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強くてさっぱりした酒という言葉ではあらわしきれない:

サッポロ99.99は人を狂わせる怖い酒

2018年09月14日 09時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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●気づけば深酔いしている

 本品が恐ろしいのは意識がほろ酔いのまま体が深酔いしてしまうことです。

 「はートニックウォーターおいし…」と気楽に飲んでいると、自分の体が酔いに襲われていることに気づき、「えっ…」と動揺させられます。未知の力にめざめ「ドクンっ…!」と脈打つ体に「な…なんだ…っ!?」とおののく主人公の心境です。本当に効率的に酔うことができるためアルコールの経口投与とも表現したくなります。

 同じアルコール度数9%のサントリー・ストロングゼロ、キリン・氷結ストロングなどは、リキュールの味と香り、アセスルファムカリウムなど甘味料の味も手伝って、強いお酒をあおっているという高揚感と、ある種の祝祭感をもたらします。一方、高純度をうたうウォッカと糖類を主成分とした99.99は強いお酒を飲んでいる感覚が薄く、ハレとケの区別をつけることが困難です。

 フィリップ・K・ディックの『パーマー・エルドリッチの三つの聖痕』になぞらえれば、ストロングゼロは非現実を見せるキャンD、99.99は現実と非現実の区別をなくしてしまうチューZです。99.99は人類に救済をもたらすものかもしれません。

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