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武田薬品に大衆薬事業の身売り観測、子会社社長に外資の幹部就任で

2018年09月25日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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野上麻理・新社長。前の職場は人員整理の激しさから、業界内で「リストラゼネカ」とやゆされる Photo by Masataka Tsuchimoto

 医療用医薬品で国内トップの武田薬品工業。その子会社で大衆薬大手の武田コンシューマーヘルスケアは3月末から事実上、社長が空席だった。今月、メガファーマ(巨大製薬会社)である英アストラゼネカ日本法人の呼吸器事業本部長だった野上麻理氏(49歳)が就任し、社内には期待と不安の声が錯綜する。

 かねて、「新社長が担うのはリストラと売却へのロードマップ」と、業界関係者は声を潜めて話していた。親会社から人員(500人弱)が多いと指摘されているとうわさされ、後述するように身売りの観測も広がっていたためだ。

 武田薬品の一事業部門が100%子会社として事業開始したのは2017年4月。業界団体の日本OTC医薬品協会長も兼ねた杉本雅史社長(当時)は「アジアのリーディングカンパニーになる」と意欲満々で、当面続投とみられていた。だが今年3月、取締役、協会長共に任期を残して突然社長を退任し、業界内に衝撃が走った。

 表向きの理由は「事業開始から1年を区切りとして」(同社)。だがある幹部は「子会社化直後は独立独歩の雰囲気だったが、徐々に親会社の干渉が強まってきた」と証言。親会社との方向性のずれが退任につながった可能性がある。

 その後、武田薬品経営企画部長・社長室長兼務の福富康浩会長が、社長職を暫定的に担っていた。

 国内大衆薬会社社長に外資系製薬出身者が就くのは異例。武田薬品が外国人社長CEO体制となって久しいが、業界関係者は、「今回の件一つ見ても、タケダが外資系になった証拠」と冷ややかに見る。

Xデーは臨時株総後?

 子会社化前後から、「親会社はいずれ売却するつもり」との観測が金融業界や投資家筋の間であった。

 一方、業績は18年3月期で売上高785億円、営業利益212億円と絶好調。杉本社長(当時)は「連結業績に貢献しており、好調な限り、身売りはないと思う」と外野のざわつきを抑えていた。

 今年5月、武田薬品がアイルランドのバイオ医薬大手シャイアー買収を発表するころから状況は一変。具体的な売却検討額とともに身売りの観測は再び熱を帯びてきた。買収で武田薬品は有利子負債が計約6兆円になる見通しで、ノンコア事業売却のさらなる加速をにおわせたからだ。

 武田薬品の名を世に知らしめてきた「アリナミン」シリーズなどを販売する武田コンシューマーヘルスケアは、売上高では武田薬品(同期1兆7705億円)の一部にすぎないが、多くの日本人にとっては武田薬品の顔である。売却となれば一部創業家などの反発が予想され、事実上シャイアー買収の賛否を株主に問う臨時株主総会(年明けの見通し)までは武田薬品も動きにくいだろう。そのため、「Xデーは臨時株総後」(あるアナリスト)との観測が浮上している。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 土本匡孝)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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