このページの本文へ

中堅生保が乗合代理店に「自社推奨なら手数料上乗せ」の波紋

2018年09月21日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

生命保険会社が乗合代理店に支払う販売手数料をめぐって、金融庁が抜本的な規定の見直しを求める中、業界内でまたぞろ暗闘が繰り広げられている。(週刊ダイヤモンド編集部 中村正毅)

オリックス生命が金融庁のルールに抵触か
Photo:PIXTA

「比較推奨の趣旨を、あの会社は本当に理解しているのか」

 大手生保の役員がそう言ってやり玉に挙げ、騒動の渦中に巻き込まれていったのは、医療保険に強い業界中堅のオリックス生命保険だった。

 問題となったのは、同社が乗合代理店に対して配布した資料にある「1社推奨加算」という項目。今年10月以降、オリックス生命だけを推奨するかたちで顧客に提案した場合には、手数料を上乗せするという内容が書かれていたのだ。

 そもそも、複数の保険会社の商品を扱う乗合代理店に対しては、金融庁が「手数料水準の高い商品に誘導するために、商品の絞り込みや提示・推奨を行うことのないよう留意する」と、比較推奨のルールをわざわざ監督指針の中で示し、顧客本位の取り組みを事あるごとに求めてきた経緯がある。

 にもかかわらず、保険会社が手数料をちらつかせながら、自社だけを推奨するように乗合代理店に働きかけるのは「比較推奨のプロセスを歪める」(金融庁幹部)ことになりかねない。

 8月以降、業界内で問題視する声が相次いだこともあり、オリックス生命は1社推奨加算を見直すことを決め、すでに金融庁にも伝えたようだ。

 今回の騒動で、各社が新たな手数料体系の構築に向けて、試行錯誤している様子が改めて浮き彫りになった一方で、業界全体が同業他社の手数料の動向に、過敏になっている構図も垣間見える。

 今回、オリックス生命が提示した1社推奨加算の料率は3%だ。大手にしてみれば、オリックス生命が3%上乗せしてきたところで、元々の保険料が高いだけに、競争環境が一変するほどのインパクトはなかったはずだ。

 それでもなお、比較推奨を歪めるとしてオリックス生命に見直しを強く迫ったのは、大手をはじめ業界各社が医療保険の販売強化を、足元で進めていることと無関係ではないだろう。

 手数料について、生保が過敏になっていることをうかがわせる事例はほかにもある。

 今月25日に新規上場する、保険代理店のアイリックコーポレーション。上場に向けて当初公開した有価証券報告書では、経営支援策として手数料を加算して支払ってもらっているとして、生保8社の社名をずらりと並べていたが、9月に入って訂正し、その項目を丸ごと削除したのだ。

 同支援策が3月に終了していたことが削除の主な理由だったが、保険会社としては「手数料の加算についてそこまで赤裸々に記載してくれるな」というのが本音だっただけに、経緯をめぐって一時大きな話題になったという。

 ここ数年、手数料を巡って、金融庁が抜本見直しの旗を振り続ける中、今後各社がどのような答えを導き出すか。2019年度を見直しの期限として見据えるなか、業界内の暗闘はまだしばらく続きそうだ。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

カテゴリートップへ

最新記事
最新記事

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

アスキー・ビジネスセレクション

QDレーザー販促企画バナー

ピックアップ