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軽いと評判のESETとWindows Defenderで比較してみた

セキュリティソフトの「軽さ」って何?

2018年07月24日 15時00分更新

文● 村野晃一

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今使ってるセキュリティソフトは重い?軽い?

 セキュリティソフトの選択基準のひとつに、「軽さ」というものがある。昔からPCを利用している人なら、「セキュリティソフトを導入するとPCの動作が遅くなる」という記憶があるかも知れない。結果、なんとなく敬遠しがちな方もいるだろう。とはいえ、昨今の凶悪化するウイルスやマルウェアなどのウェブ脅威を考えると、まるで対策しないのはあり得ない。

 昨今のPCはかつてと違い処理性能も高く、セキュリティソフトを利用していても割とちゃんと使える。Windows PCであれば、OSにWindows Defenderというマイクロソフト純正のセキュリティソフトがあらかじめ用意されているので、特にセキュリティ対策など考えない人でも、すでにセキュリティソフトを導入した状態で日々の作業を行なっている。

Windows標準のセキュリティツール「Windows Defender セキュリティセンター」

 しかし、それでもなお多くのセキュリティソフトが売れているのは、昨今のウェブ脅威が、Windows Defenderでは安心しきれないほど悪質化し巧妙化しているため。加えて、さらに快適に作業ができるようにWindows Defenderより「軽い」セキュリティソフトが求められているからだ。

 では、セキュリティソフトの「軽さ」とは何だろう?

 昨今のセキュリティソフトは機能が豊富で、さまざまなセキュリティ機能を持っているが、その根幹となる働きは大きく分けて2つある。ひとつは、PC内のファイルやメモリーを検査し、安全かどうか確認する役割(スキャン機能)。大事な作業中にセキュリティソフトのスキャン動作にリソースを使われてしまうと、その分自分の作業のレスポンスが遅くなってしまう。セキュリティソフトのスキャン時間をわざわざ作業を行なわない時間に指定したりするのはそのためだ。

 そしてもうひとつは、常にシステムに常駐し、PCに出入りする通信やファイルなどをチェックして、悪意ある信号やファイルが送り込まれないか監視する役割だ(リアルタイム監視)。つまり、セキュリティソフトは、ウェブを閲覧する際にも、何かをダウンロードする際にも、外部からファイルをコピーする際にも、常に作業の途中に割って入ってチェックをかけている。このチェック作業が速いか遅いか、スキャン時のリソース負荷が高いか低いかが、すなわちセキュリティソフトの「重さ」「軽さ」というわけだ。

 Windowsに標準で用意されているWindows Defenderは、Windows PCを利用している人であれば誰でも一度はその動作環境での作業を体感したことがあるだろう。これよりさらに「軽い」セキュリティソフトが求められているのは、導入にそれだけのメリットがあるからだ。では、「軽い」セキュリティソフトの動作している環境とWindows Defenderの動作している環境にどのくらい差があるのか、実際の数値で見てみよう。

数値で見るセキュリティソフトの「軽さ」

 ここでは、セキュリティソフトの中でも特に軽いと評判の「ESET INTERNET SECURITY」(以下ESET)を使って、それぞれベンチマークをとってみた。

Windows PC向けの「ESET INTERNET SECURITY」やAndoroidスマホ向けの「ESET MOBILE SECURITY」など、5台のデバイスでセキュリティソフトが利用できる「ESET ファミリーセキュリティ」のパッケージ版
「軽い」と評判のWindows PC向けセキュリティソフト「ESET INTERNET SECURITY」

 テスト環境には、CPUにi5-8250U(1.60GHz)、メモリー8GB、SATA接続の256GB SSDにWindows 10 Home(64ビット)を搭載したノートPCを使った。

パフォーマンステスト

 まずは、定番の総合ベンチマークソフト「PCMARK10 Basic Edition」。

Windows Defender利用時のスコア
ESET利用時のスコア

 総合スコアは、Windows Defender利用時で3121、ESET利用時は3208と、若干差のある数値になった。

 「Essentials」はソフトの起動時間やブラウザーの速度、ビデオ会議などからなるテスト。「Productivity」はワープロソフトや表計算ソフトでの処理など、ビジネス用途を想定したもの。「Digital Content Creation」は写真や動画編集、CGレンダリングなどのテストで、コンテンツ制作を想定したテストだ。どのテストでも、総じてESETのほうが良いスコアをマークしており、どんな作業においてもPCに負荷が少ないことがわかる。

ファイルコピーテスト

 続いて、ファイルの書き込み/読み込み速度を計測するベンチマーク「CrystalDiskMark」の結果。これは約1GBのテストデータを使った転送速度が測れるベンチマークソフトだ。

Windows Defender利用時のスコア
ESET利用時のスコア

 読み込み速度は双方あまり差がないのでここでは言及しないが、既存ファイル(安全が確認されているファイル)の読み出しにはセキュリティソフトの影響はあまりないようだ。

 書き込み速度は、若干差が出た。シーケンシャルライトは、Windows Defenderが毎秒507.1MB、ESETは毎秒520.6MBという結果に。また、ランダムライトは、1スレッドのシングルキューだと毎秒10MB程度、転送速度に差が出た。

 ベンチマークソフトでの比較でも、若干だが差異が見て取れる。

 では、実際のファイルコピー作業ではどうか。こちらは、ストップウォッチを使った手計測なので、その誤差があることをあらかじめご了承いただきたい。そのうえで、3回計測の平均値を計測値としている。

 まず、ありえそうなシチュエーションの例として、NASから802.11aのWi-Fi無線LANを使ってイントラネット上からローカルPCへファイルをコピーしてみた。

 最初は、テスト用に用意した1.62GBのmp4動画ファイル。Windows Defenderでは、おおよそ51秒、ESETではおよそ48秒という結果に。ここでも若干だが差が出ている。

Windows Defender利用時の計測タイム
ESET利用時の利用時の計測タイム

 続いて100個のZipファイル、計27.8MBのコピー。こちらはWindows Defenderが約12.5秒、ESETが10.5秒といった感じに。

Windows Defender利用時の計測タイム
ESET利用時の利用時の計測タイム

 もうひとつ実際にありそうなシチュエーションとして、USBメモリーから同じファイルをコピーしてみた。

 1.62GBの巨大ファイルは、Windows Defenderで平均1分35秒、ESETで平均1分34秒と誤差の範囲。どちらも無線LAN経由より時間がかかった。

Windows Defender利用時の計測タイム
ESET利用時の利用時の計測タイム

 同様に100個のZipファイルのコピーも行なってみたが、こちらは双方とも2秒程度で終わってしまい、差が出づらくなってしまった。

ウェブ閲覧時のパフォーマンス

 続いてはウェブ閲覧時の性能について計測。使用したのは、オンラインでブラウジング性能を計ることができる「BaseMark Web 3.0」。テストはWeb GLやCanvas2D、SVG、CSSなど20項目にもおよび、かなり多様なウェブサイトに対してのパフォーマンスを計測できる。

Windows Defender利用時のスコア
ESET利用時のスコア

 Windows Defenderのスコアは393.62、ESETのスコアは395.7とこちらは微差。それぞれキャッシュをクリアして行なったが、ウェブサイト自体の安全性が確認されれば、たとえそこで負荷の高いソースが動作しようと、セキュリティソフトはあまり影響がないようだ。

 Web関連でも実地テストを行なった。Googleドライブから、PDFファイルなど555MB分の複数のファイルのダウンロードし、完了するまでの時間を手動で計測。このテストも3回計測の平均値をとっている。

 Googleドライブからまとめてファイルをダウンロードする際には、オンライン上でZip形式に圧縮されてからダウンロードが始まる。ダウンロードボタンを押し、圧縮が開始されてからダウロードが始まるまでをラップ1とし、ダウンロード完了までを計測。

Windows Defender利用時の計測タイム
ESET利用時の利用時の計測タイム

 Windows Defenderでは、トータル2分35秒。圧縮の時間がやや長かった印象で、ラップタイムが約2分20秒、ダウンロード時間はおよそ15秒だった。一方ESETはトータルタイムが平均1分41秒。ラップ1が1分22秒でダウンロード時間は約19秒だった。

スキャン時の負荷

 セキュリティソフトのもうひとつの仕事、ストレージのスキャン作業についてもテストしておこう。

 このテストでは速度ではなく、スキャン中のCPU負荷やメモリーの消費量などを計測。計測中はやや負荷が上がったり下がったりするので、おおよその目安と考えて欲しい。

Windows Defender利用時のCPU/メモリーの使用
ESET利用時の利用時ののCPU/メモリーの使用率

 Windows Defenderのスキャン作業中のCPU使用率は29.1%前後、また、メモリーの使用率は154.8MB前後となっている。画面上の「Windows Defender セキュリティ」の負荷値は低いが、これは常駐しているフロントエンド部分の値で、実際に稼働しているのは、バックグラウンド プロセスにある「Antimallware Serveice Executable」だ。

 一方のESETは、CPU使用率が2.4%、メモリー使用量が43.1MBとかなり低い。これがESETが「軽い」セキュリティソフトと言われる所以だ。たとえスキャン中であっても、ほぼ他の作業の妨げにならない。

少しでもストレスを減らすなら

Windows Defender/ESET INTERNET SECURITY  ベンチ比較
テスト項目 Windows Defender ESET INTERNET SECURITY
PCMARK10 3121 3208
CrystalDiskMark(シーケンシャル) 507.1 520.6
CrystalDiskMark(ランダム) 60.90 70.70
ファイルコピー(NAS|1File) 51秒 48秒
ファイルコピー(NAS|100Files) 12.5秒 10.5秒
ファイルコピー(USB|1File) 35秒 34秒
BASEMARK WEB3.0 393.62 395.7
ダウンロード 2分35秒 1分41秒
スキャン中のCPU使用率 29.1% 2.4%
スキャン中のメモリー使用量 154.8MB 43.10MB

 最後に各テストの結果をまとめておく。それぞれ微差ではあるが、すべてのテストにおいて、ESET利用時のほうがWindows Defender利用時より高いパフォーマンスを発揮できている。

 実際のところ、セキュリティソフトの本分は脅威対策であって、多少PCのパフォーマンスに影響するからどうなのか?という意見もあると思うが、日々のPC利用において少しでも快適に使いたいというのであれば、セキュリティソフトを見直すのはありだ。今回は最新のノートPCを利用してのテストだったが、非力な旧モデルを愛用しているなら、さらにその差を感じることができるはずだ。

 セキュリティソフトをインストールしても何も起こらない。むしろ、何も起こさせないために導入するのがセキュリティソフトの役割なので、なかなかその恩恵を感じることは少ないが、日々の作業を快適に行なえるメリットはPCを利用するたびに享受できるものだ。「軽さ」がすべてではないが、どうせ使うなら快適なほうがいいに決まっている。安全を確保しつつ、PCライフをより快適に。あなたのPCのセキュリティ周りも、見直してみては?

(提供:キヤノンITソリューションズ)