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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」第231回

eSIM搭載の新型iPhoneでいよいよレンタルWi-Fiルーターは消えゆく存在?

2018年09月22日 12時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

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DSDSとは「Dual Signal Dual Standby」の略。DSDSがAppleの発表会で披露されるとは、と感慨深く見守った先輩ジャーナリストがいたように、これまで中国のAndroidスマートフォンのウリだった機能でした

日本向けにもeSIM+nanoSIMのDSDS対応モデルを提供

 Appleの新型iPhone発表イベントを見ながら、ふと考えたことがありました。Wi-Fiルーターのレンタルって、ビジネス自体がかなり縮小するか、消えゆく存在なのではないかということです。

 Androidの世界ではさほど珍しいことではありませんでしたが、iPhoneもついにデュアルSIMに対応し、2回線の同時待受ができるようになりました。

 中国で販売されるiPhone XS Max/iPhone XRには、SIMトレイの上下に2枚のSIMを装着できるデュアルSIM、そのほかの国向けのモデルでも端末内に情報を書き込むことができるeSIMに対応し、実SIM1枚、eSIM1つのデュアルSIMを実現します。

Appleのサポート文書を見ると、こんな活用例が示されています(https://support.apple.com/ja-jp/HT209044)。

・仕事用とプライベートの電話番号を分ける
・海外旅行時に現地のデータプランを使う
・音声通話とデータプランを別々に使う

 筆者の場合、日本と米国で電話番号を維持していますが、その場合、2台のスマートフォンを持ち歩き、飛行機の中で主端末と副端末のSIMを入れ替えるという作業をしています。両方とも常に電池切れしないようにしないといけませんし、暗い飛行機の中で極小のSIMを落としたときは本当に焦りました。

 デュアルSIMの実現は、そうした空の上での大捜索のリスクを回避するだけでなく、国の行き来をしなくても、2台持ちを余儀なくされていた状態を改善することができます。

 iPhoneの場合では、音声通話とSMSは2つの回線で同時待受ができますが、データ通信はどちらかのSIMを選択して利用します。

 日本でもMVNOのサービスは大手キャリアよりも安い料金でデータ通信を利用できます。たとえば、eSIMに普段使っている回線を入れて、実際のSIMトレイにはMVNOの格安なデータプランを入れておくようなことができれば、主回線のデータ契約を最小限にして、普段はMVNOの安いデータ料金を利用するといった活用も可能になるはずです。

 あるいは、大手キャリアでデータ通信を契約せず、MVNOのみでデータ通信をすることもできるわけです。もっとも、それならMVNOにMNPで乗り換えてしまうほうが良いかもしれませんが。

海外旅行時のモバイルWi-Fiルーターのレンタルは不要になる

 さて、ここでイベントを聞きながら思い浮かべたことが、「あっ、Wi-Fiルーターがいらなくなるかも」とということでした。

 すでに国内3キャリアとも、海外でスマホを利用できるオトクなプランやキャンペーンを展開しており、1日1000円程度でも自分の端末と契約のまま、海外でもデータ通信が利用できるようになってきています。

 Appleによると、キャリアから渡されるQRコードや、キャリアのアプリを利用してeSIMに契約情報を書き込むとしています。そして複数キャリアの情報をeSIMに保持できるそうです。たとえばアメリカに行く前に、アメリカのキャリアのプリペイド回線をアプリからeSIMに書き込んでおき、米国に着いた瞬間から有利なデータ料金で利用し始めることができるといった体験も実現できそうです。

eSIMには複数の国やキャリアの契約情報が書き込めます。つまり、行った国のローカルキャリアの情報があれば、有利なデータ料金を自分のiPhoneでSIMの入れ替えなしで実現できるわけです

 現時点ではまだeSIMによるデュアルSIM利用が利用可能になっておらず、今年中にソフトウェアアップデートで有効化されるとしています。米国ではAT&T、Verizon、T-Mobileが対応を表明しており、各社が日本人を含む旅行者向けに、どのようなプランを提案してくるのか注目しています。

 そうなるとWi-Fiルーターのレンタルや国際ローミングといった手間やコストを省いて、自分の端末で現地国の通信を快適にできるようになる可能性が高まってきます。

 もちろん、PCやタブレットなどセルラー通信に対応しないデバイス向けにWi-Fiルーターは必要だと思いますが、Wi-Fiルーターレンタルというビジネス自体が、かなり縮小してしまうことになるでしょう。

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