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宇宙ごみを「網」でキャッチ、デブリ回収衛星が実験成功

2018年09月21日 11時36分更新

文● Erin Winick

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「リムーブ・デブリ(RemoveDEBRIS:デブリ除去)」宇宙船が、スペース・デブリ(宇宙ごみ)回収実証実験で1基の探査機をつかまえた。

地球の軌道は宇宙ごみだらけだ。米国防総省の宇宙監視ネットワーク(Space Surveillance Network:SSN)は現在、宇宙開発に由来する約8000個のごみが地球の周りを漂っていることを観測している。問題となっているのは、人間が宇宙に送り出すモノが増えれば増えるほど、互いに衝突し合う危険性が高まるからだ。衝突することで細かい破片の数がますます増え、まるで映画『ゼロ・グラビティ』のように、将来の宇宙任務遂行時に重大な危険を引き起こすことになるだろう。

9月16日、リムーブ・デブリ衛星は、まず、標的の模型として超小型衛星「キューブサット(CubeSat)」を自ら放った。その2、3秒後、リムーブ・デブリ衛星はキューブサットを捉えるための網を打った。網はキューブサットを包みこみ、確保することに成功している。この仕組みが本格的に運用されたら、回収されたごみは、その後大気圏まで牽引され燃え尽きさせられるが、今回の実証実験では、地球に落下することが許されている。英サリー大学にあるサリー宇宙センター(SSC)のグリエルモ・ アギレッティ所長は、「網の仕組みは単純に聞こえるかもしれませんが、宇宙ごみのかけらを宇宙空間でつかまえるために網を使うことは複雑で、計画や設計、調整に多数の年月を要しました」と述べた。

地球低軌道を掃除するために網を使うアイデアは、決して荒唐無稽なものではない。過去には レーザーや、ロケットエンジンでガラクタを燃やし尽くすアイデアも検討されてきた。

研究者はリムーブ・デブリ衛星を使って新たな航行システムを試験したり、宇宙ごみを捉えるもう1つの方法 として、対象物を直接串刺しにする「銛(harpoon)」を試す予定だ

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