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ChatWorkが働き方経営研究所の設立で実現したいこと

コミュニケーションは離職低減につながるのか? ChatWorkが識者と共同研究

2018年07月18日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/Team Leaders

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 2018年7月13日、ChatWorkは新たに設立した「働き方経営研究所」についての記者発表会を開催した。第一弾として甲南大学経営学部 尾形真美哉教授と共同で「コミュニケーションは離職低減につなげられるか?」というテーマで研究を進めるという。

「働き方を変える」というビジョンを捉え直す

 記者発表会で登壇したのはChatWork CLO(Chief Learning Officer)で、今回設立が発表された働き方経営研究所の所長を務める田口光氏。組織コンサルティングファームであるLearning Strategy Partners」の代表も務めており、人事システムを中心に組織の成長や文化、リーダーシップ、モチベーションなどを統合的に見てきたという。田口氏は、チャットワークの概況と働き方経営研究所設立の経緯について説明を行なった。

ChatWork CLO(Chief Learning Officer)、働き方経営研究所 所長 田口光氏

 同社のビジネスチャット「チャットワーク」は2018年6月現在、グローバルで18万2000社に導入されている。そんなChatWorkのビジョンは「世界の働き方を変える」で、「時間と場所にとらわれずに、働けるようになる世界」を目指しているという。そのため、まずは自らの会社でユニークな制度を実践してきたが、今回、働き方経営研究所を設立することで働き方についてより深く研究を進め、「経営にポジティブな影響を与える働き方」「働き方に影響を与える要因」を見いだすという。「経営と現場の人たちがWin-Winになれる要素はどこかを探していきたい」と田口氏は語る。

 設立の経緯には、人口減少とともに進む15~64歳の「生産人口の減少」、バブル期の1.46を上回る有効求人倍率を記録する「人手不足」、AIやIoT、ビッグデータ、ロボットなどをベースにした「第四次産業革命」、平均寿命の伸長にともなう「人生100時代」などの背景がある。こうした中、20世紀までとは明らかに異なる働き方が求められるというのが社会的な要請になる。

20世紀までとはあきらかに異なる「働き方」

 一方でChatWorkとしても、「働き方を変える」というビジョンを捉え直す必要が出てきたという。「社会の変化が激しく、そもそも時間と場所だけを変えればよいのか、働くとはなにか、働き方とはなにかなど、基礎研究を進める必要が出てきた」と田口氏は語る。

中途採用者の組織への定着はオンラインコミュニケーション

 これまでChatWorkでは、そもそも「働くとは?」の基礎研究やテレワークの成否要因などを研究してきたが、今年の4月から取り組んできたのは、「人材を組織にいかに定着させるか?」という研究だ。「ここまで有効求人倍率が高いと、辞めるためのエグジットコストはゼロに近い。企業側もなにかあったら、辞められてしまうのでは?と考えることが多い」とのことで、採用とともに企業が頭を悩ます中途採用者の離職とオンラインコミュニケーションに研究テーマを絞った。コミュニケーションがきちんと行なわれていれば、中途採用であっても組織への適応が進みやすく、離職は低減できるのではないかという仮説があるからだ。

 こうした研究を進めるために同社がパートナーとして選んだのが、組織行動論・経営行動論を専門とする甲南大学経営学部 尾形真美哉教授だ。「新卒を対象とした組織適応の研究は多いが、中途採用者の離職に関する研究はほとんどなかった」ということで、若年就業者や中途採用者の組織適応や育成型リーダーの育成などを研究している尾形教授に白羽の矢を立てたという。

尾形教授の「中途採用者の組織適応モデルの提示」で知見である人を見つけ出す

 具体的には組織情報に疎い中途採用者でも、オンラインコミュニケーションを用いることで、人的ネットワークを構築し、パフォーマンスを向上できるといった仮説を設定。対象企業に調査を依頼し、職場、仕事、パーソナリティという促進要因ごとに、オンラインコミュニケーションがどのような成果を個人と職場に与えるかを調べるという。今年後半には分析、フィードバック、考察などをフェーズを経て、来年度末までに論文としてまとめる予定となっている。

今回の研究モデル

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