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1000社が導入!ネット通販の物流をAIが最適化する人気サービス

2018年10月11日 06時00分更新

文● ジャイアント佐藤(ダイヤモンド・オンライン

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ネット通販が伸び続ける一方、人手不足で物流業者が悲鳴を上げる状況が続いている。そんな中、AIを駆使した需要予測や在庫最適化サービスが人気を集めている。

EC急成長でも現場が追いつかず
AIは物流を救うか?

ネット通販成長で人手不足にあえぐ物流をAIは救うか?
AIによる需要予測や在庫最適化が奏功すれば、単純作業を大きく減らせ、現場の負担軽減につながる(写真はイメージです) Photo:PIXTA

 2017年春、ヤマト運輸がEC(インターネット通販)最大手のAmazonの配達から撤退したのは記憶に新しい。配送料無料のAmazonの荷物が爆発的に増加したことに対してヤマト運輸の配達員の数が足りず、物流のバランスが崩壊していたことが背景にある。

 運賃が安いAmazonの荷物が増えても、配達員の人数は簡単には増やせないのだ。

 筆者も2016年12月、配達助手のアルバイトをしてみたが、想像をはるかに超える量のAmazonの荷物を抱えて、悲鳴を上げながら配達をすることになった。

 物流の需給バランスの崩壊。これはAmazonとヤマト運輸だけの問題ではなく、全てのEC事業者、倉庫、配送事業者にとって課題となっていることなのではないだろうか。

 そこで脚光を浴びているのが、物流の効率化だ。今回ご紹介するのは、スタークス(東京都品川区)が、2018年3月より前身サービスからのアップデートとして提供を開始した「クラウドロジ」。これは、AIを使用して「需要を予測する」「在庫をどこに置くべきかを最適化する」というものだ。

「クラウドロジ」を使えば、倉庫から長距離配送をするのではなく、全国にある「あるべき位置の倉庫」から商品を発送することが可能になる。またAIを使用しているため、どこの倉庫に商品を置くかは、顧客の動向に合わせてどんどんアップデートされていく。導入社数は前身サービス開始時からの顧客約140社を含めて毎年右肩上がりで、現在は1000社を超えるという急成長ぶりだ。

物流×ITで
ECの課題を解決したかった

 経済産業省によると2017年の日本におけるECの市場規模は16兆5000億円ほど。2008年は約6兆円だったものが、10年でおよそ2.5倍となった。今後も大きく拡大する業界だといわれている。しかし今後、深刻化が予想される日本における労働人口の減少が、このEC業界に影を落としているのだ。

 ECの販売には数段階のステップがある。

 まずは消費者が商品を求めて検索をすること。この分野はGoogleやFacebookという大きな存在がありIT化も進んでいる。次に、検索結果により消費者が目にする広告だ。こちらも広告代理店や制作会社が存在し、サービス提供にはITを使ったものを始め、様々な工夫がされている。

 3つ目は実際にお客様が購入、決済する段階だ。ここにもクレジットカードやPayPalなどの決済サービスがあり効率化が進んでいる。

 そして最終的に商品がお客さんの元に届けられる段階だ。この段階のIT化がEC業界では最も遅れているといわれている。

スタークスの上ノ山慎哉社長。「『クラウドロジ』によって、これまで物流において大企業にしかできなかったことを、中小企業を集めて可能にしたい」と話す

「大きな規模のEC事業者でも、まだまだ業務の多くを人手に頼らざるを得ないのがこの段階なのです。これではEC業界自体はどんどん伸びていくのに、今後さらに深刻化する人手不足の打撃をもろに受けてしまいます」(スタークス・上ノ山慎哉社長)

「日本の労働人口を補うためには、外国人労働者をどんどん受け入れるか、ロボットを導入して対応するしかありません。もちろん、どちらも着手すべきことではあると思うのですが、どちらも50年ほどのスパンで考えるべきものであり、数年で対応しきれるものではありません。そこで私たちは、ITで物流を最適化してイノベーションを起こしたいと考えました。それが『クラウドロジ』のサービスのきっかけです」(同)

物流作業をクラウド化して
AIで予測をする

「クラウドロジ」を利用するEC事業者は自社で倉庫を持ったり、配送事業者を手配したりする必要がない。購入者から注文が入ると、EC事業者は「クラウドロジ」のシステムに入力をするだけだ。そこから「クラウドロジ」のシステムが全国14拠点ある契約倉庫に発送の指示を自動で出すという仕組みなのだ。

 物流における作業のほとんどの部分をITで最適化、クラウド化している。

 EC事業者は「クラウドロジ」にシステム利用料・配送代行料を支払い、「クラウドロジ」は契約倉庫に利用料を支払っている。

「EC事業者はただ商品を届けるだけではなく、新規のお客さん、定期購入のお客さん、誕生日を迎えるお客さんなど、ステータスごとに特別に手紙を入れるなど、同梱物を変える工夫をしています。しかし、現場ではそれをFAXで指示を出したり、口頭で確認するなどアナログな作業が多いのが現状なのです。そこを「クラウドロジ」でシステム管理できるとそれだけでも手間やミスを減らすことができます」(上ノ山社長)

「クラウドロジ」を利用したEC事業者では、物流にかかる日々の作業時間を120分から5分に短縮したところもあるという。

 またクラウドロジのサービスの最も肝となるところはAIの活用だ。「新規購入データ」「返品データ」「定期購入データ」「購入者データ」から、商品ごとに、どの時期に、どの地域で、どの程度売れるか需要を予測しているという。さらに予測に基づき、全国14拠点に最適な量の荷物を事前に配置し、出荷を行う。

 この需要予測によって、EC事業者の物流コストは約5~10%削減可能となり、最適な倉庫からの出荷により配送事業者の配送負担を軽減することにも大きく役立っているのだ。

 中でもAIによる需要予測の効果が最も出るのが、コスメ、サプリメント、食品、水など定期販売を行うEC事業者だという。購入者のパターンを把握しやすいからだ。

アナログ作業激減で
作業効率が格段に向上

「需要予測というのが、これからの世のキーワードだと思うんです」(上ノ山社長)

 現在は定期販売を行うECサイトの物流に特化しているが、「データ活用」はそれにひも付く様々なサービス展開への可能性がある。

 例えば、倉庫の人員配置などだ。AIが学んだデータにより、「この時期は人を少なく配置したほうがいい。この時期は混むから人を多く配置したほうがいい」といったことも予測可能になる。

「また倉庫に、どの事業者のものをどれだけの量でどの位置に配置すれば作業効率がよくなる、といったことも今後は提案可能になるでしょうね」(同)

「hugkumi+(はぐくみプラス)」社内で「クラウドロジ」の画面を開いて物流作業をする池田さん

 健康食品をメインに定期通販を行う「hugkumi+(はぐくみプラス)」(福岡県福岡市)で物流を担当する池田巧汰(しょうた)さんは、クラウドロジの恩恵を感じている顧客の1人だ。

 クラウドロジを導入する前は、3~4人の社員で表計算ソフトと口頭で作業を行っていたという。傾向として月末の物流作業は激務になる。ただでさえ処理数が多いのに、アナログな作業が多くミスが起きないようにと神経を使うため大変だった。

 また、注文数が変動する時は、在庫を確保できるのかを確認するために何度も倉庫に確認をしていた。

「『クラウドロジ』でシステム化しただけで作業効率が格段によくなりました。在庫管理はシステムで確認すればよいだけですから。また広告を打った後は急激に注文が増えたりするのですが、需要予測により在庫がエリアごとに分散管理されているので助かりますね」(池田さん)

 このAIを使った需要予測、在庫の最適化は日本の物流の救世主となるのか。今後が楽しみだ。

(ジャイアント佐藤/5時から作家塾(R))


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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