このページの本文へ

テンセント、スタークラフト対戦AIで「ディープマインド超え」

2018年09月25日 11時55分更新

文● Will Knight

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

中国のテック大手テンセント(Tencent)の人工知能(AI)研究者が、人気のビデオゲーム「スタークラフト(Starcraft)」に組み込まれた「ずるい手を使う」AIに勝てる2つのプログラムの詳細を掲載した

スタークラフトには、超越した視点でゲーム全体を俯瞰するAIプログラムが組み込まれている。テンセントが開発した「Tスターボット1(TStarBot1)」および「Tスターボット2(TStarBot2)」と呼ばれるAIプログラムは、この組み込みAIを打ち負かすことに成功した。2つのTスターボット・プログラムはゲームに勝つために、まったく異なる手法を用いている。Tスターボット1が先進的な機械学習を採用する一方で、Tスターボット2は入念に作りこまれたルールに従う。とはいえ、どちらもまだ熟練の人間プレイヤーを倒せるほど高度ではない。

スタークラフトは2つの理由から、AI研究者にとって新たな重要な課題になっている。1つは、このゲームが複雑かつ無秩序に展開していくこと。もう1つは、このゲームでは行動の結果が後になって現れる場合があることだ。このため、AIプログラムは、自分がゲームを上手く進めているのかどうかをゲームの比較的後半になるまで知ることが難しく、単純な試行錯誤の学習がうまく機能しないのである。

アルファベット(グーグル)の子会社であるディープマインドは、強化学習を用いて囲碁を習得したプログラム「アルファ碁(AlphaGo)」 を開発したことで有名だ。ディープマインドも現在、独自のスタークラフト向けAIプログラムの開発に取り組んでいる。しかし、テンセントのAIプログラムほどの能力を持つプログラムはまだ発表していない。

テンセントにはディープマインドの成果を模倣するために作られた研究所があるとの噂がある。しかし、中国の最有力モバイル・ソーシャル・アプリ「ウィーチャット(WeChat)」を運営するテンセントは長らくAI研究に多額の投資を続けており、いまや独自の進歩を遂げているようだ。

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ