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石川温のPCスマホニュース解説 第8回

効果は限定的、総務省と公取委の指導にも一貫性がない:

「2年縛り」見直しは問題の解決になっていない

2018年08月20日 09時00分更新

文● 石川温

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■この程度の見直しで競争環境は作れない

 総務省としては、2年縛りを抜本的に見直して解約しやすくすることで、3キャリア間や格安スマホとの料金競争を促進させるつもりなのだろうが、この程度では今とあまり変わらないことになりそうだ。

 アメリカではT-Mobileみずから2年縛りをやめるなど、キャリア自身が競争環境を作り、ユーザーを一気に獲得して盛り上がりを見せている。一方、日本のキャリアは保守的というか、ユーザーをできるだけ囲い込むことしかやろうとしない。

 実際、KDDIの高橋誠社長は「総務省や公取委は何らかの影響があると思うから、我々に指導をしているのだと思う。まったく影響がないということはないのではないか。ただ、一定量の影響は出るかもしれないが、それが天地がひっくり返るほどのドラスティックなことにはならないだろう」と見る。

 総務省やメディアが騒いだものの、キャリアを契約するユーザーが大量に格安スマホに流出することはなさそうだ。本当に競争環境を作りたいなら「2年契約を終えたら、あとは自由に解約できる」くらいの指導をする必要があるだろう。

 それくらいの指導ができないのであれば、そもそも総務省は3キャリアに口出しする意味はない。

 世間的に「4年縛り」といわれるが、実際は4年間に渡る割賦販売のことを指す。現在はKDDIとソフトバンクが提供しているが、これに対して公取委からメスが入った。公取委としては、4年間の割賦を問題視しているというよりも、2年間の支払いを終えた後に新しい端末に機種変更ができるものの、その際、同じプログラムを契約しなければいけないという点を「よろしくない」としている。4年どころか半永久縛りなプログラムになっているのが、けしからんというわけだ。

 これに対し、KDDIもソフトバンクも、更新時に、同じプログラムを強制的に再加入させないように改善する予定だ。しかし、ソフトバンクは、このプログラムに対して指導が入ったことに納得がいっていない雰囲気があった。

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