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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 ― 第7回

2018年第3四半期決算を読む:

アップル時価総額1兆ドル突破の理由と懸念

2018年08月07日 09時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura

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 米国時間8月2日、アップル株は207ドルを超え、時価総額1兆ドルを初めて達成した米国企業になりました。株式上場は1980年。我々がよく知る米国企業ではスポーツメーカーのナイキと同い年です。しかし今や、ナイキ以上の売上高をサービス部門だけで達成してしまう巨大企業に成長しました。

「正しい米国」へのカウンター

 アップルに対してウォール街はたびたび厳しい言葉を投げかけてきました。スティーブ・ジョブズ氏が復帰する直前、「米国のアイコニックなブランドは死んだ」と言われ、2001年にiPodを出したときは「イノベーションを諦めた」と言われ、2007年にiPhoneを出したときは「ギークしかなびかない」とまで言われました。

 しかしこれらの言葉をはねのけ、スティーブ・ジョブズはiPhoneによる成長路線を築き上げ、2011年にティム・クックが引き継いでからは「正しいことしかしない」戦略で1兆ドルに一番乗りしました。もっとも1兆ドル達成に対しても「ここから下降するしかない」「歩く死体」と指摘するアナリスト……もう、そういうものなのかもしれません。

 ティム・クックCEOは前回の四半期決算で、決算とマーケット、また企業価値に関してこんな話をしていました。なぜ投資家は企業の長期的な成長ビジョンを求めるのに3ヵ月ごとの決算に貴重な時間を割かせ、一喜一憂するのかというのです。時価総額1兆ドル達成は通過点とも思っていないかもしれません。

 しかし「カリフォルニア」の「テクノロジー」企業が初の1兆ドルを達成した点は、米国の中で意味があると見ることもできます。アップルに対するウォール街からの言葉を見て分かるとおり、カリフォルニア企業やテクノロジー企業を低く見たい東海岸の意識が見え隠れします。

 西海岸はカウンターカルチャーの土地であり、新しいこと、縛られないこと、反骨精神を求めて人が集まりました。何も背負っていないことからリスクテイクをいとわず、理想を追求することこそがカリフォルニアでした。

 トランプ政権やその支持者たちがカリフォルニアやシリコンバレーがやってきたことと逆行する考え方を持っているのも、正しい米国の姿というイメージがあります。オバマ時代が珍しかっただけです。

 そんなアップルが1兆ドルを達成したことは、最高のカウンターと見るべきではないでしょうか。

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