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建機レンタル業界が西日本豪雨で需要増でも低利益な理由

2018年09月12日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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建設機械レンタル
ロボットを操縦席に置いて建機を遠隔操作する。高額なICT建機を買わずとも、既存の建機や測量機器にレンタルでICT機能を付加できる Photo by Tomomi Matsuno

 建設機械レンタル市場が活況を呈している。2017年度の市場規模は10年度比で約2倍に成長した。もともと、東日本大震災の復興需要や東京五輪に向けた首都圏の建築ラッシュで需要が拡大していた上に、今夏の西日本豪雨の発生で土木工事が激増しているためだ。

 あまり知られていないが、建設現場で見掛ける建機の6、7割がレンタルだ。経済産業省の統計によれば、17年度の建機市場規模は出荷額約8646億円であるのに対し、レンタル市場の売上高は約1兆5238億円と、レンタル市場の方が大きい。

 好調の様子は大手建機レンタル業者の業績からも読み取れる。上場しているカナモトや西尾レントオールの売上高は右肩上がり。特に、カナモトの17年度売上高は前期比1割増の増収になっている。

 にもかかわらず、業者の表情は一様にさえない。両社の営業利益率が14年度の13%をピークに下降しているように、大手業者ですら収益性が悪化しているからだ。

 原因は、一部の業者が破格で受注し値崩れを起こしていること。顧客の建設会社がレンタル価格を買いたたいており、業界には常に値下げ圧力がかかっているのだ。

 業界最大手のアクティオなどは、利益を絞り出す工夫を凝らす。地場のレンタル業者と連携して迅速に建機を貸し出したり、首都圏近郊に倉庫を新設したりして、機会損失を防ぐ。

 また、建設会社や部品メーカーと組んでニーズに合った建機部品を独自開発し、それを貸すことで、新車を製造するコマツなど建機メーカーのレンタル子会社にはないラインアップをそろえ、価格競争以外での生き残りを探る。

 ただし、こうした独自開発での利益は少なく、「あくまでも建機レンタルにつなげて利益を得るための手段」(笹原久之・カナモト広域特需営業部次長)だ。

 例えば、建機に取り付けるだけでICT化に対応できる装置を開発すると、それを使いたい建設会社は、測量機器や仮設トイレなども同時に借りることが多い。建設現場のレンタルを丸ごと引き受けることで利益を捻出しているのだ。

協会は資格・登録制を推進

 ここにきて、大手業者に有利に働く動きも出てきている。業界団体の日本建設機械レンタル協会は、資格・登録制度の導入を検討中で、今年10月以降に「建設機械レンタル管理士」の資格制度、2年後以降に登録制度を始める予定だ。

 現状ではレンタル業に資格は要らず、建機さえ持っていれば誰でも営業できるため、業界の8割以上を中小や零細企業が占めている。新制度は、整備不足の建機を貸し出す不適格業者と優良業者を区別することで業界の地位向上を狙いとしている。実質的には、中小・零細業者を振り落とす役目を果たし、業界内格差が広がることになりそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 松野友美)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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