このページの本文へ

柳谷智宣のkintoneマスターへの道 第58回

APIリクエスト数の上限値などkintoneの制限値を把握する

2018年08月31日 11時00分更新

文● 柳谷智宣

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

サイボウズ社が提供しているウェブサービス「kintone」は、一言で言うなら「簡単に自社の業務に適したシステムを作成できるクラウドサービス」だ。業務アプリを直感的に作成できるほか、社内SNSとしての機能も備えスピーディーに情報共有ができるなど魅力が盛り沢山だ。
本連載では、そんなkintoneの導入から基本機能の紹介、そしてアプリの活用法など、ビジネスの現場で役立つ情報を取り上げていく。第58回では、APIリクエスト数の上限値などkintoneの制限値を把握する。

ビジネスが大きくなったらご用心! kintoneの各種制限値

 kintoneは手軽にアプリを作ってビジネスの課題を解消できるが、無限にデータを扱えるわけではない。kintoneの各種制限値を理解しておかないと、ビジネスが大きくなり始めたときに問題になる可能性がある。

 筆者は先日、kintoneのカスタマイズを手がける開発会社の人に、kintoneでのシステム開発の相談をした。これからローンチするeラーニングのクラウドサービスなのだが、管理画面をkintoneで運用しようとしたのだ。筆者的には、自分で機能は追加できるし、問題作成者がコンテンツを追加するのも簡単だし、ユーザーは多彩なグラフを自由自在に作って検証できるといいこと尽くめだと思ったのだ。

 実際、サンプルアプリは問題なく作れたし、動作した。あとはこれをAWS上で動作するeラーニングシステムと連携すればいいだけ。これはAPIが公開されているので問題なし。

 筆者の説明が終わると、顧客は何社くらいですか? というので、1年目で100社、3年目で500社を目指したいですね、とドヤ顔で回答。しかし、ビジネスプランを聞かれたのかと思いきや、そうではなかった。100社なら1社が1日に100回APIリクエストを送ればパンクする、とのことだった。

 そう、kintoneのAPIリクエストは1アプリにつき1日1万リクエストが上限になっているのだ。それでは困るので、では1社につき1アプリ作成する構成にするのは? と苦肉の策を提示するも、バージョンアップがあるたびに、数百のアプリを更新するのですか? と言われ、撃沈。話は持ち帰ることとなった。

運用を開始した後、データがどのくらいの数になるのかをある程度想像して作らないと、途中でトラブルになることも!

 APIのリクエスト数は1日1万件で、日本時刻の午前9時にリセットされる。1万件をオーバーすると、その時に警告メールが送られてくる。即停止されてしまうようなことはないが、リクエスト数を減らせない場合は、サイボウズに相談する必要がある。ちなみに、ファイルのアップロード/ダウンロードや、スペースの情報取得/作成/本文の更新/スレッドへの投稿/メンバーの取得、API一覧の取得、APIスキーマ情報の取得などは、リクエストにカウントされない。

 利用中のAPIリクエスト数は、「kintoneシステム管理」の「アプリ」→「アプリ管理」で確認できる。ここには、アプリの中でもっとも利用数の多い数値が表示される。

「kintoneシステム管理」の「アプリ管理」で利用中のAPIリクエスト数を確認できる

 ちなみに、1つのドメインに対してkintoneREST APIで同時にアクセスできるのは100まで。同時アクセス数が100を超えると、APIの実行時に429のHTTPステータスコードが返されるようになる。本来は、この制限でも100社を超えるユーザーでkintoneを使うのは難しかったのだ。

 ほかには、一度に取得できるレコード数は500件で、レコードのコメントは10件までとなる。一度に登録したり更新、削除できるレコード数は最大100件まで。ただし、最大20個のアプリに対して同時にAPIリクエストをすることも可能なので、100×20の2000件の処理は可能となる。

kintoneにはさまざまなAPIが用意されており、外部サービスと柔軟なデータのやりとりができる

 気になるレコード数は、こちらは上限なし。kintoneのウェブサイトには、レコード数が多くなるとアプリの動作が遅くなる場合がある、と記載されている。しかし、数十万件のレコードを登録したアプリを触ったことがあるが、快適に動作していた。

 1アプリにつき、一覧とグラフはそれぞれ1000個まで。合計ならともかく、1アプリにつき1000個なら足りなくなることはないだろう。プラグインは1アプリにつき20個まで、プラグインのサイズはJavaScript/CSS/アイコンファイルは最大512KB、HTMLファイルは最大64KBとなる。

 フィールド数は1アプリに500個まで。運用中にフィールドが追加されていくような設計にはしない方がいいだろう。レコード番号や作成者、作成日時、更新者、更新日時、ラベル、罫線、スペースは含まれない。なお、テーブルのカウント方法はテーブル内のフィールド数にテーブルそのものの1を追加した数になる。テーブルは、1テーブルにつき5000行まで作成できる。

 データを読み込める上限は、Excelファイルが最大1MBで1000行まで、CSVファイルなら最大100MB、10万行までとなっている。ほかには、レコード数の絞り込みは上限数なしとなるのだが、70個以上指定するとレコードの一覧からレコードを開けないことがあるので注意が必要だ。

■関連サイト

カテゴリートップへ

この連載の記事