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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第3回

アップルストアの閉店・改装が世界中で相次いでいるワケ

2018年07月10日 09時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura

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■新しい店舗デザインとその変化の理由

 現在、日本ではApple Store渋谷が改装中です。また、1号店の銀座店と、最新の店舗となる新宿店では、雰囲気や設備が異なっていることに気づくでしょう。

 新装オープンの店舗や改装中の店舗は、「タウンスクエア型」というコンセプトで作られています。アップルというブランドと人々のコミュニティがつながる街の中の拠点という位置づけです。

 この新しいスタイルの店舗は、サンフランシスコに移転オープンした「アップル・ユニオンスクエア」や、シカゴの河岸に作られた「アップル・ミシガンアベニュー」が象徴的です。

 街のランドマークになるようなデザインと、開放的でオープンな「プラザ」と呼ばれるスペースを用意し、電源やWi-Fiが利用できるようにしています。冬寒く、雪が多いシカゴでは、河岸の階段の床が凍結しないように川の水を使った床暖房を張りめぐらせるほどのホスピタリティが垣間見られます。

アップル・ミシガンアベニュー。河岸の階段も、アップルが整備したもので、床暖房によって冬季でも凍結を防いでいる。(撮影:筆者)

 店内では、イベントを行える大画面を備えた「フォーラム」を生かし、毎日異なるテーマでアップル製品の使い方を紹介する「Today at Apple」プログラムを展開しています。

アップル・ミシガンアベニューで2018年3月に撮影した「アベニュー」。季節ごとに変わるアクセサリのコレクションの展示は、iPhoneケース、iPadカバー、Apple Watchバンドのコーディネートを提案してくれる。(撮影:筆者)

 季節ごとにアクセサリのセレクションを変化させる「アベニュー」、これまでサポートカウンターとなっていた「ジーニアスバー」は、モバイルデバイスの気軽なサポートを実現する「ジーニアスグローブ」へと変貌を遂げました。開発者や地元のビジネス客とのミーティングを行う「ボードルーム」もあります。

 Apple Storeは単なる小売店、ブランドショップから、自然と人が集まり、最新製品に触れたり学び、生活の中でアップルブランドを身近に深く活用して行くコミュニケーション拠点へと変化させようとしています。

 iPhoneが世界中で使われるようになる過程で、いずれ飽和を迎えます。その中でも、iPhoneを使い続け手もらえるようにするために、新しいApple Storeは重要なピースと位置づけられているのです。

 テクノロジー専門ショップだったApple Storeは、テクノロジー、スマートフォンの生活への深い融合によって、ライフスタイルの大きな部分を占める拠点へと変化が求められています。

 昨今世界中で進行する既存店の改装と新装開店の背景は、ブランドとしてのアップルの変化を反映したものといえるでしょう。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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