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インフラ向けに現実世界をモデル化、作業効率化へ

現実を3Dモデル化するイギリス企業、450万ドル調達

2018年08月20日 15時05分更新

文● Mogura VR

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 映像・空間データを用いて現実の世界をモデル化し、効率的なインフラ建設等への活用を進めているイギリスのスタートアップSenSatは、シードラウンドで450万ドル(約5億円)の資金調達を行った。今回調達した資金で技術開発を進め、サンフランシスコのオフィスへ投資を行うとしている。

現実の世界をデジタルデータへ変換

 SenSatは2017年創業。複雑な映像・空間データを”リアルタイムにモデル化された現実世界”と言うべきデジタルデータに変換し、コンピューター(AI)を使った現実世界の問題の解決を可能とするソリューションを開発している。

 この手法は、たとえばインフラ構築を手がける企業で活用できる。企業はモデル化されたデータとAIを用いて、多くの選択肢から最良のものを、より容易に選択することができるようになる。

 使用するデータは、コンピューターで処理可能なもので、現実の世界を正確にモデル化したものでなければならない。衛星画像をも凌ぐ精度が求められるため、SenSatの技術が生かされる。同社CEOのJames Dean氏は、「もし現在衛星で撮影している画像を、ドローンを使ってさらに200マイル近くから捕らえられれば、解像度が向上し、商業的にも価値が出てきます」と話している。

 SenSatはオープンソースのデータ、及び自社独自のデータを用いて、高い精度で現実の世界のデジタル複製を制作している。Dean氏によると、現実の世界を詳細に再現するこの技術により、コンピューターが「物事がどのような仕組みで動いているか理解し、我々の判断の方法を変える」ことが可能とのことだ。

ターゲットはインフラ分野、その理由は

 同社がまずターゲットとするユーザーはインフラ分野ですが、それには理由がある。これをDean氏は次のように説明している。「(インフラの)建設は経済活動の基盤でありながら、今で2番目にイノベーションが遅れています(インフラより遅れているのは狩猟だけです)。1970年以降生産性の伸びはゼロ%。言い換えると、自動化による改善の余地が非常に多く残されているということです」

 また大型の公共インフラに関して言えば、設計段階で発生する時間とコストが、総資産価値の40%を占めるとのこと。SenSatが現実の世界をデジタルデータに再現することで、このプロセスにAIを活用可能となり、多くの設計工程を自動化できる。具体例として、Dean氏は新しい鉄道路線の建設を挙げた。建設の条件として、線路の傾斜角は5度まで、信号機を100メートルごとに設置し、レールは1.4メートル間隔で敷設しなければならないケース。これまでには、エンジニアが何ヶ月もかけて入念に現地を計測し、仮説と検証を行い、工程を進めていた。

 しかしSenSatのデータとAI技術を用いれば、何千もの選択肢を数分で検証することが可能となる。多くの選択肢から最良のものを選択できるだけでなく、何百万ドルもコスト削減が達成されるだろう。

自動運転車への活用も

 同社はこの技術を、インフラ建設以外の分野にも拡大しようとしている。その1つとして、自動運転車のシミュレーションがある。Dean氏は、「我々の現実の復元データを使えば、何百万時間ものドライビングシミュレーションを実行し、安全なユースケースを確認できます。これは自動運転車に関する規制策定などにとって、非常に有用です」と語った。

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