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ロンドン橋のテロやラスベガスの銃乱射事件でも効果を発揮

出張者の安否確認や危機管理を実現する「Concur Locate」日本語版

2018年09月11日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/Team Leaders

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 2018年9月10日、出張・経費管理クラウドを提供するコンカーは、従業員危機管理に関する意識調査と新製品である「Concur Locate」についての発表会を開催した。調査では、従業員の出張の旅程情報や危機を管理できてない日本企業の動向が明らかになり、グローバルで飛び回る出張者の安全確保の必要性が訴えられた。

グローバル時代に注目される従業員の安全配慮義務

 SAPグループの一員として業務向けのクラウドサービスを提供するコンカー。こうしたコンカーの事業の柱が、経費精算クラウド「Concur Expense」、領収書管理クラウド「Concur Invoice」、そして今回テーマとなった「Concur Travel」と呼ばれる出張管理クラウドになる。出張管理の領域は本格参入が2017年と日が浅いため、現在の売り上げ構成比は15%に過ぎないが、2022年には主張管理のビジネスが売り上げの4割を占めると見込んでいる。

 今回はおもに他社連携による国内出張予約、出張中の旅程と危機の管理強化が発表された。具体的には国内の外部予約サイトと連携する「TripLink」や、外部も含めて出張の旅程を自動的に生成してくれる「Triplt Pro」、自然災害やテロから従業員を守る情報共有機能を提供する「Concur Locate」が挙げられる。「今後、出張に関わるすべての業務をConcur上に載せることができる」とコンカー 代表取締役社長の三村真宗氏はアピールする。

コンカー 代表取締役社長 三村真宗氏

 こうした出張管理クラウド強化の背景として、「Duty of Care」と呼ばれる従業員に対する安全配慮義務が挙げられる。もとより1990年台まではそもそも海外への出張自体が少なく、政治リスクに関しても冷戦構造にひも付いていたため、ある意味予測がつきやすかった。だが、2000年台以降、経済のグローバル化で海外主張に行く従業員が圧倒的に増え、出張先や勤務場所が世界中に分散した。

 その一方で、地域紛争やテロが多発することで、リスクの予見も難しくなっているのが現状だ。また、出張の予約に関しても、会社が集中管理できる旅行会社を使わず、従業員がインターネットで手配することが増えた。「従業員がどこに行っているか把握するのも大変になった。安全配慮義務の遂行がますます困難になっている」と三村氏は指摘する。

日本では出張管理が非常に遅れている

 こうした出張管理の現状に関して、三村氏が披露したのは、コンカーとマクロミルが共同で行なった「海外出張者の危機管理に関する実態調査」の結果だ。出張者と出張管理者を300名強を対象に行なった調査では、治安情勢の悪いエリアの渡航が「ある」と答えた人が5割を超え、出張中のトラブルが増える可能性が高まっていると感じる人も8割弱に及んでいる。また、飛行機遅延やキャンセル、病気/けが、盗難や障害などの事件/事故、悪天候、自然災害、テロなど、実際にトラブルが発生したと答えた出張管理者も7割を超えている。

治安情報の悪いエリアへの出張も5割

 しかし、多くの企業は危機管理プロセスに重要性は感じているものの、課題を感じている企業も9割近い。災害や危機などの情報提供のほか、危機の検知や出張者のリスト作成にも時間がかかる日本企業の実態だ。従業員による勝手予約や旅行会社への丸投げが増えているため、社員がそもそもどこにいるのか把握できていない。危険情報に関してもニュースが頼りで、タイムリーさを欠くため、多くの企業では安否確認や支援をタイムリーに行なうことが難しいという。「日本では出張管理が非常に遅れている」と三村氏は指摘する。

 発表会の冒頭、挨拶に立った米SAPコンカー社長のマイケル・エバハード氏も、「出張者としては、タイムゾーンが違っても会社が自分をきちんとケアしてくれることが安心感につながる。また、マネージャとしては出張者の安全を確保できる選択肢を確保すべき」と語り、出張管理の重要性を説いた。

米SAPコンカー社長のマイケル・エバハード氏

出張者の安否や危険管理をリアルタイムに行なえる

 こうした危機管理プロセスの整備が実現しないのは、経営者の意識の欠如と仕組みやシステムの欠如が大きな理由。このうち、後者の仕組みとシステムという課題を解消するのが、コンカーが提供する危機管理を実現する「Concur Locate」になる。

 Concur Locateが管理するのは、社員がどこにいるのかをいち早く知るための「旅程情報」と、どこで危険が発生しているのかという「危険情報」だ。旅程情報はスマホアプリの「TripIt Pro」に集約され、危険情報は外部機関のリスクライン(デンマーク)からほぼリアルタイムに配信される。両者をかけあわせることで、出張者が危機に直面した可能性をいち早く検知し、リストを即座に作成し、数クリックで安否確認を実現する。

旅程情報と危険情報をかけあわせるConcur Locate

 発表会で実施されたデモでは、Coucur Locateの出張管理者向け画面が披露。出張しているメンバーが世界のどの国・地域にいるかマッピングされる。出張管理者が範囲を指定すると、該当の地域にいるメンバーを簡単にピックアップでき、アラートメールや安否確認のメールを出すことができる。

 先行導入されているConcur Locateは、実際のテロの現場でも効果を発揮している。たとえば2017年6月に起こったイギリス・ロンドン橋でのテロ事件では、テロの第一報が発表されてから約5分後にConcur Locateでリスクを検知。テロ現場の近隣にいる従業員を確認し、メッセージングにより、安否を確認できた。また、2017年10月に起こったラスベガスの銃乱射事件の際も、20分以内に支援が必要な社員を特定し、安全な場所への移動を誘導できたという。

ラスベガスの銃乱射事件のときも効果発揮

 発表会では、Concur Locateの前身製品であるConcur Risk Messagingを導入した企業のコメントも披露され、安否確認やリスト作成で大幅に短縮された効果がアピールされた。Concur Locateの日本語版は同日に出荷を開始。また、TripIt Proは国内の旅行予約サイトとの連携を進め、2019年上半期から出荷される予定となっている。

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