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米「国家量子法」成立遅れる可能性、主導権争いへの影響懸念

2018年09月25日 06時27分更新

文● Martin Giles

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米国の量子技術に関する国家計画が、中間選挙によって延期される可能性が出てきた。MITテクノロジーレビューが得た情報によると、科学技術政策局(OSTP)は9月24日に開催される会議において、国家戦略をすみやかに策定する重要性を強調する予定だという。

OSTPは9月24日、学識者や政策立案者、企業経営者らを一堂に集め、量子コンピューティングとその関連分野の発展について話し合う会議を開催する。この時期に開催されることが重要だ。米議会は現在、この先10年間の「国家量子イニシアチブ(NQI)」を策定する法案を審議中だ。NQIでは研究効果を高め、量子技術に携わる研究者の育成を促進するために、およそ13億ドルもの財源が充てられる。だが新法は11月の中間選挙までに成立せず、2019年に先延ばしされる可能性がある。

量子物理学の発展は、超強力な量子コンピューターからハッキング不能な通信ネットワークまで、あらゆる新技術の創出を可能にする。量子技術はまだ黎明期にあるものの、材料科学や機械学習を含む、広範な分野での大きな発展の端緒となる可能性を秘めている。セキュア通信や量子センサーなど国家安全保障の面においても非常に重要だ。

米国は人工知能(AI)分野の国家戦略の策定に失敗している。中国にの成功に学ぶべきだろう。米国は量子分野で幸先の良いスタートを切ったものの、中国の研究者らも猛スピードで迫っている。新米国安全保障センターの最近の報告書は、量子通信などいくつかの分野では、中国はすでに米国を上回っていると指摘している。中国は量子分野におけるさらなる成長を促すため、数十億ドルを投資していく計画だ。

米下院が国家量子イニシアチブ法案を通し、現在は上院が同様の法案を審議中だ。だが、専門家によると、11月初めに行なわれる中間選挙の準備によって上院の審議が止まる恐れがあるという。選挙後の混乱した議会で新法が成立する可能性もあるが、不成立の場合は2019年に持ち越しとなる。

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