このページの本文へ

iPad版Photoshopやオールインワン動画アプリも

アドビがAdobe MAXで主要CCアップデート発表、初ARアプリも

2018年10月15日 22時01分更新

文● 貝塚/ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

Project Aeroによるコンテンツ。金属の構造物に、デジタルの蝶を重ねている

 アドビは10月15日、同社の開催するクリエイティブカンファレンス「Adobe MAX」で、「Photoshop CC」「Lightroom CC」「Illustrator CC」「InDesign CC」「Premiere Pro CC」「Adobe XD」など主要アプリのメジャーアップデートを発表した。

 また、ビデオの編集機能とYouTubeやInstagramといったSNSサービスへの投稿機能をまとめた、オールインワンタイプの新動画制作アプリ「Adobe Premiere Rush CC」を公開した。

 合わせて、iPad版の「Adobe Photoshop CC」とイラスト制作アプリ「Project Gemini」がリリースされることも明かされ、プレビューを紹介した。

 この発表に合わせ、アドビのチーフプロダクトオフィサー兼Creative Cloud担当エグゼクティブバイスプレジデントのスコット・ベルスキー氏は、「デバイスとプラットフォーム間のクリエイティブワークフローを変革することで、クリエイターコミュニティに有意義な価値をもたらす、次世代クリエイティブアプリケーション群。新しい分野に参入し、タッチ操作、音声認識、3D、拡張現実(AR)などの新しいメディアに積極的に取り組んでいくことで、Adobe Creative Cloudは、すべての人のためのクリエイティブプラットフォームとなった」(抜粋)と話した。

 以下に、発表内容を紹介する。

Creative Cloudに数々の新機能

  • Photoshop CCに、「コンテンツに応じた塗りつぶし」ワークスペースを追加
  • Lightroom CCとLightroom Classic CCのパフォーマンスとワークフローを強化
  • Illustrator CCにフリーグラデーション機能を追加
  • InDesign CCのパワフルな「内容を自動認識に応じて合わせる」機能を追加
  • Character AnimatorのCharacterizer機能を改善。ウェブカメラと参照アートワークを使ってユニークなキャラクターを簡単に生成できるように
  • Adobe Stockに、Adobe Senseiによる検索機能を追加
  • AnimateからAfter Effects、AnimateからCharacter Animator、Adobe XDからAfter Effectsへという、アプリをまたいでの連携ワークフローが可能に

新アプリPremiere Rush CC

新アプリPremiere Rush CCのインターフェース

 動画クリエイターのために開発されたという「Premiere Rush CC」は、ビデオ撮影から、編集、カラーとオーディオの調整、モーショングラフィックス活用、YouTubeなどへの公開といった機能をすべてを統合したアプリケーション。

 専門的な知識がなくても、動画の編集ができ、プロ品質のビデオを制作できるとする。Premier Pro CCとAfter Effects CCの技術を組み込んで開発され、Adobe Stockに収録されている、モーショングラフィックステンプレートにアプリから直接アクセスすることも可能。同社による人工知能と機械学習機能を統合した技術「Adobe Sensei」を使い、ワンクリックでBGMの音量を調整する自動ダッキング機能も装備。収録音に合わせて、細かくBGMのボリューム調整をする手間が省ける。

 Windows、macOS向けのデスクトップ版だけでなく、iPhoneやiPad向けにも提供され、デバイスを横断して、統一感のある使い勝手を実現しているとする。PCで作成し、iPadからSNSサービスに投稿するといったことも可能だ。

 利用料金は、Premiere Rush CC単体で、個人版は月額1054円、グループ版は月額2138円。コンプリートプラン、学生版およびPremiere Pro CCの単体プランに、100GBのクラウドストレージが付属する。追加オプションとして、最大10TBまでのストレージの追加も可能。

iPad版のPhotoshop CC

 iPad版Photoshop CCは、タッチ操作でコントロールできるよう再設計されたという。iPad版Photoshopで、PSDのネイティブファイルをそのまま開いて編集ができるだけでなく、デスクトップ版と同様のレイヤーパネルも装備。2019年に提供開始予定。

デバイスを横断してのドロー&ペイントを実現
Project Gemini

Project Geminiによる作例

Project Geminiによる作例

 Project Geminiは、PCとiPadなど、デバイスを横断してのドロー&ペイントワークフローを加速するために開発されたというアプリ。

 Photoshop CCなどで扱われるビットマップ形式と、Illustrator CCなどで扱われるベクター形式に加え、新しいダイナミックブラシを統合。Photoshop CCで使っているブラシを同期して使えるため、Photoshop CCとの連携がスムースな点も特徴。

ARオーサリングツールProject Aero

 拡張現実(AR)コンテンツをデザインするクリエイター向けの新アプリ「Project Aero」もプレビューとして紹介された。同社初のARツールで、本年6月にAppleの世界開発者会議(WWDC)のステージで初披露されている。現実世界に重ねてデジタルコンテンツを自在に配置できるというもので、ARコンテンツを最適化して展開するのに役立つとする。Adobe MAXでは、「ARによる未来の小売店舗」というテーマで、展示が披露された。

Adobe Senseiの活用が広がる

コンテンツに応じた塗りつぶしの例(塗りつぶし前)

コンテンツに応じた塗りつぶしの例(塗りつぶし後)。塗りつぶした箇所に、自然な水面が現れている

 Creative Cloud全体を通し、Adobe Senseiを活用した機能が増えている。数十を超える機能が、Adobe Senseiを活用した生産性向上機能として盛り込まれている。 記事冒頭で紹介したPhotoshop CCの「コンテンツに応じた塗りつぶし」ワークスペースや、Illustrator CCのフリーグラデーション機能もその一部だ。例えば、コンテンツに応じた塗りつぶし機能は、消したいオブジェクトを、通常の塗りつぶしに近い手順で、周囲に合わせて自然になじませながら消去するといったことが可能。これまで、人力で範囲を選択していた手間が省けるなど、生産性が高まっている。

 このほか、InDesign CCのプロパティパネル、Photoshop CCの複数操作を「元に戻す」機能と自動リサイズ、Illsutrator CCのカスタマイズ可能なツールバー、ライブラリーの一括アップロードに対応したBridge CCのUIの刷新といった、細かな機能強化や仕様改善も盛り込まれている。

 紹介したCreative Cloudデスクトップ版のアップデートは、Creative Cloud有償メンバーは本日からダウンロード可能。モバイル版については、iOSはApp Storeより、AndroidはGoogle Playよりダウンロードが可能(iPad版Photoshop CC、Project Aero、iPad版Project Gemini、iPad版Premiere Rush CCは2019年リリース予定)。

 また、同社によるブログAdobe Creative Stationでも発表内容が紹介されている、合わせてチェックしてほしい。

■関連サイト

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン