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MMDでも大人気のCG製作者「かこみき」氏に聞く、3Dモデル製作にTSUKUMOのPCを使う理由

2018年07月24日 11時00分更新

文● ジサトラショータ

提供: Project White

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(C) o-ji / TOYPLA (C) TSUKUMO (C) かこみき

 3Dモデルを読み込み、ダンスなどの3Dアニメーションを作成できるCG動画作成ツール「MikuMikuDance(MMD)」。その扱いやすさから動画サイトで大流行したのはもちろん、MMDに対応した3Dモデルも膨大な数が生み出されたが、それらの3Dモデル製作者として抜群の知名度を誇るのが、CG製作者の「かこみき」氏だ。商業作品用の3Dモデルなども手掛けている同氏だが、MMD向けに無料公開したモデルはユーザーから「かこみきモデル」と称され、クオリティーの高さに定評がある。加えて、モデリングガイドの執筆などでも有名だ。

 そんなかこみき氏だが、TSUKUMOのマスコットキャラクターである「つくもたん」のMMD対応モデルが雑誌に付録として収録された際、モデリングを担当しており、現在すべてのモデルの製作にはTSUKUMOのPCを使用しているとのこと。この記事では、VRコミュニケーションアプリやバーチャルYouTuberの流行で注目されつつある3Dモデリングの現状や、TSUKUMOのPCを選んだ理由について、ご本人にお話をうかがった。

モデリングは完全な独学でスタート

手前側がCG製作者の「かこみき」氏。顔出しができないため、つくもたんに隠してもらった

――本日はよろしくお願いいたします。まず、モデリングを始めたきっかけについて教えていただけますでしょうか。

かこみき もともとアーケードゲームの「スターブレード」や「バーチャレーシング」、「バーチャファイター」などのポリゴンゲームの登場に衝撃を受けながら育った年代なのですが、1997年にCGクリエイターの青山敏之さんと北田清延さんが制作した「PROJECT-WIVERN」という3Dアニメをテレビで見て、強烈な印象を受けたことが、3DCG製作をはじめた直接のきっかけに近いかなと思います。こういうものが個人で作れる時代なのか、自分も作りたいなと。当時は「テライ ユキ」みたいな3Dモデルキャラクターも出始めた頃で、いろいろ雑誌なんかも見ていたんですが、ちょうど書店で3DCGソフト「Shade」の使い方を解説した本を見かけて。それから、Shadeの廉価版である「myShade」でモデリングを始めたんです。はじめてサイトを立ち上げたのは、たぶん1999年ごろですね。もう18年ぐらい、モデリングをやってることになります。

3DCGモデリングソフトとしては老舗の「Shade」シリーズ。7月には最新バージョンである「SHADE3D Shade3D ver.18」が登場する © 2018 Shade3D Co.,Ltd. All rights reserved.

かこみき と言っても、昔からずっと本業は別にあって、その合間にモデリングの仕事をしている、という感じです。CGクリエイターはフリーランスとして仕事を受けていらっしゃる方が多いので、自分のようなタイプはあまり多くないのかもしれません。もともと、3DCGにはまる以前はMSXなんかでソフトを自分で作っていて、仕事もゲーム会社やイラスト関係に就きたいなあ、なんて思っていたのですが、90年代の半ばにMSXの展開が終わってしまって。だからといってPC-98やX68000とかのPCを買うお金もなくて、じゃあもういいや、ということで全然別の業界に就職したんです。でも、やはり忘れられなくて結局趣味でそれっぽいことを始めてしまったという……(笑)。

――実際にモデリングを始めた当初はいかがでしたか。

かこみき 完全に独学で、あくまで趣味として始めたので、それまでは経験がなかったんです。まずはサイコロを一個作ってみて、だいたいの感覚が分かったところで、それからいきなり作りたかった人物の制作に行ったんです。最初はやっぱり全然だめで、制作した人物を友人に見せたときなんかは笑われました。その次はバイクを作って、みたいに、とにかくバンバンいろいろなものを作っていきました。もともとフィギュアとか模型が好きだったので、立体物も参考にしたり、そういうものがベースとしてはあるのかなとは思います。でも、CGをとある会社に成果物として持っていったら、「デッサンができてない」と言って落とされこともありますよ(笑)。

――アニメ調からリアル調まで幅広い3Dモデルを製作されているので、もともと美術や造形の素養があった方なのかと思っていました。すべて独学と聞いて、かなり驚いています。

かこみき 学校でそういう勉強をしたりとか、映像関連会社にいたりとかもなかったです。唯一、イラストは描いていましたけど、これも落書きのようなものですね。

――あくまで趣味として長く続けてきて、徐々に仕事が舞い込んでくるようになったと。

かこみき氏が現在まで主力として利用しているモデリングソフト「Metasequoia」。 ©tetraface Inc. All rights reserved.

かこみき 続けているうちに仕事をいただけるようになってきました。さきほどお話しした青山敏之さんと知り合えたこともあって、その伝手で仕事をいただいたこともあります。モデリングのターニングポイントとしては、やはりMMDの登場がありますね。ある段階で「Shade」でのモデリングに限界を感じて、「Metasequoia」という3DCGソフトを使い始めたんですが、しばらくするとプラグインでボーン(編注:3Dのキャラクターなどに設定する骨組み。ボーンに沿ってモデルを変形させることで、あたかも骨格があるかのような動きが可能になる)を設定できるようになって。最初はボーンを仕込んで遊んでいたんですが、そのうちに MMDが出てきて、盛り上がりが来たので押さえておこうと。

動画サイトで大人気の3DCGアニメーション製作ツール「MikuMikuDance(MMD)」。3Dモデルにモーションを付け、比較的手軽にダンス動画などを製作可能なため、ユーザーから圧倒的な支持を獲得している

――かこみきさんのような製作者の方々が3Dモデルを次々に公開したことで、MMD界隈は一気に盛り上がった印象がありますね。かこみきさんというと、やはりMMDなどの人物モデルのイメージが強いのですが、人物以外のモデリングもよくされているんでしょうか。

こちらはかこみき氏がモデリング、青山敏之氏がレンダリングを担当したもの。過去にテレビ番組のロゴムービーで使用された (C) 青山敏之 かこみき

かこみき お仕事をいただくこともあります。分かりやすい案件だと、ゲーム関係なら「ダライアスバースト アナザークロニクル」のムービーに出ている「シルバーホークバースト1号機/2号機」とか、PlayStation 3用ソフト 「頭文字D EXTREME STAGE」オープニングムービーの「ハチロク(トレノ)」と「FD3S(RX-7)」なんかは依頼をいただいてモデリングしました。昼は会社員として働いて、夜に時間を取ってモデリングしたものです。

――どちらも主役機じゃないですか! 「ダライアス」も「頭文字D」も、アスキーの読者層には特によく刺さると思います(笑)。

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