長のパット・ケーシー氏、NTT Com 代表取締役副社長の森林正彰氏も出席し、両社による戦略的な協業としてServiceNowの国内データセンターを開設し、日本市場におけるServiceNowビジネスを加速させていくことを説明した。

米ServiceNow, Inc. DevOps担当SVP兼エンジニアリング担当責任者のパット・ケーシー(Pat Casey)氏、NTTコミュニケーションズ 代表取締役副社長の森林正彰氏、ServiceNow Japan 社長の村瀬将思氏

国内にも高可用性データセンターを開設、日本市場でのさらなる成長目指す

 米ServiceNowのケーシー氏は、今回発表した東京/大阪データセンターが、グローバルで「10番目のペア」になると説明した。

 ServiceNowはすでに北米/南米/欧州/アジア太平洋の主要都市にデータセンター拠点を持つが、いずれも地理的に離れた2つのデータセンターを1つの「ペア」とし、アクティブ-アクティブ型でサービス基盤を構成する「ノンストップクラウドアーキテクチャ」を採用している。これにより、サービスやデータに99.9996%以上の高い可用性や堅牢性、スケーラビリティ、そして耐災害性をもたらす。

ServiceNowでは「ノンストップクラウドアーキテクチャ」を採用し、サービスの可用性やスケーラビリティを高めている

 ServiceNow Japanの村瀬氏は、これまで顧客から国内データセンターの設置を求める声が強く、数年前からServiceNow社内においても日本へのデータセンター設置をめぐる議論が続けられてきたと振り返る。

 「『Global 2000』(フォーブスが定める世界の公開企業トップ2000社)企業のうち、46%がすでにServiceNowの顧客となっている。そしてGlobal 2000の1割以上、229社を日本企業が占める。グローバルのServiceNowからも、日本市場におけるビジネスの拡大が求められており、実際にこの2、3年ほど、日本市場のビジネスは大きく伸びている。まさにこのタイミングだということで、日本にもデータセンターを開設する運びとなった」(村瀬氏)

 日本国内にデータセンターを構えることで、さまざまな業界で法令遵守のために求められる国内でのデータ保持が可能になり、顧客ターゲットが拡大する。さらに、国内パートナーが提供するデータセンター/クラウドサービスとのジョイントソリューション開発が進み、その点でもシナジーが生まれるのではないかと説明した。

日本国内のデータセンター開設により、国内へのデータ保持を求める顧客に加え、ServiceNowとの連携ソリューション開発を進めるパートナーにもメリットがあると説明

「ServiceNowはNTT Comが目指す『DX Enabler』の戦略的パートナー」

 NTT Comの森林氏はまず、世界20以上の国/地域でデータセンターを展開する同社は、グローバルでトップ3のデータセンタープロバイダーであると説明した。各国/地域にデータセンターを配置したうえで、それらを結ぶ大容量のグローバルネットワークも保有しており、「データセンター、ネットワークの両方を提供できるのがNTT Comの強み」だと語る。

 そのうえで、現在のNTT Comは、顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する「DX Enabler」のビジョンを掲げていると語る。そのためには、データセンターインフラサービスにとどまらず、顧客の「データプロセス」や「ビジネスプロセス」を支援するサービス群も含めて提供する必要がある。

 「こうしたトータルサービスは、当然NTT Com単独では展開できず、戦略パートナーが必要となる。ServiceNowは、そうした戦略パートナーだと考えている」(森林氏)

 NTT ComではServiceNowを、(1)社内向けITサービス管理、(2)社外向けサービスの運用管理、(3)顧客へのServiceNowソリューション提供、という3つのかたちで活用している。まずは社内活用でノウハウを蓄積し、それを顧客ソリューションへと展開していくかたちだ。

 (1)の社内活用事例としては、新入社員(パートナー社員)の入社手続きプロセスをServiceNowで管理し、連携システムの自動化によってスムーズにPCなどのリソースを配布できるようにしている。「これにより年間2万4000時間以上の改善効果があった」という。

 また(2)社外向けサービスでは、たとえばクラウドサービスの運用管理業務においてServiceNowを採用し、機器故障発生時の復旧プロセスを自動化、かかる時間を15分から1分まで短縮した事例を紹介した。そのほかにもグローバルなサービスオペレーション、ヘルプデスクサービスなどでも、バックエンドでServiceNowを活用しているという。

NTT Comでは顧客向けサービス運用管理でもServiceNowを活用している。この例ではクラウドサービスの障害検知から復旧までのプロセスをServiceNowで統合管理し、復旧にかかる時間を大幅に短縮している

(3)顧客へのServiceNowソリューション提供では、ServiceNowを活用した顧客ITの保守運用サービスである「運用アウトソース」をすでに提供しているほか、2019年度からは「ServiceNow ITSMソリューション」を提供予定であると述べた。前者はカスタマイズを求める顧客向け、後者はITサービス管理(ITSM)を標準化/シンプル化したい顧客向けのサービスとなる。

 「運用アウトソースのサービスは、すでに10社以上の顧客に提供している。ServiceNowの運用サポートだけでなく、NTT Com内にアジャイル開発体制を設け、顧客のニーズに応じてアジャイル型で、ServiceNowのカスタマイズ開発をアウトソースできる」(森林氏)

NTT Comが顧客向けに提供するServiceNowの運用アウトソースサービス。アジャイル開発組織により、迅速なカスタマイズができる点を特徴としている

 まとめとして森林氏は、日本市場に限らずグローバル市場においても、ServiceNowとの協業を通じてビジネスを拡大していきたいと語った。

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