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ユーザー/パートナー企業から26チームが参加、PaaSを活用する多様なアイデアを披露

「Now Platform」ハッカソンを日本で初開催、ServiceNowの狙い

2018年10月03日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 ServiceNow Japanは2018年9月14日、同社のPaaS「Now Platform」を使った新しいソリューションのアイデアを競うハッカソンを開催した。日本で初開催となるハッカソンだったにもかかわらず、ServiceNowのユーザー企業および開発/販売パートナーから26チーム、116名の参加者が出席し、柔軟なアイデアと開発力を競い合った。

ServiceNow Japanが東京で初開催したNow Platformハッカソン。26チーム、116名が参加した

 ハッカソンのテーマは「Now Platformを使ってデジタルトランスフォーメーションを図り、仕事や日常生活を便利にすること」。ServiceNowがこのハッカソン開催で狙うものは何か、また各参加チームがNow Platformをどのように評価し、なぜハッカソンに参加したのかなどのことを、ハッカソン開催当日の会場で聞いた。

ServiceNow Japan社長の村瀬将思氏と、ハッカソンを盛り上げるために来日したServiceNow Australia主席ソリューションコンサルタントのピーター・ドハティ(Peter Doherty)氏

ハッカソン参加チームに聞いた、参加理由や社内での使いこなし

 ServiceNowと言えば、ITサービス管理システム(ITSM)やカスタマーサポート、人事/HR、財務など、企業内に存在するさまざまなサービス業務ワークフローを単一のクラウドプラットフォームで提供するSaaSプロバイダーというイメージが強い。しかし他方で、これらのSaaS群の提供基盤であるNow PlatformもPaaSとして提供しており、この基盤が備えるさまざまな機能を使って、SaaS群の拡張機能やアプリケーションを独自に開発できるようになっている。

 今年6月の事業戦略説明会においてServiceNow Japan 社長の村瀬将思氏は、日本市場においては特にこのNowPlatformを活用したPaaS(aPaaS:Application Platform-as-a-Service)ビジネスに注力していく方針だと語った。日本企業では業務システムの“作り込み”ニーズ(カスタマイズニーズ)が高く、日本独自の商習慣などに合わせたカスタマイズ開発を得意とするパートナーも多いためだ。コスト効率の良いSaaSをベースに、ユーザー企業が求める独自機能についてのみPaaSで追加開発することで、一貫したユーザーエクスペリエンスやサービス間の連携性を実現できる。

Now Platformはユーザーエクスペリエンス、サービスインテリジェンス、サービスエクスペリエンスの各機能を提供するPaaS(画像は6月の事業戦略説明会資料より)

 今回のNow Platformハッカソン開催も、そうした国内におけるPaaSビジネス戦略の一環と言えるだろう。蓋を開けてみれば主催者の想定を超える26チーム、116名の参加者が集まり、会場も急遽2部屋に拡大したという。ユーザー側、パートナー側でもNowPlatformに対する関心と活用ニーズは高いようで、話を聞くと「今回のハッカソン開催を待ち望んでいた」という参加者もいた。

 たとえば日立ソリューションズ「motto!」チームの石井信吉さんは「米国など海外でNow Platformハッカソンが開催されていることは知っていて、開発者として面白そうだなと思っていました。ついに日本でも開催されると聞きつけ、ぜひ参加しようと社内で声をかけました」と語った(同社では全4チームが参加)。同社はServiceNowの開発パートナーとして長い実績があり、これまで培ってきた開発力をアピールできる場としての期待もあったという。なおNowPlatformの魅力としては、データベーステーブルを詳細に設計しなくても簡単かつ柔軟に構築できる点を挙げた。

日立ソリューションズ motto!チームの皆さん。今回はセンサー入りのキューブ型IoTデバイスを自作し、工場などPCやタブレットが操作できない現場でも、キューブの向きを変えるだけでServiceNowへ簡単に作業状況などを入力できるソリューションを開発した

 ユーザー企業の立場で参加したチームもあった。日本ビジネスシステムズ(JBS)では、同社が提供するマネージドサービスのユーザーサポート、システムアラート管理などにServiceNowを利用しているという。同社「Leon」チームの増田哲也さんは「社内でもServiceNowの認知度は徐々に上がってきています」と語り、サービス企画開発部門に所属する立場から「今後は社内だけでなく、社外への新たなサービス展開ができないかを探るために参加しました」と参加理由を説明した。

日本ビジネスシステムズ(JBS) Leonチームの皆さん。「ほいくNow」というサービスを開発した。「当社にはパパママ世代の従業員も多いのですが、保育園との日々の連絡手段が“紙”だったりして面倒。保護者にも保育士さんにも便利なサービスを考えました」(増田さん)

 世界最大のServiceNowユーザー企業であり、パートナーとして顧客企業にもServiceNowソリューションを提供する立場のアクセンチュアからは「Mr.HAKK」チームが参加した。日本のアクセンチュアでも、たとえばSAP開発部門におけるプロジェクトの予算や進捗の管理にServiceNowのITBM(ITビジネス管理)ツールを利用しているものの、日本法人全体を見ると「グローバルに比べるとまだまだ社内利用事例は多くないですね」と、同社の小島紘明さんは説明する。今後の取り組みとして、ServiceNow担当チームが蓄積しているノウハウをExcel管理からServiceNowのナレッジマネジメントツールに移行するなどの取り組みを通じて、社内への浸透を図っていきたいと語った。

 同じくアクセンチュアの林亮輔さんは、ハッカソンへの参加理由について「ServiceNowはふつうITサービス管理など“保守的”な業務領域に適用されるものですが、Now Platformならばもっとたくさんの可能性があると思います。それを模索してみたいと思っていた矢先にハッカソン開催の話を聞き、自由に、クリエイティブなものを開発できるチャンスとして参加しました」と説明した。「ほかのチームがどんなものを開発するのか、それも楽しみにして来ました」(林さん)。

アクセンチュア「Mr.HAKK」チームの皆さん。大規模災害発生時に各地における物資やボランティアの需要/供給をオンラインでマッチングする「TasuketeNow」を開発した。「実際に被災地でどんなものが必要とされたのかという情報もログとして集積できるので、将来的な災害への備えにも役立つのではないでしょうか」(林さん)

 日立製作所は、社内のIT構成管理やインシデント管理などのIT運用管理においてServiceNowを利用するユーザーであり、一方で顧客にServiceNowソリューションを提供するパートナーでもある。同社「HiSpeed」チームの田中翔太郎さんは、日立ならではの強みとして「日立のシステム運用管理製品『JP1』をServiceNowのワークフロー管理機能などと連携させるテンプレートを用意し、統合ソリューションとして提供している」ことを紹介する。Now Platformは「他社製品/サービスも含めて情報を単一プラットフォームに集約して見られる」点が魅力であり、そうした情報を簡単に集計してグラフィカルに見せられるダッシュボードも良いと述べる。今後は、現在強みを持つITシステム運用だけでなく、そのほかの領域にもアプローチを拡大できれば、と語った。

日立製作所「HiSpeed」チームの皆さん。オフィス課題を解決するツールとして、ServiceNow最新リリースで追加されたチャットボット機能(Virtual Agent)を組み込んだトイレ管理ソリューションを提案。従業員が“空室”状況を調べられるだけでなく、「トイレットペーパーを届けて」「汚れています」といったビル管理者への依頼もチャット経由でできる

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