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動画編集PCの理想を求めて! ラッキー橋本がサイコムへ1日体験入社

2018年07月21日 11時00分更新

文● 宮里圭介 編集●ジサトラカクッチ

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 アスキー編集部には業務内容によって複数の班に分かれているが、ラッキー橋本が所属しているのは映像班。その彼が、最近悩んでいることがあるという。休憩中の雑談がてら、ジサトラボスのカクッチがそれとなく話を聞いたところ、どうやら使っているPCに不満があるようだ。

 「動画編集に使ってるんですが、ストレージもメモリーもギリギリなんです。おかげでプレビューすらガタガタしていて、テロップ入れるタイミングの確認も難しくて……。なんとかなりませんかねえ」

 現在、ラッキー橋本が使っているのはゲーミングノート。Core i7-6700HQ、GeForce GTX 960M、16GBメモリー、128GB SSD、500GB HDDといったもので、旧型とはいえ悪くないスペックだ。しかし、巨大なファイルを複数開いたまま作業する動画編集には荷が重いのも確か。実際、作業中の様子がどんな感じなのかを見せてもらったが、ボヤいていた通り、プレビューすら滑らかな再生は厳しい状況だった。当然ながら最終的な動画の書き出しも重たく、一旦始めてしまうと他のことは何もできなくなってしまうほどだ。

 ストレージがギリギリだというのでエクスプローラーから空き容量を確認してみると、SSD、HDDの両方とも真っ赤。ソフトのキャッシュを減らしたり、不要なファイルの移動や削除を徹底すれば少しは空き容量が増え、多少動作もマシになるだろう。しかしいくら小手先で頑張ってみても一時しのぎに過ぎず、すぐに埋まってしまうのは火を見るよりも明らかだ。誰が見ても、根本的に容量が足りていない。

ファイルの整理をすれば多少は空き容量も確保できるが、それにも限界が。何より、日々増え続けるファイルを完璧に管理するのは難しい。

「そうそう、新しいPCが手に入るかもしれない“いい話”があるんだけど。どうかな?」

 後日、カクッチからこう話しかけられたラッキー橋本は少し悩んだ。高性能PCが手に入れば編集作業が快適になり、仕事が楽になるのは間違いない。それが、明らかに何か企んでいる顔をしたカクッチからの提案だとしても、その代償に無理難題を求められるとしても、ラッキー橋本には断るという選択肢はなかったのだ。

“いい話”といいつつも、何やら裏がありそうな雰囲気。ただし、その見返りも十分ありそうだ。

 ここで、ラッキー橋本について知らない人のため、少し彼について紹介しておこう。普段着はアロハ+パンツ+サンダルという、いかにも鉄砲玉チンピラ風な見た目をしているのだが、実は大変真面目。一時期はジサトラ見習いとなっていたこともあり、その時に自作のイロハをイッペイに叩き込まれたという経歴の持ち主だ。(ただし、その自作のイロハはあまり覚えていないようで、後日イッペイに怒られている)

久々に自作をしてみたところ、あまりに手順を覚えておらず、イッペイにこっぴどく叱られたのもいい思い出だ。ほんの3ヵ月ほど前のできごとだが。ちなみにこの様子は、ひそかにパワハラ自作と呼ばれていた。

 さて、そんなラッキー橋本にカクッチからもたらされた“いい話”というのが、実はこの自作PCに近いものだ。といってもパーツを買ってきて組み立てるというのではなく、BTOパソコンメーカーのサイコムへと潜入し、1日体験入社という形で自分で注文したPCを組み立ててくるというもの。ちょうど、注文を受けたPCをサイコムがどうやって組み立てているのかを読者に紹介する、という企画が進んでいたこともあり、これの人員として参加しないか、という誘いの話だったのだ。もちろん組み立てたPCは、ラッキー橋本が使えるという約束付きだ。

 ただし、これには裏に隠された任務がある。それが「サイコムの組み立てノウハウを盗んでくる」というもの。一般的な自作であればジサトラのメンバーもかなりの知識と技術を持っているのだが、1日に何十台、何百台と組み立てるBTOパソコンメーカーのテクニックが気にならないといえばウソになる。というか、気になる。ラッキー橋本が1日体験という大義名分のもと、サイコムのノウハウを吸収してくれば、ジサトラの今後のためにも何かとプラスになるだろう。

 などという皮算用がカクッチにあったかどうかは定かではないが、こうしてラッキー橋本はサイコムまで行くことが決まったわけだ。

1日体験入社でサイコム製PCの組み立てに挑戦
ラッキー橋本、埼玉県八潮市の地に立つ

 7月某日。草加駅で集まった我々が目にしたのは、1度も見たことがないスーツ姿のラッキー橋本だった。話を聞くと、「仕事相手のところに行くなら、ちゃんとしたカッコしなさい」と映像班の上司(のすD)にクギを刺されたとのこと。その言葉に素直に従ってスーツを着て来るあたり、真面目な好青年だ。

せっかくなので、サイコムの前で記念撮影。虎マスクにスーツという、少々シュールな姿だが、スグに慣れた。

 サイコムに到着すると、まずは挨拶から。1日体験入社ということで、サイコム河野社長からラッキー橋本へと、作業用の上着が手渡された。この上着は静電気防止仕様となっているだけでなく、スマホを入れても落ちづらいようにポケットが深めになっていたり、ペンなどを袖にさしておけるといったように、PCの組み立てに最適なものとなっている。

この後工場内で実際に組み立てをするため、正規の作業服を貸してもらえることに。両手で受け取るラッキー橋本。このあたりも真面目。
さっそく袖を通して着てみるラッキー橋本。背筋がピンと伸びていて、この姿だけを見ると普段のチンピラ姿がウソのようだ。
両手でしっかりと握手をする河野社長とラッキー橋本。このあと、場所を移していよいよ実務の開始だ。

 実際の組み立ての前に、まずはPCのスペックを決める必要がある。事前に欲しいスペックから構成を考えてきてはいたのだが、どうしてそのスペックがいいのか、なんでそのパーツを選んだのかという細かなチェックが、サイコムのプロダクトマネージャー、山田氏から入った。

 メイン用途が動画編集となること、仕事用だけれどゲームも動かしてみたいということ、そして、いかに今の環境が厳しいのかを力説したところ、中途半端な構成では満足できないだろうということで、勧められたのがクリエイターモデルとなる「Lepton WS3600X299」だ。

スペックをひとつずつチェックしてくれた山田氏。単なる提案ではなく、そこを変えるとどういった効果が見込めるのかといったことまで丁寧に説明してくれた。背後から、少し心配そうに新入社員を見守る河野社長の姿が印象的だ。

 「動画編集となると、CPUの性能は高ければ高いほどいいよね。6コアのCore i7-7800Xで構成を作ってきてるけど、これだとXシリーズのメリットが少ないから、思い切って10コアのCore i9-7900Xにしましょう」

 「メモリーが16GB×2本となってるけど、このCPUはクアッドチャンネルなので、これをフルに活用できる8GB×4本で」

 「SSDは単体で1TB用意しても、作業時にフルに使うことは少ないと思う。SSDは500GBクラスに落とすかわりに高速なNVMe対応にして、そのぶんデータ用にHDDを追加するのはどうかな」

 「グラボは……そこまでの性能はいらないと思うけど、この構成なら妥協する意味がないからGeForce GTX 1080 Tiいっちゃいましょう。7月末までボーナスキャンペーンで5000円引きだしね」

 「動画データは大きくなりがちだから、データの受け渡し用にHDDのホットスワップ用ケースも付けましょう」

 こういったアドバイスによって完成したのが、以下の構成だ。

Lepton WS3600X299
CPU Core i9-7900X(10コア、定格3.3GHz、最大4.3GHz)
CPUクーラー サイコムオリジナル Asetek 550LC + Enermax UCTB12P(簡易水冷)
マザーボード ASUS「TUF X299 Mark2」(Intel X299)
メモリー 32GB(8GB×4、DDR4-2666)
グラフィックス MSI「GeForce GTX1080Ti ARMOR 11G OC」
SSD Western Digital「WD Black WDS500G2X0C」(M.2 PCIe 500GB)
HDD 東芝「DT01ACA100」(1TB、7200rpm)
光学ドライブ ASUS「DRW-24D5MT+」
PCケース Corsair「Carbide 330R Silent」
電源ユニット Fractal Design「Edison M 750W 」(750W、80PLUS GOLD、Seasonic製OEM)
OS Windows10 Home (64bit) DSP版

 合計金額は44万1570円。スペックを妥協することなく選んだだけに金額もすごいことになっているが、10コア20スレッドのCore i9-7900Xマシンとなれば当然ともいえる。さて、スペックが決まれば、次は組み立てだ。「では、組み立て作業場の方に移動しましょうか」という声に、隠された任務があるラッキー橋本の顔が気持ち引き締まる。

 「あの、自作のノウハウを盗んで来いって言われてるので、そのあたりのこと教えてもらってもいいですか?」

 振り返るサイコム山田氏。目をそらすカクッチ。あれ?といった顔をしているラッキー橋本。気まずくなるかなと思いきや、「特別なことはしていないけど、気になった部分があれば先輩社員に色々聞いてもらっていいですよ」と快諾するサイコム山田氏の声で、一安心。どこまでも素直な青年である。

PCの注文書を手に、サイコム流の組み立て方法を学ぶ

 組み立てから出荷までは、大きく5つの行程がある。まずは印刷された組立指示書を手に、「1.必要なパーツを集める」こと。倉庫の棚に並んだ種々雑多なパーツから、必要なものを探し出すのはなかなか大変な作業だ。とくにPCパーツは見た目が同じでわずかにスペックが違うだけ、といったものが多数あるだけに、慣れていない人だとその違いを見分けることすら厳しいものがある。

 PCパーツを集め終わったらいよいよ「2.組み立て」だ。ここは自作PCと同じく技術が必要な部分で、組み立てる人によって内部の様子はだいぶ変化する。とくにケース内部の美しさ、ケーブルの引き回しがきれいなサイコムがどうやっているのか気になるところだ。

 組み立て終われば「3.OSのインストール」となる。この工程と「4.動作確認(エージング)」は項目によって多少手順が前後するが、ざっくりといえば、OSを入れて各種ベンチマークソフトなどを動かし、問題が起きないかを確認する行程だ。

 最後が「5.出荷」。組み立てたPCをダンボールへ納め、お客様の元へと配送すべく宅配業者へと引き渡す行程となる。かなりザックリとした分類だが、ラッキー橋本の1日体験入社で用意されたのは、1~5までの全行程。すなわち、注文から出荷されるまで、そのすべてを自分でやるということだ。

ここからは体験とはいえプロの領域となるためか、ちょっと浮かれ気味なラッキー橋本。この後、苦労することになる。

パーツ集めでいきなり混乱するも先輩社員に助けてもらってなんとかクリア

 作業場へと移動すると、待っていたのは先輩社員の方々。虎マスクをかぶった怪しげな人物が入ってきても、誰もそこには触れない優しさ溢れる人たちだ。本日、ラッキー橋本に指導してくれるのは経験豊富な馬場先輩。パワハラ指導教官のようなイッペイとは違ってとても物腰が柔らかく、優しそうな先輩だ。

「ラッキー橋本です!本日はよろしくお願いします!!」とあいさつすると、先輩たちが優しく迎えてくれた。

 「では、まずはパーツを集めましょうか。指示書を見せてください」

 さっそく、最初の行程となる「1.必要なパーツを集める」の開始だ。パーツは倉庫の棚にジャンルごとに分けてしまわれているので、その中から指示書にあるものをピックアップしていく。指示書を手にさっそくパーツを取りにいく先輩の後をラッキー橋本が追う。

 当然ながら、PCパーツショップのようなわかりやすいポップや製品ラベルはあるわけもなく、整然と棚に積んであるかダンボールに入ったまま、というのがほとんどだ。サイコムはBTOで選べるメニューが豊富ということもあって、驚くほど在庫しているパーツの種類が多い。先輩の指示に従って次々とパーツを集めていくラッキー橋本だが、指示がなければどこに何があるのか分からず、途方に暮れていたことだろう。

マザーボードがしまわれているダンボール群を発見。マザーボードだけでも驚くほど種類があるだけに、必要なものを探すのは大変だ。
パーツを見つけたら手に取るだけでなく、その場で型番を確認。間違いがなければ、指示書にチェックマークを入れて次のパーツを探しにいく。
サイコムオリジナルとなるM.2のSSD用ヒートシンク。高速なNVMe対応SSDを使うのであれば、必須ともいえるパーツだ。
ケースは倉庫の2階から運搬。普段はその日使うぶんをフォークリフトで降ろすのだが、急きょ入ったラッキー橋本のPCのぶんはおろしていないため、手で運ぶことに。これが結構重たい。
すべてのパーツを集め終わったところ。このパーツを使い、いよいよPCを組み立てていく。

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