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意外にもCPU温度は低く、動作クロックはベースクロックを死守

ペットボトル3本分の小型PCの熱性能を過酷なテストで測ってみた

2018年09月20日 07時00分更新

文● 宮里圭介 編集●八尋/ASCII

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「Radiant SPX2700H310」

 わずか2Lというサイズながらも6コアのCore i7-8700を搭載可能なサイコムの小型パソコン「Radiant SPX2700H310」(関連記事)。高い性能は魅力的だが、気になるのが熱の問題だ。タワー型のデスクトップですら持て余すことがあるこのCPUの熱に、どこまで耐えてくれるだろうか。意地悪ともいえる高負荷テストで、性能と熱性能をチェックしてみた。

フルスペックの状態でベンチマークと熱性能をチェック

 テストしたRadiant SPX2700H310の試用機の主なスペックは、Core i7-8700、32GBメモリー、500GB SSD(NVMe対応)、960GB SSD(SATA接続)、「Noctua NH-L9i」(CPUクーラー)という、ほぼ最高スペックとなっているものだ。これ以上の熱源は増やせないほど強化されているだけに、かなり過酷なテストといえる。

 熱性能のテストの前に、まずは基本的な性能をチェックしておこう。CPU性能はレンダリング速度から性能を調べてくれる「CINEBENCH R15」、SSDの速度はストレージベンチマークの定番「CrystalDiskMark」を使用した。

CINEBENCHR15のスコアは、1239cb。やや安定感がなく、何度も試すとこのスコアの±50cbくらい幅があった
SSDは2基搭載しているが、高速なNVMe対応となる「Western Digital WD Black WDS500G2X0C」のもの。600MB/秒を越えられないSATAと比べ、大きく性能が上回る

 CINEBENCHR15のスコアは測るたびに数値がブレるとはいえ、極端な変化はなく、大体1240cb前後となっていた。これだけ小さなケースでもしっかりと性能が発揮できているのは素直に関心してしまった。もちろんファンの音は大きくなるとはいえ、それでもタワー型よりも静かなくらいだ。

 SSDの速度はさすがにNVMe対応なだけあって、シーケンシャルリードで3.4GB/秒、ライトで2.5GB/秒を越えている。何度か計測したが速度は安定しており、大きくはぶれなかった。サイコムオリジナルのSSD用ヒートシンクを装着しており、熱で速度が遅くなるという心配はないようだ。

NVMe対応のSSDは高速な半面、熱に弱い。オプションのヒートシンクを装着すれば、熱で性能が落ちる心配が少なくなる

ストレステスト「OCCT」で高負荷時のCPU温度と動作クロックを調べる

 本題となるRadiant SPX2700H310のCPUの温度と動作クロックについてみてみよう。負荷にはストレステストの「OCCT」を使用。テスト項目は「CPU:LINPACK」で、64ビット、AVXをオン、全コア使用にチェックを入れ、10分間負荷をかけた場合の挙動をみてみた。なお、CPUは各コアごとの温度がわかるが、傾向はすべて同じだったため、動作クロックと同じ「Core #0」だけを掲載する。

ストレステストには定番の「OCCT」を使用。とくにCPU負荷の高い「CPU:LINPACK」を10分間動作させた
最大74度で、その後70度との間を行ったり来たりするといった動きに。CPUの温度としてはそれほど高くはないが、ファンの回転数はかなり上昇し、騒音は増えた
テスト開始直後は負荷が最高にならないため高クロックを維持しているが、1分前後から3.2GHzあたりにまで下落していた

 無謀とも思える小型PCへのCore i7-8700搭載だが、意外にもCPU温度は低く、動作クロックもベースクロックを死守しており、性能が極端に低下するといった心配はなさそうだ。ただし、長時間の負荷となるだけにファンの回転数はかなり上昇しており、ちょっと離れた位置からでもファンの騒音がわかるくらいにはうるさくなってしまった。

 Radiant SPX2700H310は、標準ではUEFIの設定でファン回転数設定が「Silent」となっており、性能よりも静音性を重視したものとなっている。Silent設定では、負荷の少ないときは動作しているのか心配になるほど静かだ。

 では、この設定をより高回転となる「Standard」へと変更すると、CPU温度と動作クロックはどう変わるのだろうか。気になったのでこちらもOCCTを使って実験してみた。

標準では「Silent」となっていたファン設定を「Standard」へと変更。これだけで、回転数が約1100rpmから約2000rpmへとアップしていた
Standardだと、最大温度は73度となるためSilentのときとほぼ変わらないが、全体的に大きく動き、66度くらいまで下がることが多くなっている
ベースクロックとなる3.2GHzまで落ちるのは同じだが、クロックが上昇する回数が大幅に増えており、高負荷時でも性能が落ちにくい傾向があるといえそうだ

 Standardはファンの回転数が高くなりやすい設定となるため、そのぶんCPUもよく冷える。全体的にCPU温度が下がるだけでなく、動作クロックも高くなりやすいので、長時間CPUに負荷をかける用途、例えば動画エンコードなどに使うのであれば、SilentよりもStandardの方が向いている。

 ただし、そのぶんアイドル時からファンの回転音が気になってしまう。静音性を重視するなら、文字通り「Silent」設定で使う方がいいだろう。

性能を重視しないなら発熱の少ないCore i5やi3を選ぶのもあり

CPUはCore i3/i5/i7から選択できる。自分の用途にあったスペックをチョイスしよう

 発熱が大きいCore i7ではどうしても高クロックになりにくいため、タワー型パソコンと比べてしまうと若干ではあるが性能は低くなってしまう。とはいえ、これだけ小さいのに熱の心配なく使えるというだけでも十分すごい。性能をあまり重視しないのであれば、より発熱の少ないCore i5やi3を搭載して静音性を高めるというのもありだろう。

 机の上に置いてもジャマにならない小型PCでもCPU、メモリー、ストレージなどがカスタマイズ可能で、自分好みのスペックにできるというBTOパソコンのメリットをもつRadiant SPX2700H310。選べるパーツ数が多く、高性能から静音重視まで自由な構成へ変更できるだけに、納得がいくまでじっくりと選んで購入したい。

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