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スマホ決済の主導権争い激化、店側の手数料は無料化の流れ

2018年08月08日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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ソフトバンク、ヤフー連合は自前の技術を捨て、インドで普及するペイティーエムの技術を採用する Photo:REUTERS/アフロ

 赤字覚悟の手数料「ゼロ円」で、先にシェアを確保する──。QRコード決済の主導権争いが激化している。

「日本のモバイル決済でナンバーワンになる」

 7月27日、ヤフーの川邊健太郎社長は決算会見でこうぶち上げた。ソフトバンクとヤフーが50%ずつ出資し、QRコード決済を担う新会社ペイペイを設立。鍵となる技術はソフトバンク・ビジョン・ファンドの出資先であるインドのペイティーエムのものを使う。

 ヤフーは自前の「ヤフー! ウォレット」でもQRコード決済を開発していたが、「この分野はユーザー体験で決定的な差がつく。先行するペイティーエムのノウハウを活用して勝つ」と川邊社長は力説し、ヤフー側からペイティーエムの技術供与をビジョン・ファンドに提案したことを明かす。

 QRコード決済の利点は、導入する店舗の負担が少ないことだ。電子マネーなどのキャッシュレス決済の場合、専用端末の導入に数十万円掛かることもある。だが、QRコードならば印刷した紙を店頭に掲示するだけで済む。

 中国では、アリババグループの「アリペイ」やテンセントの「ウィーチャットペイ」のQRコードを掲げる露店はありふれた光景だ。ペイティーエムもインドで約800万店に導入されている。

 QRコード決済が普及するためには、とにかくユーザーが使える場所が増えなければ始まらない。そこで、ソフトバンク、ヤフー連合が放った一手は、店舗が負担する手数料を、サービス開始の今秋から3年間無料にすることだ。

 クレジットカード決済などでは、店側は3~5%程度の手数料を取られる場合がある。そこをゼロ円にすることで、中小の店舗を一気に取り込む算段なのだ。

データ活用が収益に

 手数料ゼロ円の口火を切ったのはLINEである。6月の事業戦略説明会で、「日本の90%を占める中小規模の店舗がキャッシュレス化しなければ、キャッシュレス社会は実現しない」(長福久弘・LINEペイ取締役)と強調し、8月から3年間の手数料無料を表明したのだ。

 赤字覚悟の手数料ゼロ円戦略について、LINEの出澤剛社長は、「(決済)データが、広告や金融といった他事業の収益を上げる。手数料でもうけるビジネスモデルは今後少なくなるだろう」と自信を見せ、ヤフーの川邊社長も既存のeコマース事業などの活性化や、決済データを活用した新規事業で収益を上げられると説明する。

 シェアを確保したいプレーヤーの攻めの一手により、QRコード決済の手数料は当面、無料が標準になりそうな勢いだ。

 中小の店舗にとっては朗報だが、QRコードの規格統一を進め、新たな収益源をもくろむメガバンクなどの事業者には厳しい戦いが待っていそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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