アプリの「抜け穴」はふさげていない:
アップルのiPhoneプライバシー問題対策は不十分
2018年08月21日 09時00分更新
アップルはコントロールできない
アップルの議会委員会に対する返答は、確かに納得のいくものだったかもしれません。しかしながら、アップルが我々ユーザーを積極的に守ってくれるかと聞かれれば、答えには窮することになります。
アップルも、ユーザーがアプリに対して与えた許可を、確認したり、覆す機能は持ち合わせていないためです。
たとえば、Cambridge AnalyticaのFacebookアプリは、ユーザーが普段詳しく確認せずOKしてアプリを使おうとする行動の裏をかき、友人のリストを含むプライバシー情報の使用を許可させたことで、7800万人ものデータが流れ出る結果を招きました。
一度ユーザーがアプリに対して許可を与えたとしても、何らかデータが流れ続けるような状況を察知したら、ユーザーがふたたび、それが正常なのか、不正なのかを判断するチャンスを与える必要があります。
たしかにこのような設計はユーザビリティに大きく影響します。アップルもアプリ開発者も嫌がることかもしれません。しかし、なんらかのアクティビティが発生したとき、ユーザーが事態を察知できなければ、これまでとなんら変わらず、「何の気なしに与えた許可でずっとデータを流用され続ける」事態を防げないのです。
その点では、アップルとて、まだまだ対策への踏み込みが足りていない、と指摘せざるをえません。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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