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ファーストリテイリング柳井会長も登壇し「一緒に新たなビジネスを作る」、機械学習専門施設も開設

「Google Cloudの差別化要素は『AI』」CEOが基調講演でアピール

2018年09月21日 06時30分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 グーグルが2018年9月19日、20日に東京で開催したGoogle Cloudの年次カンファレンス「Google Cloud Next '18 in Tokyo」。1日目の基調講演ではCEOのダイアン・グリーン氏が、AI技術を強みとする同社の「Google Cloud Platform(GCP)」や「G Suite」の最新動向と日本市場での取り組みをアピールしたほか、Sansan、丸紅情報システムズ(MSYS)、PLAIDなどのユーザー企業も登壇した。

「Google Cloud Next '18 in Tokyo」はザ・プリンス パークタワー東京、東京プリンスホテルの2カ所で同時開催。基調講演は両会場で交互に登壇するかたちとなった

 東京への「Advanced Solutions Lab(ASL)」開設発表の中では、「ユニクロ」「GU」などをグローバル展開するファーストリテイリング 代表取締役会長兼社長の柳井 正氏がゲスト登壇。同社が日本で初めてASLを活用するパートナー企業となり、柳井氏が掲げる“情報製造小売業”ビジョンの実現に向けてグーグルとの緊密な協力体制を構築していくことを明らかにしている。

ファーストリテイリング 代表取締役会長兼社長の柳井 正氏がゲスト登壇し、同社の目指す“情報製造小売業”ビジョンや、そのためにGoogle Cloudと取り組むことなどを説明

「Advanced Solutions Lab」東京に開設、機械学習でビジネス課題解決を支援

 同日、グーグルでは日本市場向けに大きく2つの発表を行っている。日本企業におけるビジネス領域でのAI活用を拡大するための取り組み、G Suiteの管理者向け新ツール(組織インサイト、セキュリティ調査)の2つだ。

基調講演で登壇したGoogle Cloud CEOのダイアン・グリーン(Diane Greene)氏

 AI活用の拡大に向けてはまず、開発者向け日本語版オンライントレーニングコンテンツの拡充、認定資格の開始などが発表された。GCP上の「TensorFlow」環境に触れながら実践的な機械学習処理の手順を学ぶ専門講座(ML with TensorFlow GCP、合計5コース)が日本語化されたほか、GCP全般のオンライントレーニングを提供するQwiklabsにも新たに50の日本語コースを追加した。またGCP上のソリューション管理者を技術認定する認定資格「Associate Cloud Engineer」の日本語受験も可能になっている。

 前述したとおり、東京へのAdvanced Solutions Lab開設も発表されている。このASLは、顧客企業のエンジニアチームがグーグルの機械学習エキスパートとの共同作業を通じて、実際のビジネスシナリオに機械学習を適用し、重大なビジネス課題の解決を目指す専門施設。大規模な機械学習モデルの作成やデプロイといったスキルを身につけるためのハンズオントレーニングや講習も予定している。

 「ASLでは、顧客企業のエンジニアとグーグルのエンジニアが隣同士に座り、顧客自身のビジネスデータを用いながら『どうすれば機械学習をビジネス活用できるか』『どうすればビジネス課題を解決できるか』というトレーニングを行う。さらに、このソリューションをどうプロダクト化するか、社内にどのような変革を起こしていくかといったことにも取り組む」(Google Cloud グローバルアライアンス&インダストリプラットフォーム部門 プレジデントのタリク・シャウカット氏)

 東京におけるASL活用パートナー企業の第1号となるのがファーストリテイリングだ。同社では小売業態の新たなビジョン“情報製造小売業”の実現に向けた「有明プロジェクト」を展開してきたが、そのさらなる推進に向けてグーグルの機械学習やASL、G Suiteを活用している。

 ゲスト登壇したファーストリテイリング柳井氏は、顧客に対する深い理解に基づいて最適な商品を企画/製造し、最適なかたちで届けるという、情報を中心とした“情報製造小売業”への転換を目指していることを説明し、そのためにグーグルとのグローバルな協業を強化していくと説明した。

 「(ファーストリテイリングは)われわれの業界ではおそらく世界2位か3位の規模。できたらグーグルのように『1位』になりたい。そのためにはやはりデジタルで(ビジネスの)トランスフォーメーションを図らなければならず、それをお願いしようということで今日ここに来ている」(柳井氏)

Google Cloudのタリク・シャウカット氏、ダイアン・グリーン氏、ファーストリテイリング 柳井 正氏、Google Cloud日本代表の阿部伸一氏

 グーグルASLチームとの具体的な取り組みとして、機械学習や画像認識技術を用いた商品のトレンドや具体的な需要予測といった取り組みを進めているという。単なる販売実績データだけでなく、顧客の声や行動情報、さまざまな種類の外部データも取り込んだビッグデータを用いて「顧客が求めるものだけ」を「リアルタイムに」製造する仕組みづくりを目指す。さらに、そうした商品を迅速に提供できるようにするために、店舗から本部、生産/物流拠点までの全社員が、「最適な判断を下すために必要な整理された情報」(柳井氏)を共有するコミュニケーションプラットフォームとしてG Suiteを採用している。

 「イノベーションのためには“違う要素”を組み合わせること、そして新しい技術が必要。そうした点で、グーグルと一緒に、われわれの業界でイノベーションが起こせるのではないかと考えている」「グーグルと一緒になってAIやクラウドの取り組みをもっと深くやっていけば、お客様を中心にしてこの産業が全部変わるのではないか、それがグーグルに対して最も期待するイノベーションだ」(柳井氏)

 なおファーストリテイリングは、数年前から基幹系を含めたほとんどの業務システムをAmazon Web Services(AWS)クラウドに移行してきたことでも知られる。今後、GCPへの移行はあるのかという記者からの質問に対し、柳井氏は「それは進展次第だ。実務上でどこが最適(なクラウド)なのかを考えてやっていく」と述べ、同時に「全部(のシステム/データ)がつながらないと意味がない、『全部がつながること』が一番重要だと考えている」とも語った。

 他方、G Suiteでは企業の管理者向けツール「ワークインサイト」(ベータ版)が発表されている。ワークインサイトは、企業内におけるG Suite各アプリケーションの使用率(デプロイメント)や利用パターン、さらにチーム同士のコラボレーションなどを分析/可視化してくれるツールだ。この分析結果に基づき、アプリケーションの利用を促進する追加トレーニングを行ったり、コラボレーションの強化を促したりすることができるとしている。

G Suite「ワークインサイト」ツールは、社内におけるG Suiteアプリケーションの利用状況やチーム間コラボレーションの活発さなどを分析/可視化する

 もうひとつ、G Suiteセキュリティセンターで新たに「調査ツール」のアーリーアダプター向け提供を開始している。これは管理者が企業全体から数クリックでデバイス上の疑わしいアクティビティを特定し、Googleドライブが社外とつながっているかを確認したり、悪意のあるメールの削除/受信拒否を設定したりできるツールだという。

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