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私たちの働き方カタログ第28回

非喫煙者の不平等感に制度で対応したアキナジスタ

喫煙時間かリフレッシュ休暇か、選べる制度でタバコときちんと向き合う

2018年09月05日 11時00分更新

文● 大谷イビサ/Team Leaders 写真●曽根田元

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 その会社にはその会社ならではの働き方がある。みんなの働き方改革・業務改善を追う連載「私たちの働き方カタログ」の第28回は、インターネット広告会社であるアキナジスタ。見過ごされがちな勤務時間内の喫煙という課題に対して、制度面で向き合った広報担当の井手香織氏に話を聞いた。

アキナジスタ 広報担当 井手香織氏

喫煙者と非喫煙者が両方とも納得する制度へ

 働き方改革で無視されがちな喫煙時間の課題。長時間労働の是正が叫ばれ、時間あたりの生産性にフォーカスがあたる中、喫煙時間に不平等感を感じている非喫煙者は多い。一方、時代の趨勢とともにコミュニケーションの場所でもあった喫煙所を失った喫煙者は、オフィスの中でますます肩身を狭くしている。ギスギスしがちな喫煙者・非喫煙者の働き方に対して、会社として向き合い方を考えたのがインターネット広告会社のアキナジスタである。

 もともとアキナジスタは喫煙者の比率が高く、昨年末に調べたところ、男性の喫煙率は6割に達していた。そのため、喫煙所でコミュニケーションをとることも多く、ある種の社交場と化していたのも事実だ。「喫煙室のコミュニケーション自体を否定するものではないのですが、吸わない人からすると『ちょっと不平等じゃない?』という声もありました」(井手氏)。こうして生まれたのが、喫煙をリフレッシュとして捉え、喫煙者がリフレッシュしている時間の分、非喫煙者に休みとして取得してもらう制度だ。

 井手氏は、社員にヒアリングし、ロジックと数字を固め会社に枠組みを提案することで、「喫煙者と非喫煙者が両方とも納得する制度」に近づけていった。他社の制度を参考にしつつ、アキナジスタらしい「自由さ」も制度に盛り込んだという。「『喫煙者差別ではないか?』という声もありましたが、社内で喫煙することでリフレッシュするか、その分の時間を休みにするかを選ぶのは、あくまで本人。禁煙を推進しているわけでも、いわゆる健康経営でもないんです」と井手氏は指摘する。

喫煙の可否が話題になり、結果的に禁煙する人は増える

 喫煙時間の代わりとなるリフレッシュ休暇は、半年間喫煙してなかった人に対して半期で2日間が付与される。この2日という日数も、社内調査による喫煙時間と頻度から割り出されている。多くの社員は喫煙回数が午前に1回、午後に3回だったので、1回5分だとすると、月に400分で、年間だと80時間だ。出勤日数だと10日分なので、年間4日はむしろ少ない。「でも、まずはそこからスタートしました。今までゼロだったわけだし、不平等感はそれなりに解消されたので、やってよかったと思います」と井手氏は語る。

 制度を運用してまだ日は浅いが、運用したことによって禁煙につながった人もいたという。「今まで当たり前のように喫煙していた人が、制度をきっかけにタバコを吸うことの可否を考え始めたみたいです。やめたら休みを4日もらえるということが、結果的にインセンティブになっています」(井手氏)。

 タバコの値段が年々上がり、喫煙できる場所が減り、健康にもよくないということで、あらゆる社会情勢が禁煙を促している。喫煙の問題が根深いのは、やめたいと思っていてもなかなかやめられないからであり、「タバコなんてやめればいい」という意見だけでは、問題の解決には近づかない。その点、今回の制度は喫煙者と非喫煙者の不平等感を解消しつつ、両者の思想を尊重して、どのタイミングでオン・オフを切り替えることが自分にとって有益なのか選ばせる点が興味深い。制度自体の可否を含めて、議論のタネになると面白いと思う。


会社概要

アキナジスタは、「常識を変える。未来を創造する。」を経営理念に掲げ、常識や固定概念に縛られず、自由な発想で「世の中にまだない価値」を創造し、全世界に向けたサービスを展開していきます。

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