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サイコムのRyzen7機「G-Master Spear X470A」で検証

GeForce RTX 2080 Tiの実力はAMD環境でも発揮できるのか!?

2018年10月13日 11時00分更新

文● 宮里圭介 編集● ジサトラカクッチ

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 NVIDIAのGPU、GeForce GTX 10シリーズが登場したのは2016年の5月。それから2年ちょっとの歳月が経ち、つい先日、待望の新アーキテクチャーGPU「GeForce GTX 20シリーズ」を搭載したグラボの販売が開始された。

新アーキテクチャの「Turing」を採用したGeForce RTX 20シリーズがついに登場。

 GeForce GTX 20シリーズの詳しい解説は加藤勝明氏の記事を参考にしてほしいが、大きな変化として、GPUの中核となるCUDAコアが強化されているだけでなく、ディープラーニングを得意とするTensorコア、レイトレース処理を加速するRTコアが追加されたのが新しい。

 Tensorコアによるディープラーニングがどうゲームと関係するのか不思議に思うかもしれないが、実はゲームごとに最適な表示を学習させることにより、より高画質なアンチエイリアスを実現する「DLSS」(Deep Learning Super Sampling)が使えるようになる。これにより、表示速度を落とすことなくジャギーの目立たない、より美しいゲーム画面が実現できるわけだ。ソフトそのものに大きな変更が必要ないため、既存のゲームがアップデートで対応しやすいというのもメリットだろう。

 もうひとつのRTコアは、リアルタイムのレイトレーシングを実現するために追加されたもの。従来の方法(ラスタライズ法)では見えない範囲のオブジェクトを無視して描画していたのだが、レイトレース法では光がどう進むのかを考慮して描画するため、画面内にはないオブジェクトの映り込みまで表現可能となる。そのぶん計算が膨大な量となってしまうのだが、これを専門に行なうRTコアを追加することで、リアルタイム処理が実現可能となったわけだ。

 もちろんこれらの機能はゲーム側、ソフト側の対応がなければ意味はないが、こういったハードウェアの対応があってこそ、対応ゲームも開発できるというもの。GeForce RTX 20シリーズの真価を発揮させるにはもう少し時間がかかりそうだが、今から準備して、対応タイトル登場と同時に堪能するというのはありだろう。実際、RTX対応を予定しているタイトルはすでに多く、「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」や「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」、「バトルフィールド5」といった人気・注目のタイトルも含まれているだけに、期待するなという方が無理のある状態だ。

GeForce RTXを搭載したBTOパソコンがサイコムからも登場

 GeForce RTXはグラボ単体でも発売されているが、もちろんこれを搭載したBTOパソコンも数多く登場している。サイコムのBTOパソコンも最新グラボに対応しており、BTOメニューから選択することで「GeForce RTX 2080」や「同2080 Ti」を搭載できる。

 サイコムらしいのが、同じGPUを搭載しているグラボを複数製品用意し、予算や好みに合わせて選べるようにしているところだろう。例えば「GeForce RTX 2080」なら、Zotac、ASUS、MSIと3つのメーカーの製品が選べるようになっている。同じGPUを搭載したグラボでも製品ごとに特長があるため、単純にスペックのみでひとくくりにしてしまうのではなく、個別に指定できるようにしているところにコダワリが感じられる。

同じGPUを搭載したグラボでも、メーカーや製品違いで好みのパーツを選べるようになっているのが、サイコムのコダワリだ。

 今回レビューするのはこのサイコムのBTOパソコンの中でも、CPUにAMDのRyzenを採用した「G-Master Spear X470A」。GeForce RTX 20シリーズを搭載したBTOパソコンの多くはIntelのCPUと組み合わされているだけに、Ryzenとの組み合わせはあまり見かけることがない。それだけに、どのくらいのパフォーマンスが出るのか気になるところだ。

 なお、評価機は標準構成から大きくカスタマイズされており、CPU「AMD Ryzen 7 2700X」、クーラー「Asetek 550LC + Enermax UCTB12P」、メモリー 8GB×2、光学ドライブ「Pioneer BDR-209BK」、VGAサポートステイの追加、そしてグラボは「GeForce RTX2080Ti 11GB ASUS製DUAL-RTX2080TI-O11G」へと変更されたものだ。

G-Master Spear X470A 評価機構成

CPU AMD Ryzen 7 2700X(3.7GHz、8コア/16スレッド)
CPUクーラー サイコムオリジナル Asetek 550LC + Enermax UCTB12P(簡易水冷)
マザーボード MSI X470 GAMING PLUS(AMD X470)
メモリー 16GB(8GB×2、DDR4-2666)
SSD ADATA XPG SX8200(M.2、480GB、ヒートスプレッダー標準装備)
光学ドライブ Pioneer BDR-209BK/WS2(Blu-ray)
グラフィックスボード ASUS製DUAL-RTX2080TI-O11G(GeForce RTX 2080 Ti、11GB)
PCケース CoolerMaster CM690III
電源ユニット SilverStone SST-ST75F-GS V2(750W、80PLUS GOLD)
OS Windows10 Home (64bit) DSP版
合計価格 36万3740円(価格はASUS製が未定のためZOTAC製2080Tiのもの)

まずは「G-Master Spear X470A」の中身をチェック!

 実際の検証に移る前に、PCの内部をチェックしておこう。「G-Master Spear X470A」の構成がハイスペックへと大きくカスタマイズされているだけに、安定した動作が可能なのかといった点も気になるのだが……そこは丁寧な組み立てを得意とするサイコムらしく、安心できる仕上がりとなっていた。

 サイドパネルを開けて内部全体を見渡してみるとわかるが、余計なケーブルがほとんどないことに気づくだろう。モジュラー式の電源を採用しているというのもあるが、裏配線にトコトンこだわったうえ、長さが余り気味となるケーブルの処理までしっかりと行なうことで、すっきりとした内部を実現しているわけだ。

ケースの中身は驚くほど整理整頓されている。自作PCにありがちなのたうち回るケーブルといった状況とは全く異なる。

 内部で特に注目したいポイントは2つ。ひとつはCPUに水冷クーラーを採用可能という点だ。今回のように高速なRyzen 7 2700Xなど、ハイエンド寄りのCPUを搭載するときはCPUの熱をいかにPCケース外へと逃がすかが重要となる。水冷クーラーならCPUの熱をラジエーターへと移動し、そのままケース外へと排出できるため、PCケース内にいったん熱を放出する空冷クーラーよりも効率の高い冷却ができるわけだ。標準ではなくBTOオプションとはなるが、予算に余裕があるならぜひとも選んでおきたい。

高性能CPUを冷却するのに適した水冷クーラー。BTOオプションとなるが、静かなうえ強力に冷やしてくれるだけに、予算が許すのであれば優先して選びたい。

 また、天板部分にケースファンを装備しているため、VRMやグラボから出た熱もしっかりとPCケース外へ逃がしてくれる。ケーブルが少なくスッキリしたPCケース内は通気性が高いが、ファンを追加することでさらに熱を溜めることなく排出できるよう工夫されているわけだ。

 もうひとつのポイントは、当然グラボだ。GeForce RTX 2080 Tiは新シリーズのハイエンドモデルとなるだけに、発熱もかなり大きくなる。今回の構成ではASUSの「DUAL-RTX2080TI-O11G」が搭載されており、これはスロット3本分の厚みがある超大型の製品だ。

巨大なヒートシンクと大きなファンを装備した大型グラボ。グラボ単体で、スロット3本分の厚みがある。

 ヒートシンクもかなり大きく、これだけのサイズとなると重量が心配になってしまう。こういった時にあるとうれしいのが、グラボを支えるサポートステイだ。ボードを押さえるだけでなく、下からしっかりと支えてくれるステイとなっているため、動作中はもちろんのこと、輸送中の事故も防げるのがうれしい。こちらもBTOオプションとなっているが、大型グラボはコネクター部へ負担がかかりやすいだけに、合わせて選んでおきたい。

「Sycom」の文字の入ったサポートステイ。ボートを押さえたうえに下から支える形となっているため、今回のような大型グラボのサポートとしてはかなり心強い。

 ということで、内部の気になるポイントをチェックしたところで、実際のパフォーマンス検証をしていこう。

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