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自主規制の斜め上を行くバラエティ「今田×東野のカリギュラ」がヤバい

2018年09月13日 11時00分更新

文● モーダル小嶋/ASCII

提供: Amazon Prime Video

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 最近のテレビ番組は「(自主)規制がきびしくなった、つまらなくなった」と言われることがある。しかし、過激であればあるほどおもしろい、ルールを破ればおもしろいという単純な話でもないはずだ。「昔のテレビはおもしろかった!」と主張する人は、(今の基準から見れば)なんでもありに見える緩さの中に、「なんでこんなことやるのかな~」という驚きや呆れを散りばめていた番組を体験しているのだろう。彼らの視点から見れば、昨今の地上波は刺激が足りず、いささか物足りなく映るかもしれない。

 そんな不満を抱えている人に、ぜひチェックしてほしい番組がある。Amazon Prime Videoで配信されている、今田耕司と東野幸治がMCを務めるバラエティ番組「今田×東野のカリギュラ」(以下、「カリギュラ」)だ。8月31日からシーズン2の配信が開始されており、もちろんPrime Videoでしか見られない。

 「カリギュラ」とは、「禁止されたらやりたくなる」という意味の心理効果のこと。コンプライアンス面で放送が難しい、マニアック過ぎて視聴率が見込めないなど、地上波のテレビで一度闇に葬り去られた企画を掘り起こして実現していくコンセプトの番組だ。オープニングでは、テロップで「番組の性質上、ご覧になられる方によっては一部不適切と感じられる場合がございます」と呼びかけているほど。

出演者がバラエティに文字通り命をかける……のだが、絵面がバカバカしすぎる「人間火の鳥コンテスト」

 シーズン1でも好評だった「東野狩りシリーズ」で鹿、イノシシに続き今度はカラスを狩猟する、「東野、カラスを食う」、芸能人たちが火の鳥となって空を舞う「人間火の鳥コンテスト」(審査員にしれっとプリンセス天功が名を連ねているのが最高)、芸人たちが(家庭内で)妻の下着を盗む選手権「家庭内下着泥棒グランプリ」など、現在8話までが一挙配信されている。

 この番組、地上波では放送できないものを流して喜んでいるような単純な内容ではない。自主規制の“斜め上”というか、緩~い視点や、マニアックでコアなアプローチなども楽しめるのが魅力なのだ。その中でも「確かに地上波だとむずかしいだろうな」と思わせてくれる3つのエピソードを紹介しよう。

事故れば即死! 爆破が最大規模の「特効野郎Aチーム」

爆破を愛し、爆破に取りつかれた男たちによるドキュメント

 地上波テレビを取り巻く環境の変化で年々衰退している仕事が存在する。特殊効果、通称「特効(とっこう)」だ。ドラマやバラエティの爆破シーンはこの特効が手掛けているのだが、昨今は大規模な爆破は減りつつある。そんな特効の現状を憂いたロバート秋山が立ち上がり、過去にドラマ「西部警察」の爆破を手掛けた爆破界のパイオニア・大平特効とタッグを結成。近年のテレビでは見られなくなった爆破に挑む。

 「事故れば即死」というあまりにも不穏なフレーズも使われるが、その看板に偽りはない。とにかく、本当に爆発しまくるのである。古くから「爆発オチ」という言葉があるぐらいで、迫力のあるシーンはインパクトがあるのだが、あまりにもすごすぎて「配信してよいのだろうか?」「(オンエアされているとはいえ)出演者は本当に無事だろうか?」と不安になってくる。

爆破シーンは「必見」を通り越して「いいのかな……」と不安になるレベルだ

 たび重なる爆破の快感と恐怖がせめぎあう映像は、予算などの条件にしばられる地上波の番組にはなかなか作りにくいだろう。シンプルに「Prime Videoじゃないと無理だろうな」と思わせる、ここまでやるか……という衝撃に度肝を抜かれるはず。

竹中直人が「自作自演やらせドッキリ」に引っかかる

大物俳優が自らにドッキリを仕掛ける

 シーズン1でも好評だった「自作自演やらせドッキリ」。ドッキリ企画においても、テレビの規制は厳しくなり、昔に比べ過激さは減っている。そこで「自らドッキリを考案し、すべて自分で引っかかる」ことで視聴者を強引に納得させる、すさまじい完全やらせ企画が登場。シーズン1ではオードリー春日、ロバート秋山、バイきんぐ小峠、そしてMCの今田耕司が挑戦した。

 シーズン2では映画監督、コメディアン、声優などマルチな顔を併せ持つ鬼才・竹中直人が自らに仕掛けるドッキリを考案! 大物俳優が自らに仕掛けたドッキリとは……。

 現在ではいくらドッキリといっても、「やらせじゃないか」「被害者がかわいそうだ」という意見も飛び交うことがしばしばだ。そこで、自分がドッキリを考案して引っかかれば、やらせもクソもないし、どんな悲惨な目にあっても許せるはず……という、メビウスの輪のような発想に至ったのは恐れ入る。しかも竹中直人という大物が出演するとなれば、見る前から「何が起きるんだろう?」とワクワクしてしまう。

ドッキリを仕掛けるのも引っかかるのも本人という矛盾が、シュールな笑いをもたらす

 映画やドラマなどで、数々の役を演じるのはもちろんのこと、ときには監督も手がける竹中直人のこと、見ている者の予想もつかぬドッキリが連発する。とはいえ、考案するのも引っかかるのも本人なわけで、まさに自作自演の極地。大物俳優のプライドか、予定調和をあえて踏み外すような強烈なリアクションも次から次と堪能できる。笑っていいのか、呆れていいのか、これまでのドッキリ番組にはない不思議な視聴感は唯一無二だ。

元EE JUMPの後藤祐樹がタトゥー娘を叱る

 シーズン1で「地上波で会えない人物」として登場した後藤祐樹。今回は、生半可な気持ちでタトゥーを入れようとしている人を叱る。自らも首や腕にタトゥーを掘っている後藤、中途半端な気持ちでタトゥーを入れると、どんな現実が待っているのか……タトゥーを掘りたいという願望を持つ3人の女性と本気で向き合う。

地上波ではマジで難しそうな映像が連発する

 何しろ後藤祐樹、そしてテーマがタトゥーということで、「なるほど地上波では放送できない」と安易に思ってしまうかもしれない。しかし、実のところ、既存のテレビ番組では見られない人、見られないテーマを取り上げているからおもしろいのかと言われれば、そんな単純な話ではない。

 この回では、「笑える」シーンはほとんどない。どちらかといえば「怖い」のだ。後藤祐樹の発言、佇まいなど、一挙手一投足がとてもシリアスで、目が離せなくなってしまう。女性が叱られるときの表情などを含め、ヒリヒリした空気が嫌でも伝わる。登場人物が体を張らずとも「ヤバい」映像が作られるという点で、「カリギュラ」らしい視点のエピソードだ。

編集部のバラエティ大好きおじさん
ムラリンによるオススメコメント

 「カリギュラ」の魅力を知るには、実際に視聴してみるのが一番。昔の地上波から今のネット番組にまで精通している人は、どのような思いを抱くのだろうか……と、さっそくASCII編集部のバラエティ大好きおじさん、ムラリンに「カリギュラ」を見てもらった。すると、昭和から平成まで、テレビが好きな編集部員らしい熱い感想が返ってきたのであった。

やってはみるけど、どうなるかわからない
そこが「カリギュラ」の魅力でした!

ムラリン。パソコン誌編集者歴25年のベテランであり、若いときからバラエティ番組は大好物だった。「カリギュラ」は今回初めて見たところ、かなりハマった模様

 私はとんねるずが好きだった。私見だけれど、とんねるずの面白さの根源は、それまでのテレビの常識を破壊したことにあるんだと思う。制作スタッフを名指しであげつらって笑いに変える。舞台の裏側まで見せる。それまでお客様扱いされていたゲストタレントや観覧しているお客まで、自分たちと同じ土俵にまで引っ張りこんで、自分たちと同じようにバカをやらせる。そうした行為によって、計算された笑いの上に出演者の生の感情がアドオンされて、撮影現場にいる人間が心底楽しんでいるのが感じられたのだ。だから見ている側も自然と笑ってしまう。

 自分は基本的にいい子なので、実のところ、やっちゃいけないと言われるとやりたくなる衝動っていうのをあまり理解できないんだけど、それをしている人を見るのは好きだったりする。なにかあっても怒られるのはその人だから(笑)。無責任極まりない話だけど、こういったバラエティを見るって行為自体が、そもそも疑似体験だったり、自分ではできないことの代替行為だったりするわけで、昨今、過激な内容のYouTuberの動画がもてはやされたりするのも似たような感覚なんだと思う。

 「カリギュラ」は、地上波では放送できない企画を実際にやってみるという、いわば実験番組。今田耕司、東野幸治がMCを担当しているけど、いわゆるただのお笑い番組ではない。やってはみるけど、どうなるかわからない、そんな内容が盛りだくさんなのだ。出演者のリアルな反応が見られる、という意味では、かなりガチ! 人によって向き不向きがある内容だけど、一度ハマるとどんどん見たくなっちゃうこと請け合いです。

Amazon Prime Videoでいますぐ「今田×東野のカリギュラ」を見よう!

 とにかく「地上波のテレビでは放送できない」という面から、過激で強烈なシーンばかりが並ぶ番組だと思うかもしれない。しかし、じっくり見ていくと、「笑わせる」とは違う視点の徹底的な追求があることにも気づくだろう。

 たとえば「東野、カラスを食う」では、見慣れた動物であるカラスの狩猟を通じて、命のやり取りをするとはどういうことか、狩猟対象を食べる際にどのような感情が湧いてくるのか……という視点が根底にある。バカバカしい絵面に目を奪われがちな「特効野郎Aチーム」でも、近年のテレビからは居場所を失われつつある職人や、リアクションに命をかける芸人などの誇りが垣間見えたりする。単純な反骨心だけで作られている番組ではないようだ。

「東野、カラスを食う」は、狩猟を通じて、生命の重さ・食物連鎖の無情と向き合う内容だ

 一方で、どんなに一生懸命にやっていても、家族の下着を必死に盗もうとする姿や、火だるまになって飛び回る様子などは、往年のバラエティ番組のような、今では見られなくなった「くだらなさ」「しょうもなさ」が充満している。この空気感は、若い人には新鮮に、往年のテレビファンにはなつかしく思えるだろう。

 「禁止されたらやりたくなる」という意味の言葉・カリギュラを冠しているだけあり、過激な規制への挑戦だけではなく、地上波にはないトホホな緩さ、人として生きることの難しさ(?)も存分に味わえる。既存のテレビに飽き足らない人は、いますぐヤバすぎるバラエティ「カリギュラ」を観よう!

Amazon Prime Videoについて

 Amazon Prime Videoはプレミアムなオンデマンド・エンターテインメント・サービス。プライム会員向けに日本オリジナル作品『仮面ライダーアマゾンズ』『クレヨンしんちゃん外伝』『バチェラー・ジャパン』などが見られる。Amazonスタジオ制作によるオリジナルの『マーベラス・ミセス・メイゼル』『トム・クランシー/CIA分析官 ジャック・ライアン』といったラインナップも用意。

 観たいチャンネルを選んで登録し、コンテンツが視聴できるプライム会員向けのサービス「Amazon Prime Videoチャンネル」も提供。J SPORTS、時代劇専門チャンネルNET、BBCワールドニュースなど30以上のチャンネルを別途のアプリやチューナーを使わず視聴できる。

 映画やテレビ番組のレンタルや購入もでき、数万本の新作映画やテレビ番組をオンデマンドで楽しめる。

(提供:Amazon Prime Video)


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