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「ギガ」節約目的の公衆Wi-Fiで気をつけるべきこと

2018年09月07日 09時00分更新

文● せきゅラボ

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 2017年6月ごろ、「ギガが減る」という言葉がSNSを中心に話題になった。スマートフォンなどで契約しているデータ通信量の残りが減っていることを表現する言葉だ。1ヵ月で利用できる通信量が、(キャリアにもよるが)おおよそ数GB(ギガバイト)の範囲であることに由来している。「残り○○GBしか使えないのに、通信量を使ってしまう」→「ギガが減る」というわけだ。

 この言葉が使われだしたときは、聞き覚えのないフレーズだっただけにとまどう人もそれなりにいたようだ。もっとも、今ではキャリアも「ギガ使い放題キャンペーン」とうたうなど、「ギガ」というフレーズは幅広い層に定着してきている。かつて、携帯電話の無線パケット通信料が想像以上の高額になってしまうことを「パケ死」などと呼んだが、最近ではデータ通信量の残りがなくなることを「ギガ死」と呼ぶこともある。

 データ通信の容量を使い切ってしまった場合、大手キャリアでも格安SIMでも、基本的に容量追加は可能なものの、料金が割高になることが多い。そこで、通信量の制限を避けるべく、外出先では積極的にWi-Fiを利用する人も多いだろう。しかし、しっかり保護されていないWi-Fiは危険なもの。実際に個人情報が盗み取られてしまった例もある。

 多くのWi-Fiスポットにはセキュリティがかけられており、通常はパスワード(暗号化キー)入力などが必要だ。しかし、悪意ある人間が、クレジットカード情報などを含む個人情報を盗み取る目的で、意図的にセキュリティをかけずに解放している場合がある。

 それらのWi-FIスポットを利用して、ECサイトで決済をしたり、オンラインバンキングを使ったりした結果、個人情報が盗まれ、金銭的被害を受けることも考えられる。観光地や繁華街など、スマホ利用者が多く通信状況がままならない場所でも、暗号化キーなしの無料Wi-Fiスポットを発見しても使わないほうがよいだろう。

 また、店舗などが提供している無料Wi-Fiスポットに似せた、成りすましWi-Fiスポットを設置される可能性がある。同一のSSID(接続先となるアクセスポイント名)や、「coffeeshops」など、本物と間違えやすいSSIDを設定し、誤認を誘う手口だ。

 対策としては、暗号化キーが設定されていない、あるいはまったく同じSSIDが複数存在する無料Wi-Fiスポットは利用を控えるのが大事だ。また、仮想プライベート ネットワーク(VPN)を使えば、公衆Wi-Fiネットワーク上のデータのセキュリティと暗号化を強化できる。たとえばマカフィーではVPNサービス「McAfee Safe Connect」を提供しており、外出先ではこのようなサービスを利用するのも手だろう。

 今回は、Wi-Fiの危険性やVPNの利用方法などについて解説した、McAfee Blogの記事「『ギガ』節約の前に知っておきたいVPN」を紹介する。

「ギガ」節約の前に知っておきたいVPN

 スマートフォン(スマホ)が普及し、デバイスは1人1台以上の時代になりました。動画視聴やSNSなど、毎日ネット接続を楽しんでいる方は多いのではないでしょうか。一方で、通信容量がかさんでしまうという問題も。個人ユーザーの懐を直撃するだけに、契約している容量制限内で、どうにか「ギガ」を節約したい……という気持ちも強くなります。

 「ギガ」節約のために最もポピュラーな手段は、大容量の通信時にはWi-Fiを利用することでしょう。もはやWi-Fiは、なくてはならない現代のインフラとなっている感があります。

 しかし、一口にWi-Fiといっても安全性は千差万別なのです。「つながる先」に注意しておかないと、サイバー犯罪者が簡単に傍受したり、デバイスに侵入したりできる状態になってしまいます。

 「ギガ」節約のために、高価なデバイスや大事なプライバシーを危険にさらしては本末転倒。セキュリティ性を守りながら、Wi-Fiを安心して使うための方法を考えてみましょう。

1. どんな通信が危険?

 駅や空港、チェーン店、ショッピングモール……。街を歩くと、無料のWi-Fiアクセスポイントが見つかります。「ギガ」節約のために、つい接続したくなるところですが、一旦ストップ。このブログを読んで、どう対応するかもういちど判断し直してください。

 Wi-Fiが傍受されやすいのは、無線通信が無防備になっているか、不正なアクセスポイントに接続してしまった場合です。こうした脅威に対するセキュリティ対策として、Wi-Fi接続の認証や暗号化の利用が挙げられます。ところが暗号化されていないアクセスポイントもまだまだ多いのが現状です。

 例えば、認証なしに誰でも“つながり放題”の公衆無線LANは、ほとんど“のぞき放題”も同然。ここに接続してオンラインバンキングを開き、ユーザー名・パスワードを入力すると、すこし技術と悪意のある人物なら、あっさり傍受できるのです。もちろん家族へのメッセージや電話番号といった個人情報も盗聴されてしまいます。

 スマホでもパソコンでも、パスワードのかかっていないフリーWi-Fiは危険性が高いといえます。またパスワードがかかっているとしても、カフェ内の全員が同じパスワードを使っていれば、残念ながらほとんど同程度にリスクがあるでしょう。

 有料のフリーWi-Fiサービスも、必ずしも安心できません。たとえ暗号化されていても、従来の「WPA2」といった暗号化技術に脆弱性が発見されているのです。

2. 安全性の高いVPN

 それでも、どうしても「ギガ」が足りないときや、仕事のために外出先でフリーWi-Fiを使わなければならないときもあるでしょう。そんなときに不正アクセスの不安なくフリーWi-Fiを使うための選択肢として、VPNが普及してきました。

 VPNは「Virtual Private Network」(仮想プライベートネットワーク)の略称で、データを暗号化して、安全な通信ルートを確保する技術です。デバイスとアクセスポイントの間の通信を暗号化するので、たとえ傍受されたとしても、サイバー犯罪者は解読できなくなるものです。

 VPNはビジネスシーンで先に普及しましたが、最近は個人ユーザーが公衆無線LANに接続する際に利用できるサービスとして注目されています。

<VPNの仕組み>

3. VPNを利用するには

 最後に、個人でVPNを使うための主な方法をご紹介します。

 ご自宅内であれば、VPNサーバー機能の付いたWi-Fiルーターを設置し、オンに設定することでVPN通信が利用できます。自宅のウェブカメラや家電といったWi-Fi機能がある機器が増えていますので、なるべくVPNで安全性を高めたいところです。

 外出時にVPNを利用するためには、スマホ・パソコンに標準のVPN接続機能を利用することが可能です。もしくは、専用のアプリをダウンロードするとより簡単になるでしょう。最近は、個人向けのVPNアプリの種類も増えています。無料アプリよりは、なるべく有料版のアプリを選ぶことで、より安定した機能が期待できます。

 マカフィーではVPNサービス「McAfee Safe Connect」を提供中です。安定したVPN接続により、たとえWi-Fiにサイバー犯罪者が侵入しても、IPアドレスやユーザー名、パスワードといった通信の秘密が守られる環境が得られます。

 もちろん、デバイスのOSやセキュリティソフトのアップデートも怠らず、安全な環境でインターネットを楽しんでください。


著者:マカフィー株式会社 CMSB事業本部 コンシューママーケティング本部 執行役員 本部長 青木 大知


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