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米ホームセンターが取り組むVR、触覚も使った工具試用やリフォーム体験

2018年08月17日 14時00分更新

文● HTC公式ブログ/Mogura VR

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(※本記事は、2018年6月18日にHTC社公式ブログに掲載されたMatthew Gepp氏の記事を翻訳したものです)

 Lowe’s(ロウズ)は米国のホームセンターチェーン。そのような企業がARやVRを取り入れているというと意外に思われるかもしれません。しかし、同社は2014年から社内の「Lowe’s Innovation Labs」部門に専門チームを設置して開発に取り組んでおり、Fast Companyに「AR/VR分野で最もイノベーティブな企業」として名前を挙げられたほどです。

 Lowe’sは顧客や販売員に直接役立つAR/VR体験作りを進めており、その最新の成果が「Holoroom Test Drive」です。これは映像と音声に加えてハプティック(触覚)技術を使い、リアルな触覚も伝えることができる完全没入型のエクスペリエンスで、顧客が電動工具をVR空間の中で安全に試せるようにします。

 今回はVRを顧客の問題解決に活用することについて、Lowe’s Innovation Labsのプロデューサー、Olivia Myers氏にお話を伺いました。

――VRのエンタープライズ活用に取り組みはじめた理由は何だったのですか?

 「VR技術を使えば、お客様が商品を購入前にオンラインや実店舗で手軽に試用できるのでは」と気づいたからです。住まいのリフォーム計画が「施工後どうなるかイメージできなくて不安」という理由で棚上げになってしまうケースは多く、推定では総額700億ドル分にも及ぶといわれます。私たちはこの問題をVRで解決することで、お客様が自信をもってリフォームに取りかかれるようにしたいと考えました。

――Lowe’s Innovation LabsではどのようなAR/VR体験を開発しているのですか?

 2014年に、住宅リフォームの施工後イメージをお客様がVRを通じて直感的に没入体験できるHoloroomプラットフォームを開発しました。これを発展させて、お客様や販売員に役立つ様々なエクスペリエンスを作ってきました。視覚化、誘導、研修、そして最近では商品デモにも活用しています。

――それがHoloroom Test Driveですね。

 私たちLowe’s Innovation Labsが開発するものはすべて、人間のニーズに応えることを目的としています。Holoroom Test Driveの場合は、電動工具の実際の使用感がイメージしづらいために購入を迷われるお客様がいらっしゃる現状を受けて、Krayonikというスタートアップと共同開発しました。結果的に、購入前の試用について次世代の体験を作りあげることができたと思います。

 この体験ではお客様にVRのガレージと裏庭へ入っていただき、そこで電動工具の操作を安全かつ実際に近い形で試していただけます。VRの特長である没入感の高さを活かして使用時の感触、音、匂い、見た目を伝えることで、お客様にとってできるだけ有益な判断材料を提供できるようにしました。その甲斐あって先日のAWE(Augmented World Expo)2018ではAuggie AwardのBest Enterprise Solutionに選ばれたことは、大変うれしく思います。

――バーチャルリアリティーの利用を通じて特に達成したいと考えておられたことはありますか?

 私たちはこれまでにお客様のリフォームデザイン、プランニング、商品購入などに役立つエクスペリエンスを開発してきましたが、いずれもお客様に自信をもって決断を下していただくことを目標としています。Holoroom Test Driveの場合は、お客様に新製品をもっと気軽にお試しいただき、商品選びを楽にし、プロならではのアドバイスをお伝えすることを目指しました。

――VRを使った研修は、従来の手段に比べてどうですか?

 以前Lowe’sの従業員たちに私たちのVRトレーニングプラットフォームを体験してもらったところ、自信度が127%向上と、従来の手法を4倍近く上回る成果がありました。こういう数字を見ると、私たちとしてもARやVRの可能性をこれからも追求していこうと励みになります。

――Holoroom Test Driveではカスタマイズしたモーションコントローラーを使用しておられますね。

 電動工具を購入する決め手となる大きな要素は何かと考えてみると、まず挙げられるのは持ったときの感触や扱いやすさです。コントローラーについては初めにいくつかのコンセプトを試してみた後、持ったときに実物そっくりの重さや感触が伝わるようなカスタムメイド品を作ることにしました。そうすればお客様も実際に購入した後のことをイメージしやすくなりますから。

――先ほど匂いに言及されましたが、VR体験に匂いを追加することは顧客にどのようなメリットがあるのでしょう?

 匂いはきわめて強力な感覚で、長い歳月を経た記憶でさえ思い起こさせることができます。Holoroom Test Driveの体験に、切ったばかりのガラスなどの匂いを追加すれば、VRでの経験が記憶に定着しやすくなり、後で実物を使うときに思い出しやすくなるかもしれません。それで現在、検証を進めているところです。他にも多感覚テクノロジーについては色々な実験を行っていて、ここでお話ししたいのは山々なのですが……。

 Lowe’s Innovation Labsについて詳しくはwww.lowesinnovationlabs.com/testdriveをご覧ください。また、Lowe’s Innovation Labsとのパートナーシップについてのお問い合わせ先はlowesinnovationlabs@lowes.comとなります。

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