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脳性まひやALS患者向けの治療に効果

医療におけるVR活用進む

2018年08月03日 11時25分更新

文● Mogura VR

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 イギリスの医療支援団体Sue RyderはVRセラピーのトライアルをしている。初めはスコットランド・アバディーン市の神経疾患ケアセンターの患者が対象で、その後は全英での実用化を計画しているという。トライアルの結果は良好で、VRを用いたケアが広く普及することが期待されている。

 神経疾患ケアセンターは、脳に関する疾患である脳性まひや多発性硬化症、そしてALS(筋萎縮性側索硬化症)などの運動ニューロン病を抱える人々をサポートするための施設。VRセラピーでは、患者がVRでビーチに行ったり、スカイダイビングやスキューバダイビングをしたり、といったユニークな体験ができる内容となっている。

 ある65歳の体験者はイギリス国営放送BBCの取材に対し、VR体験は「素晴らしかった」「車椅子の自分ではいけない場所に連れて行ってくれた。波が足に押し寄せてくるのはとても気持ちが良く、足で波を蹴りたくなるくらいだった」と話している。

 トライアルでは何人もの体験者が満足したことを示し、良好な結果を収めている。VRコンテンツは今後、Sue Ryderのネットワークを活用し、全英の神経疾患ケアセンターへと広げる予定とのこと。施設のセラピストもまた、VRセラピーによって患者の血圧が低下したり、痛みが減ったりという劇的な効果を感じているという。結果として体験者は動揺することが減り、落ち着いた様子になるという報告もあり、VR体験によるこの効果は数日間継続すると考えられている。

 Sue RyderのLouise Torrance氏は、VRセラピーについて次のように話している。「コンテンツの体験中、患者はリラックスすることができ、75%の患者で血圧が低下したという結果も出ている」「体験者は、どこに行くか自分で選ぶ、という自由を手にできる。これは非常に楽しみで素晴らしいことだ。体験者は自分の体験を施設のほかのメンバーや、家族にも話すだろう。実際に広く使われるようになれば、とても大きい効果をもたらすはずだ」と続けた。

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