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なぜバスケは部活でメジャーなのにプロが盛り上がらないのか

2018年10月12日 06時00分更新

文● ジョージ山田(ダイヤモンド・オンライン

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8月に発覚した、バスケットボール男子日本代表選手が公式ウエアを着て起こした歓楽街での不祥事。アジア大会代表の選手たちは事実上、選手団追放となる事態になった。2016年にはプロリーグのBリーグを発足させるなど人気の普及に努めてきたバスケットボール界にとっては大きなイメージダウンとなってしまったが、そもそもプロスポーツの中で、なぜバスケだけは日本で盛り上がらないのか。改めてその理由を考えてみた。(清談社 ジョージ山田)

部活ではメジャーなのに…
プロバスケが注目されない理由

NBAプレシーズンゲームで健闘する渡辺雄太選手(左)。彼のようなスター選手が増えれば、バスケファンも増えるに違いない Photo:AP/AFLO

 今年8月、ジャカルタ・アジア大会のバスケットボール男子日本代表の数名が、公式ウエアを着たまま歓楽街で買春行為をしていたことが発覚。当該選手への非難の声が高まり、謝罪会見を開く事態にまで発展した。この不祥事によって、国内でのバスケットボール人気は、また少し遠のいてしまった感がある。

 そもそも、バスケットボールは日本男子の3大部活に数えられ、野球、サッカーと肩を並べるメジャーな存在だ。にもかかわらず、プロリーグや選手の知名度も低く、メディアで取り上げられる機会もサッカーや野球と比較すると圧倒的に少ない。

 バスケットボールの国内競技者登録者数は62万人(男女含め)といわれており、これはサッカーに次ぐ規模になる。それでもなお日本国内で人気が出ない、メジャースポーツになりきれない理由はどこにあるのか?

「現状、日本チームが外国チームに匹敵するほどの実力を持っていないことが、人気に大きく関係しているでしょう。サッカーや野球のように、世界と渡り合えるようにならないと、スポーツとして人気を得るのは難しいのです」

 そう話すのは、バスケットボール解説者の島本和彦氏だ。そもそも、バスケットボールで世界の強豪を相手にするためには、技術の問題以前に、小柄な日本人が多いため体格面では限界があるという。

 2020年の東京五輪を控え、バスケットボールをメジャースポーツ化させるためには、やはり海外との戦いは無視できない。今回のサッカーW杯の盛り上がりを見ても、国ごとの対抗戦は最も盛り上がるイベントだ。その点、バスケットボールには身長面で大きな選手がいないという大きな障壁が存在している。

バスケ界の分裂状態を打破した
2016年のBリーグ誕生

「僕が忘れられない、アメリカ人バスケットボールコーチの一言に『サイズ(身長)はコーチできない』というものがあります。バスケットボールのゴールは305cmという高い位置にあるから、どうしても身長の高い方が有利という面が出てしまいます。ですから鵜の目鷹の目で大型選手を探します。

 たとえば、日本で身長2m以上のバスケをやっている子を探そうと日本全国を探してみても、せいぜい10~15人いるかいないか。ところが中国やアメリカで探せば、恐らく2万人以上はすぐに集まるでしょう」

 この差は大きい。

 そこで生まれたのが、国内のプロバスケットボールチームがしのぎを削るリーグ戦、「Bリーグ」だ。高さを経験値で補おうということだ。「Bリーグ」が開幕したのは2016年9月と、意外にもまだ日が浅い。

「日本バスケ界はNBL(ナショナル・バスケットボール・リーグ)と、bjリーグ(日本プロバスケットボールリーグ)の2リーグ体制となっていましたが、両者の間には確執とも呼べる大きな溝があった。しかしBリーグの誕生によって、ようやく両リーグが1つになったのです」

 このバスケ界の長きにわたる確執は泥沼の様相を呈し、そのまとまりのなさが、少なからずバスケ人気に影響していたようだ。しかし、肝心のBリーグ開幕戦も、フジテレビによるゴールデンタイムの生中継が行われたものの、視聴率は残念ながら5.3%と寂しいものだった。この結果を見ても、国内ではバスケットボール観戦はいまだ定着していないのがわかる。

 しかし、Bリーグの健闘によって、今後バスケットボール人気が過熱する可能性は大いにあると島本氏は言う。

「会場のキャパが狭い分、バスケットボールは選手との距離が近いだけに迫力がある。試合を間近で観戦でき、さらに試合後は選手とのハイタッチやサイン会を行うなど、ファンイベントも積極的にやっています。Bリーグ自体、日本のバスケットボールを盛り上げるためにエンターテインメントを重視しているリーグなので、一度試合を見て、その魅力にハマる女性ファンなどは多い」

 Bリーグでは、試合の合間にはクラブミュージックが流れ、チアガールがセクシーなダンスを踊るなど、会場一体となって盛り上がるような派手な演出がなされている。その人気はじわじわと上昇しており、2018年のBリーグレギュラシーズンの入場者数は、初年度の214万人から240万に伸びている。Bリーグが盛り上がれば、着実にバスケの固定ファン獲得につながると、島本氏は確信している。

日本人離れした体格などで
未来を担うスター選手も出てきている

 さらに、プロスポーツの人気にはスター選手の登場が不可欠だが、7月には、米プロバスケットボールリーグであるNBAのメンフィス・グリズリーズが、渡辺雄太(23歳)と「2ウェイ契約」を結んだというニュースが飛び込んできた。「2ウェイ契約」とは、下部リーグでプレーしながら、一定期間NBA昇格も可能になる契約のこと。渡辺がNBA出場を果たせば、2004年に日本人で初NBA出場を果たした田臥勇太以来の快挙となる。

 渡辺はバスケットボール界でも当然、早くから注目されていたという。

「渡辺くんは、父親が実業団のバスケットボール選手をやっていて、母は女子ナショナルチームのキャプテンというバスケ界のサラブレッド。身長206cmと日本人離れした体格を持ち、まだ23歳ですから、今後の活躍が期待できる選手です」

 この他にも、日本男子バスケ界を牽引する注目の選手が2人いるという。

「1人は、まだ20歳の八村塁くん。身長203cmの彼は現在、全米の大学の強豪が出場するNCAA(全米大学)選手権に日本人で初めて出場しました。彼は伝統ある強豪のゴンザガ大学でプレーしています。八村くんはまだ大学2年生ですがチームの中心的存在で、才能は既に十分評価されているといえます」

 渡辺や八村のように日本人離れした体格と細やかなテクニックを兼ね備えた選手が、今後バスケ界を盛り上げて行くことは間違いないだろう。

 さらにもう1人、アメリカ出身だが、日本国籍を取得したほどの親日家であるニック・ファジーカス(211cm、110kg)。ファジーカスは体格的に恵まれているだけではなく、NBAに在籍したこともあるというその経験値に期待が高まっている。

 10年後、20年後に、世界と同等に渡り合う日本人選手の活躍があれば、バスケが日本でメジャースポーツとなる日も遠くない。あとはいかに観客が多く入れるアリーナができるか。彼らの後に続く若きバスケ界を牽引する選手も続々と登場しているだけに、今回の不祥事は非常に残念な話だ。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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