このページの本文へ

手づくりレッツノート工房2018にパナソニックのものづくりの原点を見た

2018年08月30日 15時00分更新

文● 村野晃一、八尋大地 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

参加者の声で再認識、パナソニック「手づくりレッツノート工房」の魅力に迫る!

手づくりレッツノート工房2018開催!

 8月4日、パナソニック神戸工場で、第18回目となる「手づくりレッツノート工房2018」が開催された。

 新神戸駅から神戸市営地下鉄西神・山手線で33分。その終点となる西神中央は、西神インダストリアルパークと名付けられた日本初の職住近接型の産業団地地域だ。駅を挟んで南西部に住宅地、北東部に、神戸製鋼、川崎重工、コニカミノルタ、グリコなど、多くの工場が立ち並ぶ工業地帯が設けられ、パナソニックもその一画に5万7000㎡の生産拠点を構えている。

 敷地内は、レッツノートやタフブックを生産するモバイルソリューションズ事業部棟と、主としてIHクッキングヒーターを生産するキッチンアプライアンス事業部棟に分かれ、「手づくりレッツノート工房」は、今年で16年目を迎えるモバイルソリューションズ事業部の夏の恒例イベントとして定着している。

 猛暑が続く2018年の夏。この日の神戸も快晴で、イベントのはじまる午前9時前の時点ですでに外気温は30度、正午を回るころには34度に。しかし神戸の夏に東京のような蒸し暑さはなく、純粋に夏の暑さを感じられる気温。

 西神中央駅から工場へと向かうタクシー車中、「神戸も暑いけど京都に比べればだいぶマシ」と笑う運転手さんに聞いたところによると、西神地区の工業地帯が分譲開始されたのが1982年のこと。パナソニックがこの地に国内の生産拠点を構えたのが1990年で、今年で28年目を迎える。

 手づくりレッツノート工房は、参加者50名限定の完全予約制イベント。今年も200名近い応募者の中から、厳選な抽選の結果当選した50人とその家族が参加した。というのも、手づくりレッツノート工房には対象年齢が設けられていて、小学4年生から高校3年生(9歳以上18歳以下)の子供たちしか参加できないのだ。というわけで、今回は組み立てに挑戦する子供たちと同伴者の親御さんや兄弟、北は宮城県から南は鹿児島県まで50組の家族が参加。男女比率は男の子30人、女の子20人。11歳が最も多く12名が参加。今回は、その中から2組の参加者にスポットを当て、このイベントの魅力に迫ってみたい。

 お父さんと一緒に大阪からやってきた西田拓洋くんは小学5年生の11歳。普段はやんちゃ坊主(お父さん談)だという拓洋くん、組み立て開始前からサポートに付いてくれた先生に元気よく質問をぶつけるなどやる気満々。お父さんは仕事柄PCには明るく、以前から参加したいと思っていたが、拓洋くんがまだ小さく参加資格がなかった。お父さんの職場でも話題のイベントで、毎年同僚に応募者がいるがなかなか当たらないとのこと。今年はじめて応募して参加することができ、自慢できると満足そう。

 一方、高橋望都さんは高校2年生の16歳。こちらのご家族はなんとお母さんがレッツノートの大ファン。望都さんが中学生になったころからお母さんが参加申し込みをして、5年目の今年、ようやく念願叶っての参加となった。

 ちなみに、今回の参加者の内訳をみると、初応募で当選という方が23名。最多応募回数は12回目(!)でようやく当選という方も。レッツノート工房は、毎年、抽選倍率4~5倍という人気企画なのだ。抽選に外れると残念賞として特製の付箋メモが送られてくるそうで、高橋家では常備品になっていたのだとか(笑)。

 そんなレッツノート工房で、今回組み立てを行うのは、この春発売になった新シリーズ「レッツノート SV7」。第8世代のインテルコアiプロセッサーを搭載した最新の12インチモバイルノートだ。

 実際の組み立て作業は34もの工程に分かれ、トップケースへのLCDの取り付けから始まり、カメラケーブル、アンテナケーブルの配線接続、DCジャック、スピーカー、ドライブ、サブ基板、WWAN基板など、メインボード以外の部品はすべて自分の手で取り付けを行うため、なかなか繊細でハードな作業だ。

 作業は手順に沿って全員で1ステップずつ進めていくのだが、作業が早く進められる年長の子供たちは、年少の子供たちの作業が終わるまで進行を待つことになるので、その間に補助についているサポーターの先生と談話を楽しむ機会が得られる。その間だけ少し笑顔が見られるが、作業中はどの子の表情も真剣そのもの。

 作業中は子供たちも集中が必要なので取材はNG。というわけで、ここでは同様にこの組み立て作業を体験させてもらった編集部・八尋のレポートでその感想を振り返ってみよう。

編集部・八尋のレッツノート工房

手づくりレッツノート工房2018に参加させてもらいました

 今回、手づくりレッツノート工房2018(以下、レッツノート工房)に特別に参加させてもらった、ASCII編集部の八尋と申します。対象年齢は小学4年生から高校3年生までですが、私は28歳。ずいぶんと歳の離れた子供たちに混ざって体験するため、絶対に失敗できないなという緊張感の中、挑戦させてもらいました。

机にかけてあった説明書には、アスキーさんと書かれていました。これでは失敗できません

 正直、普段から自作パソコンには触れているため、デスクトップの内部構造であればある程度はどうなっているのかはわかるのですが、ノートパソコンを組み立てるというのは初めての体験。いざ組み立てを開始するために台の前まで行くと、組み立て前のレッツノートと、ネジなどが入ったボックス、ドライバー、膨大なページ数の説明書が置いてありました。レッツノート工房に行く前、編集部で以前私と同じように体験したことがある宮野に「組み立て前ってどれくらいバラバラなんですか?」と聞いたところ、「思ったよりバラバラだよ」と答えが返ってきたため、かなりビビっていましたが、マザーボードやCPU、メモリーなどの主要パーツは、すでに組み込まれた状態だったので、ホッとしました。

レッツノートの組み立てに必要なパーツや工具一式
ネジなどの細かいパーツは、使う順番のとおりに並んでいました
説明書。最初はその厚さに驚きましたが、厚さの理由は、1枚1枚わかりやすく工程が書かれているからでした

 組み立ては、工場のスタッフが先生として各1名ついてくれて、丁寧に工程を解説してくれます。組みあがったレッツノートはそのまま持ち帰って使用できるため、使用中に筐体に不具合が起きないよう、ネジを絞めた後などは先生がしっかり締っているかをチェックしてくれます。

子供たちに混ざった28歳にも丁寧に解説してくれた高橋先生。感謝です
説明書をみながら、順番どおりに組み立てていきます

 基本、組み立ての順番がしっかりと決まっており、ネジやパーツが入った箱に貼られた番号に合わせて使用するため、どこが終わっているかなどがわからなくなるといったトラブルは起きなかったです。わからないことはそばにいる先生に聞けばなんでも答えてくれるので、安心して作業できました。

 難しかったのは、コードの配線。デスクトップと比べてノートの筐体はコンパクトなため、コードを決められた場所にちゃんと通しておかないと後の組み立てに支障が出ます。自作パソコンとくらべて、筐体内の密度が高いため、自由度は低めですが、ボディーの内側などのデザインは、しっかりと考え抜かれてつくられたものなんだなと感じました。

レッツノートは薄型軽量なモバイルマシンなので、細かい作業も多く、苦戦しました
コードが筐体の外に飛び出さないようにするのも一苦労

 また、感心したのはネジやパーツが外れることを防ぐシールです。レッツノートは、軽量なモバイルノートのため、外に持ち運んでの用途が想定されます。だからこそ、持ち運んでいるときの衝撃でパーツが外れたりしないように、シールでがっちりと固定しているのだと思います。このシール、もともとは細分化されており、普段の製造工程でも時間のかかる作業だったとのこと。そこから改良を重ね、なるべく少ない枚数でこなせるようにシールを大きくすることで、作業への負担を減らしつつより強く固定できるようになったそうです。パーツや筐体デザインだけでなく、普通にパソコンを使っているだけでは見えないところにも、様々な工夫・改良があるのだなと思いました。

パーツやネジが外れることを防ぐ半透明のシールを貼っていきます

 開始直後はとてつもなく不安でしたが、先生の説明のもと意外にサクサク組み立てることができました。組みあがったレッツノートを起動し、問題なく動いてくれたときは、(ASCII編集部員として恥をかかなくて)よかったと安心しました。

最後のネジ締め。この工程が終わったらいよいよ起動してしっかり動くかを検証するため、かなりドキドキしていました
起動!
完成! ちなみにこの天板は、レッツノート工房限定

 自分で組み立てたパソコンを普段の生活で使うというのは、自作パソコンにも共通することで、今回レッツノートが組み終わったとき、初めて自作してBIOSが起動したときのことを思い出しました。自作では、量販店やウェブサイトで購入したパソコンが届いたときとは違ううれしさがあります。レッツノート工房に参加した子供たちも、自分で組み立てたレッツノートに同じ感情を抱いているのではないかと勝手に思っています。

 今回組み立てたレッツノートは、人生のなかでも思い入れの深いマシンの1台になるはず。子供の一生の思い出をつくってあげたい、今後の生活を豊かにするパソコンを買ってあげようかなと思っている人は、次の機会があれば検討してみてはいかがでしょうか。

同時開催の手づくり乾電池教室

 このパソコン組み立て教室と同時進行で、別会場では手づくり乾電池教室というイベントも行われていた。先述したとおり、レッツノート工房は抽選参加なので、兄弟で参加申し込みをしても、お兄ちゃんは参加できて、弟は参加できないといったことも起こる。また、まだ小さくてパソコン組み立てには挑戦できない小さな兄弟がいる家庭もある。そんな家族のために、パソコン組み立てに挑戦している兄弟を待つ間、別の楽しみをと設けられたのが手づくり乾電池教室だ。

 手づくり乾電池教室は、専用キットを使って、乾電池の仕組みを学びながら実際にマンガン乾電池を組み立てていく。実はこのイベント、普段はモバイルソリューションズ事業部ではなく、エナジーデバイス事業部が主催しているもので、レッツノート工房のあるこの日だけ2つの事業部がコラボレーションして開催している。教室では、パソコン組み立てに挑戦している子供たちより、さらに小さな子供が真剣な表情で電池を組み立てていた。

組み立て完了、マイ・レッツノート起動!

 さて、そんなこんなでパソコン組み立て教室のほうもすべての組み立て工程が終了し、最後は起動チェック。自分で取り付けたドライブにはあらかじめチェックOSが組み込まれており、全員で一斉に電源を入れ、このチェックOSが起動すれば成功だ。

「それでは電源スイッチを入れてください!」

 緊張の一瞬のあと、会場のすべての子供たちから、わっ!と歓声が上がる。全員無事に起動したようだ。

 拓洋くんは、組み立て作業が小さい頃につくったプラモデルのようで面白かったと嬉しそうに話してくれた。サポートしてくれる先生の説明が丁寧で作業が難しいと感じることはなかったけれど、ネジが多くてどこにどのネジを留めたらいいのか迷ってしまったのが唯一引っかかったところ。お父さんも、息子の年齢で本当にノートPCの組み立てなどできるのかと心配だったが、無事起動してホッとした表情。

 普段からゲーム機でゲームをするのが大好きだが、まだ自分のパソコンは持っていない拓洋くん。これが彼のファーストPCになる。

 望都さんは、「(組み立ては)難しかった。細かい作業で手先が器用じゃないとできないなと思った」との感想。彼女はすでに1台PCを持っているが、もう古くなっていたので新調できたのがうれしいとニッコリ。それを聞いたレッツノートファンのお母さん、仕事で使っている自分のレッツノートよりも娘が作った最新のレッツノートがうらやましい!私が奪いたいくらい!と言って笑い合う。

 今回自作したレッツノートは、パナソニックストアで購入できるカスタマイズレッツノート同様、天板を自分で選べる。望都さんが選んだのはディープネイビー。ボディーのシルバーと天板の爽やかなブルーのコントラストがカッコイイ1台に仕上がった。

 一方、拓洋くんが選んだのは、この日のために特別に用意された、神戸の夜景をモチーフに7色にカラーリングされたオリジナル天板の中から、ブルーバージョンをチョイス。この天板は、今年のレッツノート工房に参加しないとゲットできない超レアもの。文字通り、世界でたった1台のレッツノートを手に入れることになった。

新たなコーナーも新設された工場見学ツアー

 パソコン組み立て教室のあと、昼食を挟んで午後は工場内の見学ツアー。年齢ごとに8チームに分かれてコースが設定されている。取材班は、ここでも先の拓洋くん一家と同じ組に同行させてもらった。

 このツアーの内容も盛りだくさんで、取材班の組では、まず高温・低温、防水、落下などの耐久テスト。

 続いて、パナソニック神戸工場の特徴の最たるものである工場内に設けられたコールセンターと修理受付を見学。顧客の故障、修理依頼を工場でダイレクトに受けることで、ユーザーの生の声を生産スタッフが直に感じ取れる仕組みだ。

 次に基板への回路実装。こちらはオートメーションで高速に動くアームが、忙しなく基板に細かな部品を配置し実装していく様子を見学。

 KBD・ビス締め体験では、プリントと実際のキーボードを見比べ配列の間違い探しを行ったあと、それを画像検査機で瞬時に発見するというデモに続いて、釣り下がった電動ドライバーを使い、実際のビス締め体験を行うなど、工場内での実作業を体験。

 レゴを使った試行テストでは、いかに早く指定された形のレゴを組み上げるかを競争し、作業効率化の基礎を学ぶ。

 タッチアンドトライコーナーでは、「SMILE FACTORY」というオリジナルのゲームを使い、チーム対抗で協力して勝つ!というチームワーク体験。

 ショウルームを見学するころには、元気な子供たちもさすがにちょっとお疲れの様子(おじさん記者はなおのこと)。

 しかし!最後の最後に、玄関先にタフブックが搭載されたアメリカン・ポリスカーの実車が登場し、子供たちもおじさん記者も再びテンションMAX!広い広い工場見学ツアーも、大盛り上がりで終了した。

 そうして全員が食堂に戻ると、自分でつくったレッツノートの梱包作業。自作した自分だけのレッツノートを大事に持ち帰る準備を整えて、2018年のレッツノート工房も無事終了となった。

レッツノート工房は工場で働く人々のためのイベントでもある

 レッツノート工房は、神戸工場で働く作業員の方たちが自ら提案してはじまり、以来、現場スタッフの手で実施している、ボトムアップ主導のイベントだという。1年に1度だけあるこの日、役職者はすべて裏方にまわり、イベント内容の企画立案から実施まで、すべて現場の作業員の手で運営されている。

 レッツノート工房では、毎年工場内のスタッフの中から工房長が選ばれる。2018年、初めて工房長を任されたのは中西さん。今年のレッツノート工房は100点満点の出来だったと振り返る。裏では小さなトラブルがなかったわけではないけれど、それすらもスムーズに解決できるスタッフの協力があり、要望の多かった工場見学の充実に新たな試みを入れ、とても充実した内容に仕上げることができた。次期工房長には、ぜひ組み立て教室で組み立てるレッツノートにも、パナソニックストアでできるようなスペックのカスタマイズ要素を盛り込んでほしいと来年以降の豊富も語ってくれた。

 レッツノートにはかなり熱烈なファンが多くおり、毎年、このイベントへの応募の際に、レッツノートへの愛を熱く語る手紙が添えられてくるそうだ。そんな手紙を見ると、抽選で外れてしまって申し訳ない気持ちにもなるが、それが励みになり、刺激になり、より良いものづくりへの情熱になるとのこと。

 レッツノート工房は、多くのレッツノートファンのためのイベントであると同時に、パナソニックでものづくりをする工場の人々のためのイベントでもある。大好きなレッツノートの生まれるところを見てみたいというファンと、自分たちがつくったレッツノートを使ってくれている人の声を聞きたい、使ってくれている人が喜んでいるかどうか知りたい、という工場で働く人々が、1年に1度だけ会うことのできる場なのだ。

 ユーザーの声を聞く。それが、今も変わらないパナソニックの基本姿勢──来場者を工場の門までの花道で手を振りながら見送る大勢のスタッフを眺めながら、そんなことを再認識させられたイベントだった。

 今年のレッツノート工房の成功を機に、ここパナソニック神戸工場では、自分たちの送り出したものを喜んで使ってくれるユーザーのためのものづくりが続けられていくことだろう。

(提供:パナソニック)

カテゴリートップへ