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石川温のPCスマホニュース解説 第5回

ライバル2社に対抗する全方位戦略:

グーグルの戦略に焦りが見えたワケ

2018年07月30日 09時00分更新

文● 石川温

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■クラウドとエッジの両側から攻める

 グーグル・クラウド・ジャパンの大藪勇輝マシンラーニングスペシャリストは「Edge TPUはモバイル用途での需要が期待できそう。将来的に4Gから5Gネットワークに移行するが、セルラーネットワークにデータを送ることで、反応が低遅延になってしまう。ここがもったいないので、すぐにデバイスに処理を返したいというニーズにマッチする」と語る。

 IoT機器側のセンサーなどで受け取った情報を、ネットワークに上げた後、クラウドで処理して、そのデータをさらにダウンロードするというやり方ではどうしてもネットワーク上を流れるために「遅延」が発生してしまう。その遅延がもったいないため、IoT機器側で処理できるものは処理してしまおうというのを「エッジコンピューティング」と呼んでいる。

 将来的には自動車の遠隔運転などをする場合には、わずかの遅延が事故の原因になりかねない。そこで自動車にセンサーやカメラを載せ、高速に処理したいものは自動車に近い基地局などで対処し、それ以外の情報のやりとりは4Gや5Gネットワークを経由してクラウドで処理するというやり方が検討されている。こうした動くものに対しての処理を「モバイルエッジコンピューティング(MEC)」という。

 大藪氏は「4Kで撮影された映像などはカメラからネットワークに転送するが、処理はエッジ側で行なってしまい、推論は小さいサイズにして返してあげられるようになる。結果、ユーザーエクスペリエンスが上がることが期待できる」という。

 グーグルといえばクラウドの会社というイメージが強く「Google Cloud Next」もクラウドを中心としたイベントのように見えた。

 しかし今年感じたのは、グーグルは全方位的に攻めていくという気合だ。

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