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最新パーツ性能チェック 第234回

レイトレーシングなしでも圧倒的3D描画性能!

Turing無双!TITAN Vをも超える「GeForce RTX 2080 Ti/2080 Founders Edition」速攻レビュー

2018年09月19日 22時00分更新

文● 加藤勝明 編集●ジサトライッペイ

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リアルタイムレイトレーシングにディープラーニングを使った画像処理を現実のものとしたGeForce RTX 20シリーズ。残念ながらRTX 2080 Tiの発売日は1週間遅れとなってしまったが、性能はいかほどのものなのだろうか?

 NVIDIAが8月に発表したTuringアーキテクチャーを採用した新GPU「GeForce RTX 20」シリーズは、これまでのPCゲームのグラフィック表現を変えるものとして期待されている。

 すでにASCII.jpでは、「CG界の聖杯「リアルタイムレイトレーシング」に手をかけたGeForce RTX 20シリーズを理解する」【前編】【後編】で概論を、「Turingコアの構造も謎の指標「RTX-OPS」の計算方法も明らかに!徐々に見えてきたGeForce RTX 20シリーズの全貌」でアーキテクチャー面の詳細を解説しているが、ついに2018年9月20日0時1分、GeForce RTX 2080搭載ボードの販売が封切られる。

 これまでPCパーツは世界中で同じ日時に販売が解禁されることが多く、時差の関係で日本では深夜販売という形をとることが多かった。だが今回は“各国における9月20日0時1分”に開始するという「ローリングスタート」形式が採用された。

 ただひとつ残念なのは、当初同時発売を予定していたGeForce RTX 2080 Ti搭載ボードの出荷が土壇場で1週間遅れになったことだ。品物の確保が追いつかず苦渋の選択を迫られたのか。はたまた何か販売的な理由があるかは不明だが、大いに盛り上がっていただけあって少々残念なところだ。

 今回筆者はGeForce RTX 2080 Ti Founders Edition及びRTX 2080 Founders Edition(以降FEと略記)の評価用機材をテストできる機会に恵まれた。現時点ではRTX(レイトレーシングもしくはDLSSのどちらか)に対応したゲームは非常に少ないため、真価を封じられたハンディキャップマッチになるが、GPUの地力を見るつもりで読み進めて頂きたい。

RTX 20シリーズのフラッグシップであるRTX 2080 Ti Founders Edition。従来のFEに比べて微妙に高さは増えたが、ボードの長さ自体はほぼ同じ。

RTX 2080 Founders Edition。外見からはTiとまったく見分けがつかない。前世代のFEと異なり、デュアルファンの内排気仕様になった。

まずはRTX 2080 Ti/2080 FEの外観をチェック

 今回テストするRTX 2080 Ti FE及び2080 FEをまずはじっくりと観察してみよう。Pascal世代のFEはやや特別なリファレンスモデルといった位置づけだったが、TuringのFEはさらにそれを“NVIDIAによるスペシャルバージョン”までブラッシュアップしたものだ。FEとは別に“リファレンス”仕様の製品はあるが、これは基本的にAICメーカーが採用する製品である。

 FEやリファレンスに関係なく、運用に影響しそうな大きな変更点は以下の通りだ。Pascal世代以降DisplayPortは3基がほぼ標準化されたが、さらにVirtualLink対応のUSB Type-C出力が追加された。そして、SLIブリッジコネクターがSLI HBブリッジではなくNVLinkのブリッジに変更になった。

 特に後者、SLIにおける動作についてはまだブリッジアダプターが入手できないこともあるので不明な点が多いが、マルチGPU対応ゲーム数の縮退傾向を考えると、影響するのは一部のエンスージアストだけだろう。

RTX 2080 Ti FEとRTX 2080 FEの外見はロゴ以外ほとんど変わらない。

ボードの大きさは従来のFEとほぼ同じだが、2スロットクーラーに許される容積ギリギリまで使っている印象だ。旧FEクーラーよりもかなり冷却重視になっていると言える。

裏面のバックプレートは従来の黒一色から表面と統一感のあるシルバーに変更。以前はマルチGPU時の発熱対策でうしろ半分のプレートだけ外せるようになっていたが、RTX 20シリーズでは一枚板になっている。

同様に出力端子の比較。DVIが消滅したのはGTX 1080 Tiからだが、今回はDisplayPort1基がUSB Type-Cにコンバートされた。マルチディスプレー環境に組み込みたい人は注意が必要。

RTX 2080 Ti(左)と2080(右)の補助電源コネクター。RTX 2080 FEの補助電源コネクターは8+6ピンだが、6ピン側のコネクターの形状が一般的な6ピンとは微妙に違う点に注目。回路パターンを別途起こしたくなかったからだろうか?

基盤上部のこの出っ張りは、引っ張ることで外すことができる。内部にはNVLinkのコネクターが。RTX 2080ではGPUコアと1リンク、RTX 2080 Tiでは2リンクぶんの配線がなされているが、コネクターの端子で見分けることはできない。また、規格自体が違うため従来のSLIブリッジは装着することもできない。

RTX 2080 Ti FE及び2080 FEのファン。ファンの直径(ブレードの端から端まで)は実測85mm。AICメーカーのものと比べると、ブレードの捻りや凹凸が少ないため、ファン自体の効率はAICメーカー製品に劣ると思われる。また、ファンは常時回転しているが、ファンノイズは非常に小さい。

「GPU-Z」を使い、今回検証したボードの情報を拾ってみた。メモリーがGDDR6であること、CUDAコア数の少ないRTX 2080 FEのほうがブーストクロックが高いことなどがわかる。

Power Limitの最大値は123~124.4%。Temp Targetは84℃、つまり83℃あたりで温度が頭打ちになるよう、GPUのブーストが調整される。

Power Limitをワット表記にすると、RTX 2080 Ti FEが100~320W。RTX 2080 FEが125~280Wとなっている。Memory Supportの項を見ると、GDDR6メモリーはSamsungやHynix製のものも対応可能なようだ。しかし、BIOSにこう読める項があるだけで、実際の製品で搭載されるかは別問題だろう。

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